「生徒に合わせすぎて軸がブレてしまっているのです・・・
「生徒さんに合わせすぎてしまって、自分の指導の軸がブレている気がする
そう悩んでしまうこと、ありますよね。でも、その揺れ動くお気持ちこそ、
先生が目の前の生徒さんの個性や想いを何よりも大切にしようとしている、
誠実さではないでしょうか?
結論から言えば、
先生は軸がブレているのではありません。
「軸の定義」を、より深くてしなやかなものへ
アップデートするタイミングだと思います。
ウェルビーイングとSEL(社会性と情動の学習)の観点を交えて、
プロフェッショナルとしての「しなやかな軸」について詳しくお話ししますね。
それではぽこあぽこピアノ教室の場合をご説明させていください。
「ぽこあぽこ教室ビジョン」は
「音楽を通じ、個性を大事に一人ひとりの想いを応援する」
「ブランド・プロミス」は
「そして自分を好きになる事」です。
ある日のぽこあぽこピアノ教室の実際のレッスン例
生徒さんが「話が夢中で」レッスンが全然進められない時がありました。
普通なら
「ちゃんと練習しようね」
「ここまでやろう」となりがちですが
ずっと今弾きたい曲の話ばかりをしているのです。
テキストを優先するか?
その子の“今の気持ち”を優先するか?
ここで迷うのが“軸の問題”
軸が「自己肯定感」なら
「その曲、ちょっと弾いてみよっか」
「好きな所だけちょっと弾いてみる?」
これが正解ちゃいますか?
そしてこの後
気持ちが満たされた生徒さんは、
テキストの課題をきちんとこなしてくれました。
1. 軸とは何か:「手段(Method)」ではなく「目的(Vision)」にある
多くの場合、先生が「ブレる」と感じてしまう原因は、
教材の進め方や教える順番といった「やり方(手段)」を軸だと思っていらっしゃると思うのです。
手段(テキストや進度)は変わっていい
教材を「絶対的な基準」とは考えません。
それはあくまで生徒さんに音楽を伝えるための「ツール(道具)」に過ぎないからです。
本来の軸は「ビジョン」と「プロミス」:
私の教室には、「音楽を通じ、個性を大事に一人ひとりの想いを応援する」というビジョン と、
「そして自分を一番好きになる事」というブランド・プロミス があります。
「この教材を終わらせること」を軸にすると、生徒さんが詰まった時や「練習してこない」「話ばっかりで中々レッスンに繋がらない」
など色んな場面でブレを感じてしまうのではないでしょうか?
でも「この子が自分を好きになること」を目標にすると言う軸に据えれば、
テキストを横に置いて一緒に笑ったり、
極限まで課題を細分化したりすることはブレではなく
「軸に沿った正しい選択」になります。
2. SEL(社会性と情動の学習)で読み解く「合わせる」という高度なスキル
生徒さんに合わせるという行為は、
実はSELの5つの領域をフル活用した、非常に知的なプロの仕事です。
自己認識・社会的認識:今、この子の心はどこにあるのか?何に困っているのか?を敏感に察知するアンテナです。
自己管理:講師自身の「早く進めたい」「正解を教えたい」という指導欲をコントロールし、生徒のペースを待つ「我慢」のことです。
責任ある意思決定:数ある指導法の中から、今この子に最も響くアプローチを「最新の状態にカスタマイズ」して選ぶことです。
「合わせる」ことが曖昧なまま行われると「流される」ことになりますが、
そこにビジョンへの意図」があれば、それは高度な戦略的指導となるのです。
3. ポリヴェーガル理論:なぜ「合わせる」ことが最優先なのか
神経系の安心・安全を説くポリヴェーガル理論の視点で見ると、
教育が成立するのは、生徒さんが「安心・つながり(腹側迷走神経)」の状態にいる時だけです。
不安や緊張を感じている生徒さんに、無理やり「軸」を押し付けても、
脳は防御モードに入って何も吸収できません。
先生が寄り添い、生徒さんの今の状態に合わせることで初めて、
教室は「心理的安全性の高い居場所」になるのです。
4. ウェルビーイング:内側に「自分だけの基準」を持つ
「流される」状態から抜け出す一番の薬は、
評価の物差しを他人の感覚に任せないこと
保護者の方や世間の「普通」と比べるのではなく、
誰よりも近くで生徒さんのために心を砕いている先生自身が、自分の行動を評価されたらいかがでしょうか?
