Photo by
komaki_kousuke
短編小説『三月はスカしてる』
三月はすました顔をしてやってくる。
一年のうちどの月より偉そうに、傲慢に、スカした顔でふんぞり返る。
あと1か月たったら、新しくなったり次のステップに行ってみたりしてここから離れていくんだろ?だったら慌てず騒がず締めていけ。
僕は三月が嫌いだった。
焦りや不安が増していき、あたたかくなってコートを脱ぐように、じぶんの殻を破らなくてはいけないような気分になる。
僕は花粉にまみれてふらふらしたアタマで考える。
何が不安なのか、どうしたいのか。
そして三月は潔癖症である。僕は無意識に掃除を始める。いやさせられるかんじで手を動かす。ほこりを払うと顔を出した、心の目で見るじぶんの部屋の居心地はとてもいいとは言えなかった。
小手先のテクニックじゃそうそう解決しなさそうだぞと、三月に向かって怒りをぶつける。何を変えればいい?どうすればこの焦りと不安が解消されるんだ?
三月はスカした顔で答える。
じぶんに聞け。自己対話しているのか?季節のせいばかりにして逃げてないか?やると決めたか?やめると決めたか?逃げることも大事だけれど、向き合うことを忘れてないか?
スカして言われて、ますますムカついて三月を見ると、ヤツも内心は焦っているようだ。落ち着かない様子で、でも憎まれ口をたたいていた。
三月。春は心が忙しい。
スカしていけば、きっと乗り切れる。
そう風が言ってた。
いいなと思ったら応援しよう!
ひきこもりの創造へ役立てたいと思います。わたしもあなたの力になりたいです★