新しいJazz漫画始まってた。「カインズオブブルー!」
こんにちは。Masaです。
ここまで7記事ほど連続してJazzの歴史について書いてきました。
特にルイ・アームストロングのお話は、
結構エピソードを取捨選択しても
三部作になってしまいましたのでなかなかの
ボリュームになってしまいました。
いつもお読みいただいている方、
本当にありがとうございます。
ちょっとここらで箸休めといきましょう。
月刊少年マガジン2026年3月号から
新たなJazz漫画が連載開始されていました。
それがこちら
「カインズオブブルー!」(講談社)です。
「BLUE GIANT」のように、時に熱く、時に冷酷で
硬派なJazzの物語とはまた異なる切り口の
ゆるふわ部活系寄りのテイストなんですが、
これはテレビアニメ化されそうな予感がしますね。
作者は岩矢滉一朗先生で、
函館出身、ご自身もJazzの経験があり、
なんと本作が連載デビュー作なんだそうです。
是非とも応援したいと思います。
※ちなみに本記事のサムネイル画像はあくまで生成AIで用意したイメージ画像であり、公式とは一切関係ありませんのでご了承ください。
序盤のあらすじ
北海道の小さな漁村に住む少女・進藤いつみは
青果業を営む祖父からトランペットを習っていました。
祖父の趣味がJazzなのか、いつみもJazzに詳しく、
練習はいつも海に向かってJazzのスタンダードナンバーを
吹いていましたが、身近に楽器が出来る人が他におらず、
誰かと合奏(セッション)することに強い憧れを抱いていました。
ある日いつみは、姉と姉の友人であり高校教師の早川唯と共に
東京へ行く機会を得ることができ、Jazzクラブで
セッションに参加することができましたが、
他人と合奏することの難しさに苦戦。
しかし1人のピアニストの青年としたセッションの中に
Jazzの可能性を感じ取ります。
時が経ち、高校生になったいつみは、
大学生たちのJazzサークルに混ざって
セッションに参加するなどでさらに腕を磨いていましたが、
入学した函館の高校ではJazz部を立ち上げるため、
部員集めに孤軍奮闘していきます。
函館とJazz

物語の舞台は北海道函館市で、
作者の岩矢先生の出身地も函館ということですが、
日本におけるJazzは、戦後、横浜、神戸、長崎、横須賀といった
貿易港や米軍基地のある街を中心に発展し、
貿易港であった函館市も例外ではありませんでした。
特に昭和30〜40年代にかけて
熱狂的なJazzファンが集まる「Jazz喫茶」の名店が
いくつも生まれた街でもあります。
毎年「函館大門ジャズフェスティバル」や
「HAKODATE WINTER JAZZ FESTIVAL」といったイベントも
開催されているそうです。
Kind of Blue
タイトルの「カインズオブブルー!」ですが、
これはJazzの帝王マイルス・デイヴィスの名盤
「Kind of Blue」から着想を得たものだと思われます。
このアルバムは1959年8月にリリースされた、
マイルス・デイヴィスの代表作であり、
Jazz史上最も売れたアルバムです。
タイトルを和訳すると、
「一種の憂鬱」とか「なんとなくブルーな気分」
といった意味になりますが、
「まあ、ブルーとでも言おうか」、「ブルーのようなものさ」
のような曖昧な感じに濁したタイトルなんだとか。
収録曲は小難しくてJazz初心者には理解しがたいと言われています。
私もそこまで詳しくないのでよくわかりません。
しかしこのアルバムの参加メンバーは、
マイルス・デイヴィス以外にも
ジョン・コルトレーン、
ビル・エヴァンス、
キャノンボール・アダレイといった、
初心者向けのJazzコンピレーションアルバムなどには
大抵名前のあるような超有名アーティストたちが
オールスター的に参加しています。
「カインズオブブルー!」の作中でも、
いつみはマイルス・デイヴィスと同じトランぺッターで、
ゆるふわ部活系テイストながら、
登場人物みんなちょっと
心に闇を抱えている部分がある(=Blue要素?)んじゃないか
