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Z世代のトランプ大統領の報道官・キャロライン・レビッドの素顔 【前編】

文/占部雅一

キャロライン・レビッド(Karoline Leavitt)
1997年生まれの米国ニューハンプシャー州出身の政治家・広報官。セント・アンセルム大学卒業後、トランプ政権でホワイトハウス報道部に抜擢され、2025年には史上最年少で第36代ホワイトハウス報道官に就任。鋭い応答とSNSを駆使した戦略で注目される一方、強固なトランプ支持姿勢やメディアとの対立でも話題に。働く母としても共感を集めている。


プロローグ:彗星のように現れた美人報道官

2025年、わずか27歳という若さで第36代ホワイトハウス報道官に就任したキャロライン・レビッド(Karoline Leavitt)は、まさに彗星のように政界に現れた新星です。日本の政治では考えられない若手の抜擢です。その知的で華やかな容姿から「美人報道官」と称される彼女ですが、記者会見の場では容赦ない毒舌と切れ味鋭いやりとりで注目を集めました。(下段に続く)

2025年2月、「アメリカ湾」呼称問題でAP記者を締め出し、
「ホワイトハウスの取材は“権利”ではなく“特権”です。アメリカ湾をメキシコ湾と呼び続ける報道機関に、その特権を保証する義務はありません」「報道の自由とフェイクニュースの拡散は違います」と述べました[1]。

2025年3月、仏政治家からのトランプ批判に対し、
「その無名のフランス人政治家に私から助言するとすれば、フランス人が今ドイツ語を話していないのはアメリカのおかげだということです。ですから、彼らは我々の偉大な国に感謝すべきです」と皮肉を返しました[2]。

同年3月11日、AP通信の記者と関税をめぐって激しく対立し、
「あなたが私の経済知識や大統領の決定を試そうとしているのは侮辱的だと思います。AP通信に質問する機会を与えたことを後悔します」と発言[3]。

3月17日には、CNN記者に対し
「記者はあなたなんですから、(証拠は)自分で確かめるべきでしょう」と切り返しています[4]。

トランプ大統領の再登板に伴い、新しい報道官となったキャロラインは、就任早々「新しい声に耳を傾ける」と宣言。従来の記者席をポッドキャスターやSNSインフルエンサーにも開放すると約束します。初の定例会見では、保守系ブロガーからの質問を受け入れるなど、新しい風を吹き込みました[5]。

その一方で、柔らかな笑顔の裏には熾烈な言葉の応酬が隠されています。ある記者が新政権の政策に疑問を呈すると、「不確実さがあるのはこの部屋の中(=記者たち)だけです」と切り返し、場を制しました[6]。

また、キャロラインは幼い息子を抱えながら報道官の職務をこなす「働く母親」としても注目されました。ホワイトハウスの執務室で、片手で授乳しながらもう一方の手でノートPCを操作する彼女の姿がSNS上で拡散し、「なんてパワフルな母親だ」「史上最高の報道官だ」と賞賛されました[7]。同時に「計算された演出では?」といった批判も一部から上がり、賛否を巻き起こしています。

こうした姿勢は「信念をもって戦うZ世代報道官」として、多くの支持者の共感を得る一方、保守派・リベラル両陣営の間で議論を呼ぶ存在となっています。


写真 Photo Credit:Wikimedia Commons - Wikimedia.org 
[1] White House Briefing Records(2025年2月 会見要旨)
[2] Independent.co.uk, 2025年3月 記事(仏政治家批判に対する発言)
[3] Fox News, 2025年3月11日報道より
[4] mynbc15.com, 2025年3月17日ニュースより
[5] White House 会見映像記録(2025年1月28日付 C-SPAN)
[6] Axios会見速報 / 記者会見公式トランスクリプトより
[7] Karoline Leavitt Instagram投稿(2025年2月)およびNewsweek記事(2025年2月)

第1章:アトキンソンの小さな村育ち

1997年8月24日、キャロライン・クレア・レビッドはニューハンプシャー州アトキンソンで生まれました。人口約6,300人ほどの小さな村で、キャロラインは4人きょうだいの末っ子として育ちます[8]。両親のボブとエリン・レビッドは地元でアイスクリーム店(「レビッド・アイスクリーム」)を営み、父親は近隣のプレイストウで中古トラック販売業も経営していました[9]。家業を手伝いながら過ごした幼少期、キャロラインは田舎町の素朴な共同体の中で家族愛と勤勉の精神を学びます。

