ビジネスの勉強をやめたら、仕事が増え始めた。
起業したばかりの頃、僕は毎日「真面目」だった。
朝起きたらSNSマーケティングの動画を見る。
昼はライティングの勉強。
夜は集客やセールスの本を読む。
「よし、今日もビジネスを勉強したぞ。」
そんな日々を送っていた。
今思えば、かなり優等生だったと思う。
でも、売上は優等生とは比例しなかった。
半年ほど経った頃、思うように結果が出なくなった。
「もっとSNSを勉強しないと。」
「もっとマーケティングを理解しないと。」
そう思って、さらに勉強時間を増やした。
今振り返ると、ガソリンが減っているのにアクセルを踏み続けていたようなものだった。
そんな時、ビジネスを教えてくれている先生に聞かれた。
「最近、何を勉強してる?」
自信満々に答えた。
「SNSマーケティングです。あと集客とライティングです!」
すると先生は少し笑って、こう言った。
「多川さん、それ面白くないね。」
……え?
頭の中が一瞬止まった。
「いやいや、ビジネスの先生ですよね?」
「マーケティングを勉強してるって正解じゃないんですか?」
心の中で総ツッコミである。
すると先生は続けた。
「俺、最近キングダムにハマってるんだよね。」
「多川さん、その話できる?」
まさかのキングダム。
そこかい。
でも、その後の言葉が今でも忘れられない。
「映画でも、歴史でも、スポーツでも、自然でもいい。」
「そういう話ができる人の方が、人として面白いじゃん。」
その瞬間、ハッとした。
僕は「ビジネスの勉強」をしていたつもりだった。
でも実際は、「売るための知識」ばかりを集めていた。
お客さんが知りたいのは、本当にマーケティングの話だけなんだろうか。
セミナーでジブリの話をしたら盛り上がる人もいる。
サッカーの話で一気に距離が縮まる人もいる。
歴史好き同士で何時間も語れる人もいる。
そうやって笑い合った時間の方が、「この人とまた話したい」と思ってもらえる。
人は、ノウハウだけで人を好きになるわけじゃない。
人柄に惹かれる。
だから、映画を観ることも勉強。
美術館へ行くことも勉強。
旅行へ行くことも勉強。
好きな音楽を聴くことも勉強。
全部、自分という人間を豊かにしてくれる。
昔の僕は「これは仕事に役立つかな?」で物事を選んでいた。
でも今は違う。
「これ、面白そう。」
その感覚を大事にするようになった。
不思議なことに、その方が仕事もうまくいく。
話の引き出しが増える。
相手との共通点が見つかる。
会話が弾む。
そして、「また多川さんと話したいです」と言われることが増えた。
ビジネスは、知識だけで作るものじゃない。
もちろんマーケティングも集客も大切だ。
でも、それだけでは人の心は動かない。
最後に選ばれるのは、「この人と一緒にいたい」と思われる人だ。
だから今日も僕は、歴史の本を読んだり、映画を観たり、ジブリを見返したりする。
一見、仕事とは関係ないように見える時間。
でも、その時間こそが、明日の誰かとの会話を豊かにしてくれる。
人としての面白さは、一日では作れない。
だけど、その面白さこそが、仕事を連れてきてくれるのだ。
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