【開催の想い】教育者のためのソース原理1day講座
教育者のためのソース原理講座を開催することになりました。このnoteではその開催の背景について綴っています。どうぞ最後までお付き合いください!
(この記事を書いている人、講座のグローバルソース)
丸毛幸太郎(まるもこうたろう)
・NPO法人場とつながりラボhome’s vi ファシリテーター
・ティール組織ラボ ソース原理推進担当
2012年からファシリテーションをベースに、研修やワークショップから、新規プロジェクト組成や伴走支援、組織の理念策定まで、幅広い「場づくり」や「プロジェクト」に関わる。現在は「場にいい風をおくる」をコンセプトに、鳥取ローカルと日本全国、リアルとオンライン、を行き来しながら、人と人が関わる場に「ファシリテーター」としてかかわる。
原体験〜ソース原理との出会いまで
私はもともと「コミュニティデザイナー」という肩書きで、地域のプロジェクトやNPO、ソーシャル系の活動団体の立ち上げや運営をお手伝いする仕事をしていました。
「こんなことをやってみたいんです」「仲間をもっと増やしたいんです」そんな声に耳を傾けながら、どう人を巻き込み、協働できる形にしていくか。現場に寄り添いながら、たくさんの善意と熱意にあふれたプロジェクトに立ち会ってきました。
「世の中をよくしたい」と本気で思っている人がたくさんいる。そして、それを応援したいと思って集まってくる人たちも、本当に魅力的で誠実な方ばかりでした。そんな人たちと一緒にプロジェクトを作っていくことは、すごく幸せな経験でもありました。
ただ、正直なところを言えば、全部がうまくいったわけじゃなかったんです。
「なんでこんなに素敵な人たちが集まってるのに、プロジェクトが進まないんだろう?」「どうしてあの人は、辞めてしまったんだろう?」「なんで、こんなにしんどくなっちゃうんだろう?」
そういった“うまくいかなさ”を感じる現場にも、数多く立ち会ってきました。
プロジェクトの方向性が見えなくなったり、善意がゆえに無理が積み重なったり、お金の問題がタブー視されて続かなくなったり、、、。「いいことをしているはずなのに、なぜか疲弊していく」そんな構造の中で、誰かが苦しくなっていく。時には、自分自身がその苦しさの一部になっているような。
内心では「これで本当にいいのかな」と思いながらも、すべてを直視していたら、自分の心がもたない。だから意図的に、あるいは無意識に、目をそらしていたところもあったと思います。
振り返ると、「あのときの自分は、誠実だっただろうか」という問いが、今もどこかにあります。
ティール組織との出会い、そしてソース原理へ
コロナをきっかけに前職から離れていたタイミングで、ティール組織を学ぶ半年間のプログラムの参加者募集を見つけました。直感的に「これは受けなきゃ」と感じ、すぐに申し込みました。 当時、組織を支援する仕事は一切しておらず、いわゆる組織論といったこともやっていませんでしたが、今思うと、頭よりも身体が先に反応したような感覚でした。
このティール組織ラボでの学びが、少しずつ「自分の中の問い」に向き合えるきっかけになったように思います。それまで蓋をしてきたものに向き合い、自分の中にintegrity(誠実さ)を取り戻すような時間でした。もちろん、それだけですべてが変わることはないのですが、確実に自分の中での変容が静かに起こっていることを感じていました。
そして、この延長線上で出会ったのが、「ソース原理」でした。 プログラムの中ではティール組織以外にも様々な関連理論や知見を学んだのですが、これは特に大きなものでした。 最初にこの考え方に触れたときの第一印象は「やばい」っていう感じで、理屈を超えて、身体が先に反応したのを覚えています。ティール組織へ申込したときと同じように。
そこから、私のソース原理を深める時間が始まりました。ティール組織ラボの母体である場とつながりラボhome’s viに2023年4月から合流したこともあり、ソース原理の提唱者ピーター・カーニックに師事した、トム・ニクソン、ステファン・メルケルバッハ、ナディアシュダ・タランチェフスキーなど、ソース原理を体現する人たちとの出会いを重ねることができました。
彼ら・彼女らの「あり方」、ソース原理のレンズを通して世界をみて生きている「在り方」に直接触れることで、知識として学ぶのを超えて自分の体に入ってくるような、「腑に落ちる」という形で理解が深まっていきました。
ソース原理とは何か?
