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カッコいい大人の装い

 年齢を重ねると、見た目が気になる。
 これが逆になってしまう人がほとんどのような気がするのは、自分の好みやこだわりといったフィルターをかけず、ただ無難なグレーや黒に逃げている人をたくさん見ているからかもしれない。
 ・・・しかし私はそれは嫌だ。だからこの歳になっても、かなりもがいている。

 とはいえ、流行の先端を追いかけて街を歩く気はない。正解も終わりも無いあの戦いは、若い人がやればいいことだから。いい歳して若者に迎合したようなことをやると、ただただこっ恥ずかしいだけだ。

 ではどうするか。
 私の中で設定している条件は以下の4つ。

① 頑張らなくても成立する
② 若い世代も普通に着ている
③ 最低限の品は保っている
④ そして洒落っ気は忘れていない

この4つを満たす服は、驚くほど少ない。だが、無くはない。今回はそんな希少アイテムを並べてみた。


◇   ◇   ◇   ◇   ◇

◎ 靴 《ドクターマーチン 1461》

 スニーカーが流行っている。だが、あれは誰にでも似合うようで、実はそうでもない。特に、ある程度年齢を重ねた人間が、ジャケットにスニーカーを合わせているのを見ると、どうにも落ち着かない。
 「頑張ってる感」を感じるからだ。
 そこで今回のテーマや条件にピッタリの靴を紹介したい。

 「ドクターマーチン1461」である。

 あれはただの革靴ではない。私はあの靴は「足元の普遍」だと思っている。丸みのあるつま先に厚めのソールが、キレイすぎず、崩れすぎもしない。カジュアルにも振れるし、キレイ目にも逃げられる。しかも不思議なことに、誰が履いてもそれなりに成立するのである。

 黒のスリムパンツと合わせたときの安定感・マッチ度は、「サンマに大根おろし」だ。完成しているのだ。

ドクターマーチン1461
洗練されたフォルムにつつまれてはいるが、
元はワークブーツゆえワイルドさもあわせ持つ
チェリーレッドも goo
キレイな装い方の一例
私自身、この色がヘビロテだ


◎ アウター 《ダブルライダース》

 革ジャンに抵抗がある人は多い。しかしだいたいは、頭の中にある「ワル」のイメージのせいだ。だが、それは着方の問題であって、服の問題ではない。

 ライダースにはシングルとダブルがあるが、はなはだ勝手な論理ながら、年齢を重ねた人間にはダブルのほうがいい。シングルは、妙にイチビッて見える瞬間があるからだ。ダブルはそこをうまくぼかしてくれる。野暮ったさも、色気も、同時にあわせ持っているのだ。

 ワイシャツにネクタイでも成立するあたり、もはやジャケットの代わりにもなるすぐれもの、それがダブルライダースである。
 私自身は汗ばむ可能性が低い時期、要するに1年の半分以上は、これ無しで生活しにくい。

 白Tシャツの上にダブルライダースを羽織ったときの噛み合い方は、まるで「炊き立てのご飯に乗った明太子」である。説明はいらない。

ダブルライダースをビジネス向けに着た図
ダブルならではの雰囲気が出る


子供にもピッタリ
カワイく、カッコよく、またオシャレだ


◎ ボトムス 《黒のスリムパンツ》

 結局ここに戻ってくるパンツ、それが黒のスリムパンツだ。
 世にパンツは山ほどあるが、ここまで間口の広いものはそうない。
 ただし条件がある。「細すぎないこと」である。いわゆるスキニーは別物だ。あれは若くて脚が細く長い人間の特権であって、万人の道具ではない。

 黒のスリムパンツはスキニーとは似て非なるモノだ。多少の体型も、年齢も、全部まとめて受け止める。単体で地球上に住まう80億人に合う、ということに加え、取り合わせとしてシャツや上着、髪型やメイク、果ては靴など、どんなパターンにでも応え切る。そこに変な色気を出さなければ、まず外さない。
 「困ったらこれを穿けばいい」 そう言い切れるモノだからこそ、年配者が選ぶべきアイテムなのだ。当り前だがバギーパンツだと、そうはならない。

 黒のスリムパンツに 白のボタンダウンシャツ。このピッタリ感はもはや「お好み焼きにオタフクソース」レベルである。この組み合わせを考えた人には、ノーベル平和賞を差し上げたい。

ユニクロのサイトから拝借
シルエットが上品だ
長さは好みが分かれるところ


◎落とし穴
 《TシャツとGパン》

 この2つは簡単そうで、一番難しい。誰でも着ているが、誰にでも似合うわけではない。

<Tシャツ>
 Tシャツ一枚は、逃げ場がない。体型も年齢も、そのまま出る。誰にでも似合う、とは妄言である。特に年配者にとって、柄物のTシャツは、ともすればヤケクソ感がある。
 「エーイ! イテマエ!!」という気概があってそうするならともかく、オシャレだろうという思惑で柄物を選ぶのは、低価格のモノであろうと高級ブランドのモノであろうとなかなか厳しいと思う。

<デニム(Gパン)>
 いわゆるGパンもTシャツと位置付けは同じだ。特にストレートのタイプはごまかしが効かない。
 例えばリーバイス 501。歴史も貫禄も申し分ないが、あれをカッコよく穿ける人間は、実はかなり限られる。脚の長さが、そのまま結果になるからだ。

◎最後に

 ダブルライダースに黒のスリムパンツ、足元はドクターマーチンでキメて出かけてみたとする。
 もちろん若者がそれを着ているのはいい。よく似合うだろう。

 でももし背筋を伸ばして歩く老夫婦が、そんな装いだったらどうか?

 きっと、かなりカッコいい。少なくとも私には、そう思える。

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