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声だけのLOVER【実話編】

私は、イケボが好きだ。

上司の古くからの顧客に、とっても好みの声の方がいらっしゃる。
ちなみにお目に掛かったことがなく、さすがに、言葉遣いはこの通りではないけれど、上司に何度も
「声がタイプ。一緒に商談に行きたい。顔見たい、紹介して欲しい」
と言い続けた。
けれど、邪な気持ちが全身からあふれていたらしく、今に至っても会わせてもらったことがない。

そのイケボさん、同族会社の方なので部長や課長、社長みんな同じ苗字だったりする。
古くからのお客様なので、いつも電話で社名しか名乗ってくださらない。
上司は出たら声で誰かわかるので、電話さえつなげばOKなのだ。

私は在社していることが多いので、電話に出たりもする。
イケボさんの社名がディスプレイに表示された場合など猶更だ。

しかし事務員さんと競って出ることはしないので、いつも「いいなぁ」と羨ましく思っている。

今日、その顧客から電話があった。
事務員さんは珍しく席にいた。
電話を取って上司に取り次いでいる。

「部長~、〇〇…社長じゃない方からお電話ですぅ」
「あ、〇〇部長か」
呟いて電話に出ていた。

ーー彼女も聞き分けできるんだ。

そう思った瞬間、めらめらと燃え上がるライバル心を抑えるために、コーヒーを一口飲んだ。


この後、今度はイケボさんの方から電話があった。
事務員さんが離席中で私が電話に出た。

勝った。


#なんのはなしですか




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日比野きみ ありがとうございます。 note内循環に使いたいと思います♪