いたよ、そこにいたよ、マイケル・ジャクソンが。。。でも、"キング"を作るも壊すも親なんだなと思った『Michael/マイケル』
【個人的な満足度】
2026年日本公開映画で面白かった順位:2/52
ストーリー:★★★★★★★★★★
キャラクター:★★★★★★★★★★
映像:★★★★★★★★★★
音楽:★×20
映画館で観たい:★★★★★★★★★★
【作品情報】
原題:Michael
製作年:2026年
製作国:アメリカ
配給:キノフィルムズ
上映時間:127分
ジャンル:伝記、音楽、ヒューマンドラマ
元ネタなど:歌手「マイケル・ジャクソン」(1958-2009)
公式サイト:https://www.michael-movie.jp/
【あらすじ】
※映画.comより引用。
野心家の父ジョセフ(コールマン・ドミンゴ)のもとで厳しいレッスンを受け、兄弟グループ「ジャクソン5」のメンバーとして幼くして成功を収めたマイケル・ジャクソン(ジャファー・ジャクソン)。
やがて名プロデューサーのクインシー・ジョーンズ(ケンドリック・サンプソン)と出会った彼は、ソロアーティストとして数々の歴史的名曲を生み出し、瞬く間に時代の寵児となっていく。
しかしその栄光の裏には、早熟の天才ゆえの孤独感や、強権的な父の呪縛、家族への愛と自分の中にあふれるビジョンとの間で葛藤するひとりの人間の姿があった。
【感想】
「この世に彼を知らない人なんているの?!」ってぐらい、人種も国境も飛び超えて愛される歌手マイケル・ジャクソン。
昔から洋楽をまったく聴かない自分でも、その名前、顔、いくつかの歌とダンスは知っています。
つまり、それぐらい彼は日常に溶け込んでいるというか認知度が高いんですよ。
彼の死後、あのマドンナに "Michael Jackson was a human being but damn he was a king. Long live the king." と言わしめたのがその偉大さを物語っていますね。
本作はそのマイケル・ジャクソンの伝記映画です。
今週末限定の先行上映にて鑑賞してきました。
通常のスクリーンではなく、IMAXやドルビーなどのラージフォーマットでの鑑賞を強く強く勧めたいほど、歌とダンスのパフォーマンスが圧巻でした!
<甥っ子に宿った“本物のマイケル”と名曲の数々>
伝記映画って、多くの場合は題材となる人物を知っていなければ観ようとも思わないですし、基本的は史実に沿って描かれるから、よほど波乱万丈な人生を送っていなければ、割と淡々と進んじゃってちょっと退屈だったりするじゃないですか。
でも、マイケル・ジャクソンに関してはその心配が一切ないですよね。
抜群の知名度を誇り、世界中が彼のパフォーマンスのすごさを知っていますし、何かとスキャンダラスだった彼の人生に興味を持っている人も多いはず。
だから、マイケル・ジャクソンを題材に選んだ時点で勝ち確定みたいなところはあるんじゃないでしょうか(興行的に)。
で、今作で一番注目なのが、そのマイケルを演じた人物だ。
その名もジャファー・ジャクソン。
彼の父はジャクソン5のメンバーで、ジャクソン家の4番目の子どもであるジャーメイン・ジャクソン。
なので、マイケルの実の甥に当たるわけです(ちなみにマイケルは8番目の子ども)。
この時点でもう運命としか言いようがないですよ。
まさかマイケルと同じ血が流れている人物がマイケルを演じるなんて。
正直、ジャファーの顔ってマイケルとは似ていません。
でも、スクリーンの中の彼に、ふとした瞬間にマイケルそのものを感じるときがあるんです。
もちろん、メイクや髪型、衣装の影響もあるんですけど、あの立ち振る舞いや仕草、歌やダンスの完成度など、見事なまでにトレースされた一挙手一投足を観ていると、本当に本人がそこにいるかのような感覚になります。
そんな彼が披露する名曲の数々。
『Thriller』(1982)や『Beat It』(1983)、『Billie Jean』(1983)など、ソロ活動が始まってからの歌はもちろんのこと、ジャクソン5時代の『ABC』(1970)や『I'll Be There』(1970)、『Ben』(1972)なども聴けたのがうれしいかったですね。
個人的に、『Ben』は昔、TBSのドラマ『あいくるしい』(2005)で聴いて以来好きだったので、流れた瞬間にメチャクチャテンション上がりました!