「生徒さんの小さな変化に気づいて、今日のアプローチを変えた私、さすがやな!」
「生徒さんのありのままを丸ごと受け入れた私は、やるな!」
先生自身の心が満たされている(セルフ・ウェルビーイング)ことが、
結果として生徒さんに最高のハッピーなエネルギーを伝えることが出来るのです。
5. 迷った時の「まるみえ先生・しなやかな軸」チェック!
もし指導の中で迷いが生じたら、心の中でこの3つを問いかけてみてください。
【安心】 この関わりは、生徒さんが「ここは私の居場所だ」と安心することに繋がっているか?
【自信】 この関わりは、生徒さんが「私は私のままでいいんや!」と自分を好きになる(自己肯定感・自己効力感)ことに繋がっているか?
【情動】 この関わりは、生徒さんが「音楽って面白い!やってみたい!」というワクワク(情動)を引き出せているか?
これらがYESなら、たとえ予定していたレッスン内容と180度変わっても、先生の軸は1ミリもブレていません!
まるみえ先生から・・・
私は軸とは固定された一本の棒ではなく、しなやかに揺れる「葦」のようなものだと考えています。
軸って動かないものみたいに思うんですけど・・・
一人ひとりの生徒さんに合わせて、揺れたって良いんですよ。
大事なのは根っこ・・・土台だけは絶対に動かない!
生徒さんに合わせることは、弱さではありません。
それは、先生の「生徒さんへの愛情」です。
私が育てているのは一人ひとりの生徒さんの「ここだ」をしっかりと決める事が大切だと思います。
こういうアプローチができるのは私だけだ!と自信を持ちましょう!

中西美江(なかにし・みえ)プロフィール
「目の前で書くレッスン」: 市販のテキストに入る前に、5線ノートを使い、生徒一人ひとりの得手・不得手を見極めながら「目の前のあなたのために」内容を書き込む独自のスタイルをと名付けてレッスンをしています。
オリジナルメソッド: ポピュラーやジャズの要素を取り入れ、長調と短調を同時に練習して効率的に音楽理論を習得させるなど、独自のカリキュラムを展開しています。
先行練習の徹底: 生徒が新しい課題でつまずかないよう、2歩先を見据えた「先行練習」を行い、自信を持って次のステップへ進めるようサポートしています。
【教育理念・ビジョン】
「音楽を通して、個性を大事に一人一人の想いを応援する」を教室のビジョンに掲げています。
技術向上だけでなく、ピアノを通して**「知る喜び」「弾く楽しさ」「私が私であることに自信を持つこと」を伝えることを最優先としています。
講師を「音楽という大きな樹の下で、子どもの成長を見守る大人」と定義し、音楽以外の心身の成長も大切にしています。
【私のマインドセット】
講師自身が楽しむ: 「生徒のために」という義務感ではなく、「自分が一番楽しむ!」という熱量が、生徒や保護者のやる気を引き出す最大の鍵であると考えています。
失敗への寛容さ: 失敗を「大したことではない」「振り返るチャンス」と捉え、講師自ら失敗を見せることで、生徒が安心して挑戦できる「心理的安全性の高い場所」を作っています。
ありのままを受け入れる: 全く喋らない生徒や練習ができない生徒も、その時の状態を丸ごと「OK!」と肯定し、生徒の全てを受け入れる姿勢を大切にしています。
【主な活動】
雑誌『レッスンプラスワン』にて、連載コラム「聞いて!まるみえ先生」を執筆し、全国のピアノ講師の悩みに答えています。
「教室運営法」「体験レッスン成功法」「続けることのできるレッスン法」などをテーマに、各地で精力的に講座を開催しています。
ぽこあぽこピアノ教室H P
ぽこあぽこピアノ教室 | 奈良 新大宮 www.pocoapoco-piano.com
中西美江のまるみえHP
https://www.pocoapocopiano3.com/
只今ピアノの先生の為の情報紙「レッスンプラスワン」にて
「聞いて!まるみえ先生」コーナーを約10年担当
ピアノの先生の様々なお悩みにお答えしています。
https://plus.musenet.co.jp/marumiesensei/