また一家は敬虔なカトリック教徒であり、キャロライン自身カトリックの信仰教育を受けて育ちました。近隣のマサチューセッツ州ローレンスにあるセントラル・カトリック高校に進学した彼女は、カトリック校特有の厳格な教育の下で「信仰」「家族」「規律」「公共奉仕の精神」「生命尊重(プロライフ)」といった価値観を身に着けたといいます[10]。

高校時代、キャロラインはソフトボール部で活躍し、地元紙からオールスター選手に選出されるほどの才能を示しました[11]。しかし彼女にとってスポーツ以上に大きな影響を与えたのが、家庭と信仰から育まれた倫理観と社会観でした。キャロラインは後年、「両親が与えてくれた伝統的カトリックの育て方が、私の精神性の基盤を築いた」と語っています。

週末のミサへの参加や学校での宗教教育を通じて、正義感と責任感を養った彼女は、小さなコミュニティで培われた強い帰属意識と相まって、「大切なものを守り抜く」価値観を抱くようになりました。その信念は、後に彼女が国政の場で闘う際の原点ともなるのです。


[8] U.S. Census Bureau(2020年国勢調査:Atkinson, NH) [9] 地元業者情報(Yelp / NH商業登記データベース) [10] Central Catholic High School公式サイト(カリキュラムおよび信条) [11] Eagle-Tribune紙(2014〜2015年 ソフトボール選出記事)

第2章:セント・アンセルム大学に入学

2015年、キャロラインはニューハンプシャー州マンチェスター近郊にあるセント・アンセルム大学に入学しました。マンチェスターの西に位置するこのカトリック系リベラルアーツ大学は、全米でも有数の政治活動拠点である「ニューハンプシャー政治研究所(NHIOP)」を擁し、大統領選挙の序盤戦では候補者たちが集う場所として知られます[12]。

キャロラインはソフトボールのスポーツ奨学金を得て進学しましたが、入学後まもなく自らの関心がスポーツより政治や報道に向いていることに気づきます。彼女は「すぐに、自分が本当に興味を持っているのはスポーツではなく政治・公共サービス・ニュースだと悟った」と後に語っています[13]。

大学ではコミュニケーション(メディア)学を専攻し、政治学を副専攻としたキャロラインは、キャンパス新聞「Saint Anselm Crier」の学生記者として記事を担当しました。2年次には放送クラブを自ら立ち上げるなど、情報発信の場を積極的に切り拓いていきます。

当時からすでに彼女の中に政治的情熱が芽生えており、周囲の学生や教授にもその“MAGA(トランプ支持)衝動”は明白だったと言われます[14]。実際、2015年10月にマンチェスターで開催された共和党候補ドナルド・トランプのタウンホールでは、当時、18歳の大学生だったキャロラインが真っ先に質問の機会を得ています[15]。

彼女はその場で「トランプ氏は率直すぎるとの指摘がありますが、ご本人はどうお考えですか?」と問い、トランプ本人から「素晴らしい質問だ」と称賛されました。

一方で、学内では少数派の保守派学生として孤軍奮闘する場面も。2016年11月、大学2年生だったキャロラインはキャンパス紙に意見記事を寄稿し、「リベラルなマスメディアは不公正で、時にまったくの虚偽さえ報じる。ドナルド・トランプは完璧ではないが、腐敗した候補(ヒラリー・クリントン)と腐敗したメディアを同時に相手取って戦っている」と書き綴っています[16]。

このように在学中から歯に衣着せぬ論調で保守の立場を発信していたキャロラインは、教授陣からは「学内で浮いている保守派」と評されつつも、その発信力によって徐々に頭角を現していきました。

大学在学中、NHIOPを通じた政治インターンシップにも積極的に参加しました。地元テレビ局WMURでは報道インターンを経験したほか、在学中のある夏にはワシントンD.C.で連邦上院議員のインターンを務めています[17]。

こうした経験を積む中で、彼女のキャリア目標は「ジャーナリスト」から「政治の現場」へと次第にシフトしていきました。実際、キャロラインは大学卒業前に「報道の世界に進まなくてよかった。あのまま“暗黒面”で働いていたらどうなっていたかしら」と冗談めかして語っています。

