人類も行ってきた植民地支配をベースに、バディの絆をより深め、自分らしくあることの大切さも教えてくれた『ズートピア2』
【個人的な満足度】
2025年日本公開映画で面白かった順位:30/121
ストーリー:★★★★★
キャラクター:★★★★★
映像:★★★★★
音楽:★★★★★
映画館で観たい:★★★★★
【作品情報】
原題:Zootopia 2
製作年:2025年
製作国:アメリカ
配給:アニメ、ディズニー
上映時間:108分
ジャンル:アクション
元ネタなど:映画『ズートピア』(2016)
公式サイト:https://www.disney.co.jp/movie/zootopia2
【あらすじ】
※映画.comより引用。
あらゆるタイプの動物たちが平和に暮らし、「誰でも夢をかなえられる」という理想の楽園ズートピア。ウサギで初めて警察官になるという夢をかなえたジュディは、以前にも増して熱心に任務にあたり、元詐欺師のニックも警察学校を無事卒業して警察官となった。
再びバディを組むこととなった2人は、ズートピアに突如現れた指名手配犯のヘビ、ゲイリーを捜索するため、潜入捜査を行うことになる。ゲイリーは一体何者なのか。
やがてジュディとニックは、ゲイリーと爬虫類たちが隠すズートピアの暗い過去にまつわる巨大な謎に迫っていき、その中で2人の絆が試されることとなる。
【感想】
「ディズニー長編アニメーション映画」第64作目。『ズートピア』シリーズ第2作目。前作でステレオタイプな先入観やそこから生まれる差別を乗り越えてバディとなったウサギのジュディとキツネのニック。その2人の絆が試される本作は、またもや子どもと観たいと思わせる魅力にあふれる作品でした。
<人間の負の歴史を再現しながらもうまくエンタメに仕上げる秀逸さ>
本作の下地にあるのは植民地支配です。もともとズートピアには爬虫類も住んでいたのですが、あることがきっかけでオオヤマネコの一族に追い出されてしまうんです。彼らはツンドラタウンを我が物顔で支配し、爬虫類たちはズートピアに隣接するマーシュ・マーケットに身を潜めることに。ところが、オオヤマネコ一族が領土の拡張を目論んでおり、そうなるとマーシュ・マーケットもなくなってしまいます。そんな中でズートピアに突如現れたヘビのゲイリー。これまでズートピアには爬虫類はいないとされていたのでまわりは大パニック。ゲイリーの目的とズートピアに隠された秘密を追うのが本作におけるジュディとニックの役割です。
もともと住んでいた人たちを追い出し、力で土地を支配するというのは、人類も行ってきた植民地支配そのものですよね。前作の草食動物と肉食動物の間にあった差別問題もそうですけど、このシリーズでは人類の負の歴史を動物たちを使って追体験しながらも、教訓めいた形にせずエンタメとして成立させているところがうまいなと感じます。
<思っているだけじゃ伝わらない>
そんな植民地支配の話をベースにしつつも、本作の要となるのがジュディとニックの絆です。やる気に満ち溢れて空回り気味のジュディと、何かと斜に構えて彼女の熱血さにブレーキをかけるニック。今回は2人のそのスタンスの違いがバディ解消の危機へと繋がっていきます。ゲイリーを追う過程で2人は物理的に離れ離れになってしまうんですが、それがきっかけとなってジュディとニックはそれぞれ自分と向き合うことになります。なぜ、ジュディはいつもそんなにがんばるのか。なぜ、ニックはそんな彼女を止めようとするのか。お互いが自らの気持ちに気づき、本音を語り合うシーンは目頭が熱くなります。現実世界でも、人はつい他人と自分を比べてしまいがちですが、実はそんなことはナンセンス。自分は自分のままでいいんです。他人にはない自分のよさが誰かを救うこともありますし、その逆もまた然りです。ジュディの熱血さがあったからこそ犯人逮捕に繋がりましたし、ニックの制止があったからこそ大きなケガもなく済んでいるんです。みんなそれぞれにいいところがあるというのがよくわかるので、自分に自信がない人にはぜひ観てほしい作品です。
<他作品へのオマージュも必見>
また、本作は他の映画のオマージュシーンがあるのも注目です。前作から登場しているトガリネズミのミスター・ビッグは『ゴッドファーザー』シリーズ(1972-1990)のヴィトー・コルレオーネ(マーロン・ブランド)を元にしていますが、本作では『レミーのおいしいレストラン』(2007)のネタもあるのでぜひ探してみてください(けっこう一瞬ですw)。中でも個人的にツボだったのが、夢とロマンにあふれるディズニー作品でありながら、ホラー映画の名作である『シャイニング』(1980)ネタを差し込んできたところです。まったく異なる世界観をうまく融合させたクリエイターの手腕に脱帽でした。
<そんなわけで>
前作では草食動物と肉食動物が前代未聞のバディになる過程を描いていましたが、本作はそのバディの絆をより掘り下げた作品となっています。子どもが映画館に行ける年頃ならば、ぜひ親子で観に行ってほしいです。そして、続編がありそうな終わり方も気になります。まだ登場していない動物が次回作のヒントですかね、、、?