と思うシーンがちらほら垣間見えたりするので、
そのあたりもタイトルとどう関連してくるのかにも注目です。
主人公いつみの才能と実力
いつみは幼少期から
祖父にトランペットを習っていたようなのですが、
高校1年生の時点で既に
トランペット歴が10年に達しようとしています。
第1話でいつみが東京のジャムセッションに参加した時、
中学生ながらベーシストの男性に
その音圧と実力を驚かれていましたので、
既に相当な実力者です。
しかしそれより驚異的なのは、いつみのレパートリーの多さです。
確か「BLUE GIANT」でも言っていたと思うのですが、
Jazzプレイヤーの実力は
スタンダードナンバー(定番曲)を何曲知っているか
が一つの指標になります。
Jazzで「曲を知っている」というのは、
単にメロディを暗記しているという意味ではありません。
メロディとコード進行を完全に把握している
どんなキー(調)に急に移調されても即座に弾ける
テンポやリズム(ボサノバ、スウィング、バラードなど)を変えられても対応できる
ここまで理解して初めて「知っている」と言えます。
従って、知っている曲数が多いということは、
それだけ音楽理論・耳の良さ・即興の引き出し(語彙力)が
優れていることの証明になるのです。
Jazzの譜面は至ってシンプルなのですが、
それを227曲収録して1冊の本にまとめた、
通称「黒本」と呼ばれる
「ジャズ・スタンダード・バイブル」という楽譜集が存在します。
私が大学のJazz研究会だった時も部室にこれが2~3冊ありました。
ジャムセッションを開催しているようなバーなどにも必ずあるはずです。
いつみはジャムセッションの前にこれを見せられた時、
パラパラとめくって、全て知っている曲だったようで
「全部吹けます!」
と即答しています。
定番曲とはいえ200曲以上レパートリーがあるというのは
もうほとんどプロの領域です。
例えば落語家が数百本の演目を頭に入れていて、
その日の客層や雰囲気に合わせて即座に噺(はなし)を選べる
みたいなレベルということですね。
ただいつみはセッションの経験がほとんどないため、
「人と会話せずに大量の語彙だけ身につけた赤ん坊」
と評価されています。
序盤の登場曲
作中、序盤からJazzのスタンダードナンバーがたくさん登場します。
ちょっと見てみましょう。
・Candy / Lee Morgan
いつみの幼少期、祖父に「今日は頭の中で何が流れてたんだ?」
と問われ、いつみは口でこの曲を歌って答えます。
・Donna Lee / Wynton Marsalis
中学生のいつみが海に向かって練習していた超速テンポの曲です。
最近のヒット曲の例えで言うと、
CANDY TUNEの「倍々FIGHT!」が
テンポBPM176(1分間に176拍)で結構速い印象ですが、
Donna LeeはBPM250~300という倍々に速い曲です。
これが吹ける中学生は驚異的です。
・On Green Dolphin Street / Miles Davis
東京でいつみが参加したセッションで演奏した曲です。
ハリウッド映画「Green Dolphin Street(邦題:グリーン・ドルフィン・ストリート)」の主題歌です。
・Up Jumped Spring / Freddie Hubbard
第1話のラストで、春になって高校生になったいつみが
これから始まる高校生活にワクワクしながら
この曲のタイトルをつぶやいています。
ジャズワルツ(3拍子)の曲ですね。
この後もどんどん名曲が登場しますし、
第2話では体育館のステージで部活PRをする場面で、
いつみがピアニストの同級生、真島奏太郎のために
クラシックの「ジムノペディ」をJazzアレンジして演奏する
というシーンがあったりします。
いつみのトランぺットの腕前にみんなが驚くところとか、
ちょっと「BLUE GIANT」の序盤の文化祭のシーンっぽくて熱いです。
そんな感じですので是非読んでみてください。
いつかアニメ化されることを願って
その日を楽しみに待ちたいと思います。
