「生徒の上達を感じられません。私の指導法に問題があるのでしょうか?」
日々のレッスンに、真剣に向き合うからこそのお悩みだと思います。
では「上達」について考えてみましょう
そもそも「上達」って、なんでしょう?
「上達が感じられない」や「中々上手にならない」など
の発言を聞いたりしますが、
「上達」って、何のことですか?
テキストが進むこと?
難しい曲が弾けること?
コンクールで入賞すること?
もしそれだけが「上達」なら
なんだか味気ない事やなぁ〜と思ってしまいます。
ピアノ教室というのは、
生きていく上で大事な心を育んでくれる
「音楽」の楽しさ・素晴らしさを伝える事を
最優先に考えている場所で良いのではないでしょうか?
「上達」の定義をもっと広げたらどうでしょう?
「できた!」を細分化してみましょう
たとえば今週のレッスンを思い返してみてください。
・ちゃんと挨拶できましたか?
・先生の目を見て話せましたか?
・先週より少しだけ指が動いていませんか?
・「やってみる!」と言いましたか?
・最後まで席を立たずにいましたか?
全部できていたのなら、それこそが「上達」です!
「できない → やってみたい! → できた!」に
変わるその過程に、小さな「できた」がたくさん詰まっているんです。
「進まない」を言い換えてみましょう
こんな風に言い換えたらいかがでしょう?
「自分の好きな曲しか練習しない」→「自分の好きな曲は練習してくる」
「この子は練習しない子」じゃなくて
「好きなことには動ける子」なんです。
見る角度を変えると
↓
先生の関わり方が変わります
↓
関わり方が変わると
↓
生徒さんの反応が変わります。
「上達しない」の本当の理由を探る3つの問い
指導法を変える前に、まずこの3つを確認してみてください。
問い①:生徒さんは「安心」していますか?
ポリヴェーガル理論では「安心している状態のとき」しか 人は学べません
・固まっていませんか?
・先生の顔色を見ながら弾いていませんか?
・間違えたとき、縮こまっていませんか?
「これで良いのかな?」「間違えていたらどうしよう」という不安感は、
すぐ隣に「これで良いんだよ」と言ってくれる人がいないと
安心して前に進めない、という状態から来ています。
上達の前に必要なのは 「安心できる場所」かどうかなんです。
問い②:生徒さんに「自信」はありますか?
少しでも練習してくる曲の演奏を録画して、
次回までにどんな進歩があったかを自分で確かめてもらう。
これ、私がよくやる方法です。
録画して「見比べる」ことで、自分の演奏を客観的に観ることが出来ます。
先生が「上達したね」と言うより
生徒さん自身が「変わった!」と実感できる
この「自分で気づく」体験が 自己効力感をつくります。
問い③:生徒さんの「弾きたい曲」がありますか?
子供の内側にある"やる気のタネ"を見つけて育てるのはどうでしょう?
「弾きたい!」「やってみたい」というエネルギーこそが
「上達」への最強のエンジンです。
・「これ弾きたい!」と言う曲はありますか?
そこに「やる気のタネ」があるかもしれません。
指導法より先に変えるべきこと
実は「指導法に問題があるのでは?」と先生が思い始めるとき
多くの場合、問題は指導法ではありません
問題は
「何をもって上達とするか」の定義
をはっきりと自分の中で作っておくことが大事だと考えています。
「それだけしか練習してこなかったの?」ではなく
「わぁ、こんなに練習してきたんだね。うれしい!
練習したことは全部〇〇ちゃんの身につくんだよ」
言い方を変えるだけで、生徒さんの神経系が「安心」側に整って
初めて「学ぶ準備」が整います。
具体的に、明日からやってみてほしいこと
① 「できた!」を書き出す
レッスン後、ノートに「生徒さんができたこと」を
書き出してみてください。
それを、生徒さんと一緒に確認する。
そして、次回への課題を共有する。
② 教材を「進まないとダメだ」と言う考えをやめてみる
導入期の場合は、テキストが進まないなら
テキストの順番を変えていい
好きな部分だけやっていい
目の前で新しく楽譜を書いていい
生徒さんに、先生が考えて作成した課題を出してもいいじゃないですか!
それは「ブレ」じゃなくて **「目の前の生徒さんファーストのレッスン」**です。
③ 「どんな練習をすればいいと思う?」と聞いてみる
「どんな練習をすれば良いと思う?」など、
自分で練習プランを考えてもらう。
自分で決めた練習は やってきます。
なぜなら「自分が決めたから」です。
SELでいう【自己決定】の力が育つ瞬間です。
■最後に、先生へ
指導法に問題があるかどうか、ではなく
今日その子の小さな「できた」を見つけられたか
そこだけ意識してみてください。
先生の生徒さんを見る目、感じる想いが
「あっ!前よりちょっと指が動いてる!」と笑顔になるだけで
教室の空気が「いい流れ」に変わります。
それこそが生徒さんへの一番大事な事だと思います。
「生徒が楽しく続けられる教室づくり」の土台は、
テキストでも指導法でもなく
先生が自分のレッスンを「楽しい」と思えているかどうか
だと私は確信しています。
