[fab]ファティーグ論
名古屋で「縦/横の表現価値」の話をめっちゃするから、
言語化して討論したい
ファティーグから1年意図的に遠ざけてたのでそろそろ帰るよ。
fatigueとは
FaBにおけるファティーグとは、「相手のデッキのカード(リソース)をすべて使い切らせて、勝利する(あるいは詰みの状態に追い込む)戦略」のことです。
一般的なTCGでは「ライブラリアウト(山札切れ)」による特殊勝利が近いですが、FaBでは山札がなくなっても即敗北にはなりません。しかし、手札やピッチゾーンのカードを使い切って「攻撃する手段(ダメージソース)」がなくなると、相手はダメージを与えることができなくなり、最終的に武器による小突きの打ち合いや、手札が尽きた状態での敗北を迎えることになります。
デッキの総価値
ファティーグ戦略を理解・説明する上で最も重要なのが「デッキの総価値(Total Value)」という概念です。
攻撃側の総価値: デッキに入っているすべてのカードが、ゲームを通して生み出せる「総打点」の合計。
防御側(ファティーグ側)の総価値: デッキに入っているすべてのカードが、ゲームを通して軽減できる「総防御値」の合計。
【ファティーグの成立条件】
「自分の総防御値 + ヒーローのライフ」 > 「相手の総打点」
この不等式を成立させる(あるいはゲーム中にプレイミスを誘って相手の総打点を削る)ことが、ファティーグ側の基本方針になります。
《Count Your Blessings/祝福への感謝》が存在しているときは総HPが100近くになることもあり、上記の条件が達成することが容易でした。
もう、帰ってくることはないでしょう。。。

防御の仕方
基本的には、手札の「表現価値」が最大限になるように防御へ回します。 また、ABの支払いや《Oasis Respite/オアシスでの休憩》でピッチする際は、後半に強いリソースが残るように支払うのが鉄則です。また、《Fyendal's Spring Tunic/フィエンダルの春のチュニック》から生み出したリソースでコストを支払えば、「手札1枚で5点」という驚異的な表現価値に化けます。

防御しきれない端数ダメージや《Harmonized Kodachi/調和の小太刀》の攻撃は、《Sigil of Solace/癒しの印》で相殺します。 また、これは装備品によるABで防ぎきれない(軽減上限を超える)秘術ダメージを相殺する役割も持っています。

未来の表現価値
ファティーグとは、単に手札4枚で相手の攻撃を完璧に守り続ける(ピュアファティーグ)だけではありません。こちらから能動的に圧力をかけることで、結果的に相手のデッキをすり潰す「アグレッシブファティーグ」というアプローチが存在します。
アグレッシブファティーグの核心は、攻撃による「防御の強要」です。 その最たる例が「先行1ターン目の全力攻撃」です。 先行第1ターン目は、お互いに手札を4枚持った状態でスタートしますが、本来なら後攻側のターンが終わるまで手札の補充(ドロー)は行われません。ここで先行側が手札をすべて使って全力で高打点を叩き込むと、後攻側は「ライフを大きく削られるか」「手札を防御に差し出して、自分のファーストターンに使えるリソース(打点)を失うか」の二択を迫られます。
ここで相手に手札を差し出させることができれば、相手の強力なファーストターン(攻めへのセットアップなど)を未然に潰し、結果として相手のデッキがゲーム全体で生み出せるはずだった総打点を間接的に削り落とすことができます。
同様に、中盤以降も《Command and Conquer》のように強力なOn-Hit効果を持つアタックアクションを積極的にプレイすることで相手はヒット時効果を嫌って手札を防御に回さざるを得なくなり、結果として「次のターンに相手が出せるはずだった総打点(リソース)」を間接的に削り落とすことができます。
この「能動的に総価値を削る」動きの極致と言えるのが、Assassin(暗殺者)クラスの「Contract(契約)」メカニズムです。Contractを持つアタックアクションは、ヒット時に相手の山札のトップを直接追放(Banish)するため、相手がライフで受けようが守ろうが、確定でデッキの総価値(最大枚数)をダイレクトに削り取ることができます。

また、この「未来の表現価値」という考え方は、毎ターンの攻防だけでなく長期的なゲームプランにも適用できます。
あえて強力な「赤いカード」を序盤にピッチゾーンへ送ることで、山札が2周目に入った際、より高バリューなカードが連続する強力な山札(後半の強い引き)を確定させます。このように自分のリソースを後半へ温存し、山札の質を引き上げることで、最終的に相手よりもデッキの表現価値で勝る状況を作り出すことが可能になります。
このプレイ(ピッチコントロール)を実践するにあたって、デッキの正確な順番まで完璧に記憶する必要はありません。
「《Command and Conquer》をピッチしたから、次は青をピッチしよう」「山札の比率が赤3:青1くらいになるように意識しよう」といった風に、全体のカラーバランスを大まかに意識するだけで十分に効果が出るため、誰でも手軽に試せるおすすめのテクニックです。
例題
Sledge持ったOldhimミラーにおいて
— ベッキー (@Becky_xx25) April 11, 2026
Boulder Dropをプレイすることは
青のHead Jabをプレイすることと等しい
という話が伝わらない pic.twitter.com/sz91EQxFHM
プロツアー会場で僕らは1時間この話をしました。
ここで、ファティーグ論とデッキの総価値を深く理解するための興味深い例題を考えてみましょう。かつてコミュニティで「Sledgeを持ったOldhimミラーにおいて、《Boulder Drop/岩落とし》をプレイするのは、青の《Head Jab》をプレイしているのと同義である」という話が話題になりました。
一見すると、カードをプレイした方が打点が高く見えますが、ファティーグ論の視点で見ると全く異なる景色が見えてきます。
《Boulder Drop》(手札からプレイ): 手札のカードを1枚消費して「7点」
《Sledge of Anvilheim》(武器を振る): ピッチのみで手札(山札)を消費せずに「6点」
この2つの行動の差分は、わずか「1点」です。つまり、1点分の打点を伸ばすために、貴重な山札(手札)を1枚まるごと消費していることになります。これは、手札1枚を消費して1点しか出ない「青の《Head Jab》」をわざわざプレイしているのと本質的に同じ(=非常に効率が悪い)というわけです。
対面によって変わる「正しいプレイ」
もちろん、このロジックはすべてのマッチアップで正解になるわけではありません。
アグロ対面の場合: 相手がこちらをキルスピードで押し切ろうとしてくるアグロデッキであれば、山札の温存よりも「今このターンの最大バリュー」を出すことが最優先されます。そのため、カードを消費してでも7点の《Boulder Drop》をプレイするのが正解になります。
Oldhimミラー(コントロール対面)の場合: お互いが強固な防御力を持つミラーマッチでは、ゲームは必然的に「お互いのデッキの表現価値を削り合う泥仕合(ファティーグ戦)」になります。お互いのライフが十分に守られる前提であれば、たった1点のために自分の山札(寿命)を1枚すり潰す必要はありません。そのため、カードを消費しない《Sledge of Anvilheim》を振るのが最適解となるのです。
最後に
正直、ファティーグは一定の足切り性能があるからそこそこ勝率は出せる。だけど、上手いプレイヤーはちゃんとファティーグの対策(抜き方)を用意してるから、どうしても勝率が安定しないんだよね。 それに55分フルに時間を使うから手の内がモロにバレるし、ラウンド間の休憩が潰れることもしょっちゅう。アグロが板。
名古屋的に理論が間違ってたら叱責される。。。
正しい理論は、ベッキーさんが熱く語ってくれるよ。。。