<"キング"を作るのも壊すのも親>
でも、華やかなスター街道の裏側で、これでもかってぐらいマイケルを苦しめるのが、父であるジョセフ・ジャクソン(コールマン・ドミンゴ)の毒親っぷりです。
貧困から抜け出したい一心で子どもたちに一切の妥協を許さない歌のスパルタ教育を行い、ちょっとでも口答えしようものなら末っ子のマイケルでさえ容赦なくベルトで引っぱたくんです。
マイケルが成功したのは生まれ持った類まれなる才能の他に、この父親による厳しい特訓もあったと思うと複雑な気持ちになります。
劇中で、マイケルが大事なことを自分の口から言えない癖があるように見えるのは、この父親のトラウマのせいなんじゃないかと思います。
強く言い返せなかったがゆえに、やりたくもない父親主導のツアーに参加するハメになり、ペプシのCM撮影中に頭部に大やけどを負う事故にも繋がってしまいました。
普通ならブチギレて途中で帰ってしまってもおかしくない状況なのに、マイケルはそこから自分の存在意義を見つめ直し、ツアーを再開して最後までやり遂げるという行動には恐れ入ります。
そこでようやく父親に"No"を突きつけられるんですが。
ちなみに、マイケルはこの火傷による激しい痛みと皮膚移植の治療で鎮痛剤を使用したことをきっかけに依存症に陥ったそう(それはもう少し後の話ですが)。
なお、ここでも父親はやけどをしたマイケルの身を案じるよりも、自分の主催したツアーの行く末を気にする始末。
貧困から抜け出したいがために、マイケルの手柄でさえ自分のものだという意識が強く、家族全員が呆れ果てている描写が父親の暴走を物語っていましたね。
母親だけが唯一の味方で、そもそもマイケルの才能にいち早く気づいたのは彼女ですが、"キング"を作るのも壊すのも親なんだなと思いました。
<多くの人に愛されながらも常に感じている孤独>
そして、全編を通して感じたのが、マイケルの底知れぬ孤独です。
幼少期からすでにスターだった彼は、「同い年ぐらいの子は僕と写真を撮りたがる」と、自分と自分以外の人間の差異を感じていました。
スターゆえの忙しさもあってか、彼がプライベートで年の近い子どもといっしょに遊んでいる描写は一切ありません(実際はあったのかもわかりませんが)。
大人になってからも、兄弟といっしょに遊ぼうとツイスターゲームを買ってくるんですが、断られてしまうシーンがあって。
あのとき、家族の中でさえもマイケルの居場所はないのかなと胸が絞めつけられそうになりましたね。
結局、マイケルが何の打算もなくいっしょにいられたのは、ペットのチンパンジーのバブルスだけだったっていうのが何よりも孤独の深さを表していると思います。
彼が病院で入院中の子どもたちを慰問していたのも、純粋な優しさはもちろんですが、同世代の友達がいない寂しさの裏返しだったのかなあ、なんて邪推しちゃいます。
<そんなわけで>
僕は特段マイケル・ジャクソンのファンというわけではないんですが、そんな自分が観てもとてつもなく面白いと感じる映画でした。
人間離れしたと言っても過言ではないパフォーマンスの数々に圧倒されっぱなしの2時間で、その煌びやかな「光」の部分に興奮しつつも、裏にある父親との確執やスターゆえの孤独など「闇」の深さに胸を打たれる見ごたえある人間ドラマに仕上がっています!
これはぜひIMAXで観てほしいですね。
それも最大級の大きさを誇るIMAXで、です(グランドシネマサンシャイン池袋か109シネマズ大阪エキスポシティの)。
あの巨大なスクリーンで観るムーンウォークは格別ですよ!
そういえば、ジャネット・ジャクソンの姿が一切なかったのは大人の事情ですかね。
あと、今回の映画って二部作って噂があるようで。
そのせいか、すんごいブツ切りで終わっちゃうんですよ。
続編があるならあまり間を空けずに観たいです。