大学4年時、トランプ政権下のホワイトハウスでインターン募集があると知ったキャロラインは、意を決して応募し、見事合格。2019年5月、セント・アンセルム大学を首席に近い成績で卒業(家族で大学卒業したのは彼女が初めて)し、ワシントンへの切符を手にしたのです[18]。


[12] Saint Anselm College公式サイト(NHIOP紹介) [13] WMURインタビュー、2022年4月 [14] NHIOP講師証言(Boston Globe取材記事, 2023年) [15] CNN Town Hall中継記録(2015年10月, Manchester) [16] The Saint Anselm Crierアーカイブ記事(2016年11月) [17] キャロライン本人LinkedIn経歴、WMUR News Internship 2018 / 上院議員事務所名は不明 [18] Ballotpedia / Campaign Profile「Early Life and Education」

第3章: 大統領書簡局に就職

ホワイトハウスでのインターンとして配属されたのは、「大統領書簡局(White House Office of Presidential Correspondence)」でした。いわゆる「手紙職」とも表現される部署で、キャロラインは市民から大統領宛に届く数多の手紙やメールに目を通し、大統領名義での返信文書を代筆する任務にあたりました[19]。

元々は報道志望だった彼女がなぜ文書局を志望したのか不思議にも思えますが、これには「政治の現場に携わりたい」という強い動機がありました。キャロラインは当時を振り返り、「ホワイトハウスで働けるなら部署はどこでも良かった。与えられた場所で全力を尽くすだけ」と語っています[20]。

持ち前の明るさと勤勉さで周囲の信頼を得たキャロラインは、インターン終了後もそのまま文書局のスタッフに迎えられ、わずか数か月で同局の副部長に昇進しました[21]。ホワイトハウス内部で着実に評価を高めていった彼女の姿は、ひそかに広報チームの目にも留まります。

当時トランプ政権下で報道官を務めていたケイリー・マケナニーもその一人でした。

ケイリー・マケナニー(英: Kayleigh McEnany)Wikimedia Commons

ある日、キャロラインは勇気を出してマケナニーに直接アプローチし、自分を報道スタッフに起用してくれないかと売り込みました[22]。

この大胆な行動は幸運にも実を結びました。マケナニーは後に「彼女の溢れる意欲と本当に前向きな態度に即座に感銘を受けたわ。キャロラインは頭が切れ、プロ意識が高く、自発性に富んだ女性でしたから、その場で採用を決めたのよ」と語っています[23]。

こうして2020年6月、22歳にしてキャロラインはホワイトハウス報道部の一員、正確には「次席報道官(Assistant Press Secretary)」に抜擢されたのです。

当時の上司であるマケナニーの右腕として、日々大量のブリーフィング資料を準備し、記者団からの問い合わせ対応に追われます。トランプ政権は折しも選挙イヤーで慌ただしく、さらに新型コロナウイルスの流行という未曾有の危機に直面していました。

キャロラインは連日深夜までホワイトハウスに残り、連邦政府から発信される声明や回答文書の作成に奔走しました。文書局で鍛えられた文章力と、大学で培った発信力がここで大いに役立ったのです。

政権内で最年少のスタッフだった彼女は、先輩職員から「いつ寝ているの?」と呆れられるほど精力的に働き、次々と与えられた仕事をこなしていきました。こうしたエピソードからも、キャロラインがいかにして異例のスピード出世を遂げたかが伺えます。


[19] White House Archives, Office of Presidential Correspondence(業務紹介) [20] Fox News Digital インタビュー(2023年10月) [21] 本人SNS経歴記載およびCampaign Profileより(昇進時期は要注記) [22] Politicoインタビュー(マケナニー発言要旨) [23] Kayleigh McEnany著『For Such a Time as This』より抜粋(Regnery Publishing, 2021年)

第4章:ローズガーデン・報道官として

報道官補として実務を学び始めた矢先、キャロラインは早くも試練に直面します。2020年9月下旬、ホワイトハウスのローズガーデンでトランプ大統領が連邦最高裁判事エイミー・コニー・バレット(Amy Coney Barrett)の指名式典を開催しました[24]。

