SW5『Sunworld et mon histoire』〜Printemps dans le Blizzard(吹雪の中の青春)
2000年頃バブルが弾け、重苦しい空気が垂れ込めていた当時の大阪。だが、俺たちの周りだけは、別の熱源があるかのように沸き立っていた。
「ケイズサポートラボ」の5人は、それぞれ独自の武器を持つ営業のプロだった。奴らが個性を生かして街へ飛び出すと、会員はガンガン増えた。大不況に喘ぐ大阪のタイミングと、俺たちのビジネスが完璧に噛み合ったのだ。
集まったのは中小企業の社長たち。元アナウンサーや始まったばかりのウェブ製作会社、そして「政治家の卵」までが吸い寄せられてきた。ちなみにその卵は、後に民主党から神戸で衆議院議員に当選する男だ。「おもろい奴らが、なんか新しいこと始めとる」――そのエネルギーが、冷え切った街で奇妙なリアリティを持っていた。
勉強会、飲み会、個別紹介、毎週のFAX送付。目が回る忙しさだったが、営業成績のよい日はカラオケへ繰り出した。
「凍えそうな季節に君は――!」
流行りのT.M.Revolution『WHITE BREATH』を汗だくで大熱唱する。極寒の大阪の街で、俺たちの熱気だけがその寒さを力尽くで吹き飛ばそうとしていた。
俺と亀甲には子供がいた。本当に明日生活できるかどうかの瀬戸際。まともな大人のすることじゃない。だが、金なんてなくても毎晩のように安酒場で夢を語り合った。
「なぁ、俺ら絶対にここから這い上がれるで」
強がりじゃない。そこには、切実な生への渇望があった。あれは間違いなく、俺の人生における第二の青春だった。
