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まな板を求めて長野県・松本へ。包丁が喜ぶ相棒探しの旅

ぽっかり空いた連休に、「松本へまな板を買いに行きたい」と夫に提案したときの反応が今でも忘れられない。「まな板のために?」と不思議な顔をしていたけれど、「いいよ!」と付き合ってくれることになった。

きっかけは、先日愛用の包丁を研ぎ直しに出したこと。ピカピカになって戻ってきた包丁を見ていたら、「この子に、もっと喜んでもらえるまな板を用意してあげたい」という気持ちが湧いてきたのだ。

今まで私のまな板選びの基準は、とにかく「洗いやすくて軽いもの」。実用性第一で考えていた。あと、傷がつくものは消耗品、とも思っていた。

でも今使っている合板のまな板、切るたびに「カンカン」と響く音がずっと好きじゃなかったのだ。キッチンに響くその音は、少し神経質な感じで、なんだか包丁に申し訳ない気がして。

かといって、どんなまな板がいいのか、さっぱり分からない。そんな時に料理好きの知人が教えてくれたのが、松本にある陶片木とうへんぼくさんのまな板だった。「音が本当によくて、包丁が喜んでるのー!」という彼女の言葉に、私の好奇心は完全に刺激されてしまった。

ネットでも扱っているお店があるし、都内でも扱う店があるけれど、すぐ売り切れてしまうので、これはもうお店に行かないと、と思っていたのだ。

いざ、松本へ

車で向かう道中、夫と「まな板一つのために旅行って、我ながらよくやるよね」なんて話していた。でも正直、こういう「○○を買いに行く旅」って、目的がはっきりしていて私は好きなのだ。

松本に到着すると、想像以上に暑かった。中町商店街は蔵造りの建物が残る、風情のある通りなのだけれど、日陰が全くない。もやしっ子の私は早々にバテ気味になりながら、通りの一番奥にある陶片木とうへんぼくを目指した。

古民家を改装した、素敵なお店

陶片木とうへんぼくは、古い家を改築した建物で、入った瞬間に「あ、いいお店!」と直感した。どれもこれも丁寧にセレクトされた品々が並んでいて、まな板以外にも欲しいものがたくさん。特に継ぎ目の処理が美しい飯台はんだいに心を奪われそうになったけれど、「でも年に何回使うかな?」と現実的な自分がブレーキをかけた。今日の目的はまな板。

お目当ての まな板を手に取ってみると、想像していたより重みがあって、木の質感がとても良い。「これなら確かに、包丁を置く音も優しそう」と納得。店主さんに購入の意思を伝えると、丁寧に包装してくださる間、「どうぞ2階のギャラリーもご覧ください」と案内してくれた。

2階のギャラリーは本当に素敵な空間だった。作家さんの器や小物が並ぶ中で、しばし目の保養をさせてもらう。こういう思いがけない発見があるから、実際にお店に足を運ぶのはやめられない。

名物の店主さんは、この日は少し喉を痛めていらっしゃる様子で、あまりお話はできなかったのだけれど、まな板の使い方について書かれた紙を入れてくださったり、とても丁寧に対応してくださった。

包装を待ちながら、「あれ、藤田嗣治さんに似てるな」と思ったけれど、さすがに初対面で言うわけにもいかないかなぁ、と心の中にしまっておいた。

帰り道の満足感

包みに一筆入れてくださるところもステキ

重たいまな板を抱えて中町商店街を歩く帰り道、なんだかとても満足した気持ちになっていた。たった一つのまな板のために松本まで来るなんて、客観的に見れば大げさかもしれない。

でも、長く使うものを実際に手に取って選べたこと、素敵なお店に出会えたこと、そして夫が付き合ってくれたこと、全部が嬉しかった。

「で、本当に音は違うの?」という夫の質問に、「帰ったらすぐに試してみる!」と答えながら、私たちの松本1泊旅行は、こうして充実した1日目を終えた。

新しい相棒との暮らし

三日月まな板は、大と小を購入

後日談になるけれど、このまな板を使い始めてから、本当に音が変わった。神経質な「カンカン」という響きではなく、「トン」という柔らかくて優しい音。キッチンが少し上品になったような気がしている。夫が「音が変わった!いい音がする!!」と驚いていた。

包丁を研ぎ直したことがきっかけで始まった「包丁が喜ぶ、まな板探し」。結果的に、キッチンに立つ時間がより楽しくなった。物選びって、やっぱり実際に見て、触って、納得して選ぶのが一番だなと改めて思う。

松本の陶片木とうへんぼくさん、素敵なまな板をありがとうございました。これから長くお世話になります。

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禅林 真理|感性を刺激する旅と文化の記録 ありがとうございます。ライティングの質を上げたり、豊かさを感じる時間に使わせていただきます☘️応援していただければ嬉しいです!