屋外とはいえマスク着用者の少ない密集状態で行われたこのイベントは、後に大規模な新型コロナ感染クラスターの発生源となり、出席者の間で次々と陽性者が報告される事態となります[25]。

連邦最高裁判事エイミー・コニー・バレット Wikimedia Commons

実はこの時、キャロラインも式典のスタッフ業務に携わっており、不運にも彼女自身がCOVID-19に感染してしまいました[26]。就任早々、思わぬ形で“体を張って”報道官の洗礼を受けた彼女でしたが、幸い症状は軽く、しばらくの自宅隔離の後に現場復帰を果たします。

この一件は政権の感染対策批判へと発展したため、キャロラインにとっても苦い教訓となりました。それでも彼女はへこたれません。回復後は一層奮起し、マケナニー報道官の下で猛烈な修行の日々を送ります。

ブリーフィング前に用意する分厚い資料集の作成や、想定問答集の準備では、誰よりも綿密に事実関係をチェックしました。会見ではマケナニーが時折見せる強烈な切り返し――辛辣な記者には「あら、その質問には〇〇の記事を読むことをお勧めしますわ」といった痛烈な皮肉で応じるような――に学びつつ、キャロライン自身も裏方として記者対応スキルを磨いていきました。

当時ホワイトハウス報道部で同僚だったスタッフは、「彼女は毎日が勉強という感じで、先輩の口調や受け答えまで一字一句メモしていた」と証言しています[27]。

キャロライン本人も「主流メディアの偏向と闘うのが私の役目だった」と振り返っており、キャンペーンサイト上でも「報道部でフェイクニュースと戦った経験」をアピールしていました[28]。

キャロラインの努力は確実に評価へとつながりました。政権末期の混乱期、2020年大統領選挙後の激動の中でも、彼女は揺らぐことなく職責を全うします。

トランプ大統領が選挙結果に異議を唱え、ホワイトハウス内が慌ただしく情報発信に追われる中、キャロラインは「誰よりも早く正確な情報を出す」ことに専心しました。

その甲斐もあってか、2021年1月の政権交代間近になると、ニューヨーク選出の下院議員エリース・ステファニック(Elise Stefanik)から「私のコミュニケーション・ディレクターにならないか」と声がかかります[29]。

キャロラインはこの申し出を受け入れ、トランプ政権での勤務終了を待たずにワシントンを離れました。彼女は当時23歳。短期間でホワイトハウス報道補としての経験と信頼を勝ち取り、新天地でさらなる飛躍を目指すことになったのです。


[24] White House Archives, 2020年9月26日イベント記録(SCOTUS指名式) [25] CNN / NY Times, 2020年10月報道「ローズガーデン・クラスター」特集 [26] Politico誌 / キャロライン本人SNS投稿(2020年10月) [27] Washington Examiner(2021年インタビュー) [28] Karoline Leavitt for Congress(2022年キャンペーンサイト) [29] Elise Stefanik公式発表(2021年1月)およびNY Post報道

下院議員エリース・ステファニック  itoldya test1 - GetArchive

後編に続く


キャロライン・レイビッド(Karoline Leavitt)プロフィール

  • 生年月日:1997年8月24日(27歳)

  • 出身地:アメリカ合衆国ニューハンプシャー州アトキンソン

  • 家族構成:両親(ボブ&エリン)、4人きょうだいの末っ子

  • 配偶者:ニコラス・“ニック”・リッチオ(2025年結婚)

  • 子ども:長男ニコ(2024年7月誕生)

  • 学歴:セント・アンセルム大学(コミュニケーション学専攻、政治学副専攻)

  • 宗教:カトリック

  • 経歴:

    • トランプ政権下でホワイトハウス書簡局スタッフ → 報道部入り → 次席報道官

    • 下院選(2022年)出馬・共和党予備選勝利

    • トランプ再選挙陣営報道責任者

    • 2025年:第36代ホワイトハウス報道官に就任(史上最年少)

  • 政治スタンス:強固なトランプ支持派(MAGA系)

  • 特徴:SNSを駆使した即応的な広報戦略、母としての共感力、強い対メディア姿勢



https://www.youtube.com/watch?v=iJd8q2jhoG0

Youtubeでは、話題性、内容の重要性もあり、複数のチャンネルで、英会話の教材となっています。



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