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#004 スポーツビジネスに駆逐される私たちサッカーファン

先日、名古屋に出かけたついでに少し足を伸ばして愛知県体育館に代わる新たな愛知のスポーツ・エンターテインメントの聖地、IGアリーナで名古屋ダイヤモンドドルフィンズのバスケットボールを覗いてきました。
ドルフィンズは赤い三菱のダイヤモンズです💔

駅直結、テクロノジーも満載の洗練された立派なアリーナでした

最近、縁あってバスケットボール、ラグビー、バレーボールなどプロスポーツ関係のご縁を頂戴し、いろいろな競技の会場に足を運ぶ機会が増えたのですが、それらに触れていると日本人にはアメリカンスポーツ的な、主催者やお上の方から与えられたエンタメ環境を、型通りに楽しむショー形式の観戦体験が向いているという事実が、肌感覚レベルでわかるようになってきました。なってきてしまいました。  

事業者側は、サッカーのような天候も、会場も、選手も、観客もコントロールしにくい競技よりも、バスケや野球のようなコントロールされたショーにステークホルダーみんなをうまくハメこんだ方が、演出もコントロールしやすく、観客もストレスが少ないから来場も増え、SNSの好意的な拡散もしてもらいやすく、広告効果も確実にお約束ができて儲かりますよね。実際、そういうスポーツ興行ほど売上がどんどん伸びている。元々アメリカンスポーツである日本のバスケがこうしたコントロールド・ショーの路線に向かうのは必然で、身近な先輩である野球が我が国に定着させた価値観やリソーセスも流用しやすい。そして、パートナー企業もサッカーなんかよりこうしたコントロールしやすいスポーツを相手にした方がビジネスを組み立てやすいでしょう。

平日でも10,000人くらい入ってました。演出も、広告の売り方・出し方も洗練されています。

一方で、私たちサッカーファンは、同胞たるファンサポーターのコミュニティの反対側にいるチーム、クラブ、協会、広告代理店などの"権力の側"から押し付けられた演出や空間を毛嫌いし、自らの主体性を是とした自己表現や示威行動にアイデンティティを見出す傾向にあります。つまり、スタジアムでもSNSでも私たちは興行主やそのパートナーがビジネスパフォーマンスとしてコントロールできない"不確実性"です。しかし、このサッカーという競技が私のような世界中のアンコントローラブルな貧困層や社会不適合者をやさしく包摂し、競技の発展と普及の活力に変えてきた歴史がある以上、サッカーにこうしたインディペンデントなカラーがついているのは仕方ないことであり、その環境に育てられた者としてはある意味そのカラーが誇らしくもあります。  

おしゃれなBGMよりも自分自身が発する汚い叫び声に酔う。推しの選手名がプリントされた応援タオルを買わされるくらいなら、ミシンとペンキでお手製の幕や旗を振り回したがる。
クラブから大量配布されるベースボールシャツをdisりつつ欧州南米のならず者のファッションをパクり、旅行会社の用意したツアーよりも自前のバスや車でケツを痛める弾丸旅団を愛する。
フリースローのブーイングをチアに煽られて上品にぶーって言うくらいなら納得いかない判定やプレイに対し全身で腹を震わせて恥ずかしいジェスチャーをお見舞いし、出入禁止を喰らえば生還者からは名誉の戦死と讃える。

米国と欧州のバスケのファンカルチャーの違いを説明した動画。欧州や南米に持ち込まれるとアメリカンスポーツがこんなふうに"サッカー化"してしまう。なお動画では、米国バスケはファミリーとビジネス向けのエンタメと説明されている。

こうした自主性、アイデンティティ、屈折したクラブ愛というかただ撒き散らされる迷惑な自己愛が何千人単位で集まり化学反応を起こして爆発するパワーは、アメリカンスポーツ的な枠組みに人とカネをはめ込んで稼ぎたい主催者・パートナー企業やファンにとってははっきり言ってコントロールしにくくて迷惑なのですが、これらサッカーのカルチャーやアイデンティティが生み出す面倒なパワーは、時に勝敗に影響を与え、そして時に社会を動かしてきました。私は、世界中のサッカー場から発せられるこのパワーは、最近のアメリカンスポーツのそれよりもよっぽど人間性が尊重された、生々しい情念が渦巻く、美しいものだと思っています。

思い切り撒き散らされる迷惑な自己愛😆
しかし時に人の心を、そして社会を動かします。

私たちは、近年の商業化、エンタメ化によってかなり減衰してしまったこの面倒なパワーの使いどころ、活かす途を、サッカーやその周りの社会活動、ビジネス等のどこかに見出すことができないでしょうか?
サッカーに何とか救われ、育てられ、生き延びることが叶った私のような社会不適合者は、今こそこれを考え、形にしなければならないと思っています。
こんなパワーは、もはやこの国にはサッカー場にしか残っていないはずですし、そのサッカーにもアメリンスポーツのようなきちんとしたスポーツマーケティングが打ち込まれつつある昨今、これに押し流されていけば、残念ながらサッカーのパワーも骨抜きにされて滅び、管理型の穏やかなショースポーツビジネスに改造されてしまうでしょう。

そうなってしまったら私のような老害はもう懐古趣味に走るしかありません。
DAZN中継でイタリアの田舎で中指立ててマジギレするみっともないおっさんの時代錯誤な姿をあくびして観ながら死を待つだけの人生を送ることにします。もしくは、かつて私が心奪われたメキシコ3部リーグに再び引き込まれ、ゴールキックのたびに放送禁止用語をシャウトしながら彼方の世界へ行くのも悪くありませんね。

あでぃおすあみごす
ちゃう

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