ソース原理の界隈の人たちはよく「新しい言語を学ぶようなものだ」と語っています。「新しい理論」ではなく、人類がずっと昔からやってきたことに、後から名前をつけたようなものだと。
プロジェクトがなぜうまくいくのか、あるいは、なぜ途中で止まってしまうのか。そういう“見えないけれど確かに起きていること”に、言葉と解決への視点を与えてくれるが、ソース原理です。
プロジェクト・パーティ・ビジネス。あらゆる人間の活動は、たった一人の“創始者(ソース)”から始まります。ソース(Source)とは、「アイデアを実現するために最初のリスクを取った人」のこと。その人が最初に“動かした”アイデアのことを、ソース原理ではイニシアチブ(Initiative)と呼びます。
※イニシアチブ(Initiative)が理解しづらいときは、プロジェクトやアクションと置き換えても大丈夫です。
どんなに共同で始めたように見える活動にも、必ず最初に一歩を踏み出した“誰か”がいます。ソース原理は、こうした“ソースの動き”に目を向けることで、プロジェクトやチームのエネルギーの流れ、責任の所在、関係性のズレなどを、表面的ではなく根本的に捉え直す視点を私たちに与えてくれます。
ソース原理を学ぶことで得られるもの
①うまくいくプロジェクトと、そうでないプロジェクトの違いを理解するのに役立ち、うまくいっていない物事に介入する際の手がかりになる。
②活動の「リーダー」だけでなく、メンバー全員の主体性や創造性を存分に引き出すことができるようになる。(あらゆる人が自分の人生のソース役である!)
③プロジェクト発案者(または創業者)の創造性を活かしながらも、独裁や個人プレーになることなくアイデアを実現できる。
④カルチャーや多様性を大切にしながらも、チームや組織が全体としてのまとまりを確保することができる
⑤組織内で生じる立場や役割をめぐる葛藤に、新しい向き合い方が見えてくる
⑥プロジェクトを終えるタイミングで起きがちな混乱や感情のもつれを避け、スムーズな終了、または継承(引継)ができるようになる
教育とのつながり
私は元々教育大学を卒業していることもあり、以前から、友人や知り合いの先生に声をかけてもらい、探究学習やPBLといった“主体的な学び”を推進する学校現場と関わる機会がありました。
例えば、先生向けのファシリテーション研修会に呼ばれたり、生徒たちがプロジェクトを考えるワークショップを企画実施したり、高校生たちが地域の環境を考えるプロジェクトに伴走したりと、様々な形で関わってきました。
各現場でそれぞれ課題感は違ったりもするのですが、多くの先生方との対話を通じて、共通して先生方から聞こえてくるテーマもありました。それは、
「私たち(大人/教員)が、自分の内側とつながれているのだろうか」
という問いです。
生徒の主体性を引き出すための方法論やフレームワーク、実践事例はたくさんあり、先生方もそれらを日々学びながら、すごく真摯に取り組まれています。 しかし、それらを活用する先生自身が、自分たちの内側にある興味関心と繋がり、その繋がっているものから何か物事を決めたり進めたりする経験、つまり主体的に創造的な人生を生きているという実感がなければ、これらの方法論や実践例も、表面的な“技術”としてしか伝わらないと。
「どうなるかわからないけど、やってみたい」「これ、大事かもしれない」そんな“自分の内側の声”に耳を澄まし、それを受け止めて行動に移すこと。 そのプロセスで誰かに思いを伝え、仲間が一人、また一人と増えていく。そうやって“プロジェクト”が始まるのだという原体験を、先生方自身が改めて経験することが重要なのではないかと、現場での対話を通じて、先生たちとの認識を深めていきました。
