AIに本を書かせると、なぜ同じ話が何度も出てくるのか
AIに本を書かせているのに、なぜか自分の時間が減らない。
そんな感覚になったことはないだろうか。
私は、人が自分の経験を本や講座にするのを手伝う仕事をしている。自分でも本を書き続けてきた。だから、AIで原稿を書く作業はほぼ毎日やっている。
先日も、いつものように節ごとに書かせていた。一節ずつ渡して、順番に埋めていく。書く速さは、たしかに以前とは比べものにならない。
ところが、通しで読み返したときに手が止まった。
離れた節に、同じ話が何度も出てくる。第2章で書いたはずのたとえ話が、第5章にもほぼそのまま入っている。
理由はすぐに分かった。人は、自分が3つ前の節に何を書いたか覚えている。だから同じ話を二度書かない。けれどAIは、節ごとに単独の仕事として書いている。前に何を書いたかを見ていないのだから、重なりに気づけるはずがない。
ここでいちばん厄介だったのは、重なりそのものではなかった。
精査に時間がかかることだった。
書かせる時間は減っても、読み直す時間が増える。全体を通して読んで、どこと どこが重なっているかを自分の頭で照合していく。これが重い。速く書けたはずなのに、机の前にいる時間は変わらない。むしろ増えている日すらあった。
そして、これは私だけの話ではなかった。
同じことを調べた研究がある。AIに長い文章を書かせて、つじつまの合わない箇所を数えたものだ。結果ははっきりしていて、書かせる文章が長くなるほど、つじつまの合わない箇所はほぼ比例して増えていた。
短い依頼では起きないことが、長い依頼では起きる。ブログ1本なら気にならないことが、本1冊になると牙をむく。長さそのものが、原因だった。
では、どうすればいいのか。
私が最初に考えたのは、書かせ方の工夫だった。前の節の内容を毎回貼りつける、指示文をもっと丁寧にする。けれど、どれも根本的な解決にはならなかった。長くなれば、また崩れる。
必要だったのは、書かせ方の工夫ではなかった。
指示の出し方そのものを変えることだった。
節を書かせる指示と、全体の整合を確認させる指示を、分ける。書き終わったあとに、もう一度AIに全体を読ませて、重なりを探させる。
つまり、つなぎ目を見る作業も、AIにやらせる仕事だったということだ。
私はずっと、書くのはAI、確認するのは自分、という分け方をしていた。その線の引き方が間違っていた。
AIは素材を出す係で、判断するのは人間。この考え方は今も変えていない。ただ「確認」は判断ではなく、作業だった。判断の前に置く、素材の整理だった。ここを手放したとき、読み直しの重さが一気に軽くなった。
書かせる指示と、確認させる指示。
あなたは、分けているだろうか。
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