かつ、これは先生たち自身の問題というよりも、学校という組織やシステム、日々の業務、学習指導要領といった先生方を取り巻く教育のあり方そのものが、内側から湧き出る思いよりも、外部から設定されたゴールやフレームの達成を優先させる構造になってしまっている結果だと思います。
だからこそ、構造やシステムを変えることは難しいからこそ、まずは 教育に関わる人達1人ひとりがそれを体現していくことが、結果的に、自分の関わる生徒さんや学生さんに伝わり、大きな意味での教育に繋がっていくのだと感じています。
そして、ここで話していることこそが、ソース原理で語られていること「そのもの」であり、私が今回の場を企画した理由につながります。
講座の意図について
今回のイベントは、そのステファン・メルケルバッハという人物の“存在”そのものに触れてほしい、そして、ステファンを通して「ソース原理」の本流を感じてほしい、という強い願いから企画しました。
彼が放つ雰囲気や言葉にならないエネルギー、その“あり方”そのものに、できるだけ多くの教育関係者が一度触れてみてほしい。そして、その体験や体感を踏まえて「ソース原理を知ってほしい」というのが、何よりの想いです。
また、今回の場が、終わりではなく始まりとなるようにとも考えています。オンラインでのフォローアップミーティングを開いたり、SNSを通じて参加者同士がゆるやかにつながる場をつくったり、希望者がさらに深く学べる継続プログラムへ進んだりと、ここを出会いと実践の第一歩にできたらと願っています。
対象として想定している方々
今回の企画の原点には、私自身が信頼し、共に教育を語ってきた友人たちの存在があります。これまで学校現場での研修や講座を行ってきた際、いつも声をかけてくれるのは、私の友人たちです。彼らは現場で葛藤しながらも、真摯に子どもたちと向き合い、自分自身も学び続けようとしています。
その友人たちのような、教育に本気で向き合っている人たちに、ソース原理を届けたい。そこから今回の企画は生まれました。
ただし、対象を“私の友人”に限定するものでは、もちろんありません。これはあくまで「出発点」であり、届けたいのはすべての教育関係者です。
特に、以下のような方々にはぜひ届いてほしいと考えています:
探究・PBL・総合学習などに関心がある先生方(特に中・高・大の教育関係者)
子どもたちの主体性を引き出したいと感じている教育関係者
教育に“あり方”の変化を起こしたいと願っている実践者(影響力のある方)
教育現場におけるプロジェクトやチーム運営に悩みを抱える方
この場が、「教育とソース原理が出会う」特別な時間になるように。そして、誰かにとっての「これが始まりだった」と語られるような一日にできたらと思っています。
さいごに
2024年10月のステファン・メルケルバッハ氏との講座は、私にとって大きな転換点であり、ソース原理を日本に広める、という覚悟を持つ上での最後のひと押しとなりました。
それまでの私は、「自分はサポート役が向いているんだ」と思い込んでいました。どこかで「自分はサブソースだ」と決めつけていたところがあったのです。でも、ソース原理の視点から見たとき、それは違いました。
「自分の人生において、だれもがグローバルソースである」
これは、世界の見え方がガラッと変わる瞬間でした。と同時に、自分のCallに対する責任(レスポンシビリティ)をしっかりと受け取り、一歩踏み出して、行動していこうという覚悟をもつきっかけにもなりました。
私が関わってきた教育の仲間たちも、誰かのために尽くす力を持っている人たちだからこそ、「自分の人生を生きるとはどういうことか」という問いに、ソース原理というレンズが新たな視点をくれると確信しています。
この企画は、そうした問いと出会い、揺れ動きながらも、集まる人たち1人ひとりが、次の一歩を踏み出すための場です。
そんな場をステファンと、そして、これを見てくれているみなさんと一緒に創れることを、私は本当に嬉しく、楽しみにしています。
