誰にも頼まれていない「無意味なこと」を突き詰める。私の人生を変えた「川歩き」って?
11/23(日)の文学フリマ東京41の【て-10 地図子】ブースで、新刊『生きている実感がほしくて、川を歩いている』を販売します。

文学フリマに向けての毎日note2日目。今回は、新刊のタイトルにもなっている「川歩きって一体何なの?」という疑問にお答えしたいと思います。
おそらく「川歩き」と聞いても、ほとんどの方に馴染みがない言葉だと思います。色々なことを不思議に思っていることでしょう。
「なんでそんなことをしようと思うの?」
「それをやって、どうなるの?」
「実際、何をやってるの?」
なぜわたしが川歩きにハマり、8年越しに一冊のエッセイ本をつくろうと思ったのか。このnoteでは、その過程を丁寧に説明していこうと思います。
そもそも「川歩き」って何?
「川歩き」とは、「好きな川を選んで、最初の一滴が落ちそうな水源地帯から河口まで、ただひたすら川沿いの道を歩く」 という活動です。
山から海に向かって歩くこともあれば、川によっては海から山へ遡上して歩くこともあります。

ポイントは、水の中に入る必要はない、ということです。あくまで「川沿いの道」をひたすら歩きます。
イメージとしては「山登り」に近いかもしれません。 ただ、山登りには設定された登山道があると思いますが、川歩きは全然メジャーではないので、決まった道はありません。
自分でスタートとゴール、その間のルートを全部調べて歩くのが醍醐味です。 もちろん、事前に地図で調べた道が、行ってみたら工事中だったり、獣道になっていたりして通れない、なんてこともしょっちゅうです。
なぜ、そんなことを始めたの?
わたしが川歩きを始めたきっかけは、学生の頃から毎日通学や通勤で越えていた「多摩川」でした。

東京都内の人混みに疲れると、よく多摩川の河川敷でぼーっと休憩していました。 そのとき、ふと浮かんだことがありました。
「今自分がいる場所より、上流とか下流ってどうなってるんだろう?」
もともと「気になったら行ってみたい」という知的好奇心が強い性格。そのシンプルな疑問が、川を歩くことの始まりでした。
最初は、馴染み深い多摩川を「ちょっと上流まで」「ちょっと下流まで」と部分的に歩くだけでした。 それが本格的になったのは、2017年にブログを始めたとき。 神田川を、水源である井の頭公園から、隅田川に合流する地点まで、初めてフルで歩き通しました。
川が長いときは、もちろん複数回に分けて歩きます。 結構寄り道もするので、1日で歩けるのは最大でも20kmくらいでしょうか。歩き終えると疲労困憊ですが、なかなかの達成感があります。
川を歩くと、何が待っているの?
川は、観光地のように「この場所が有名です」というところを流れているわけではありません。 住宅地のど真ん中だったり、深い山の中だったり、本当にランダムな場所を流れています。
だから、川歩きをしていると、全然知らない「一期一会」の場所に行けるのが面白いところです。
初対面の人と自己紹介をするときに出身地の話になりますよね。そのときに「あ、わたしそこの川沿いを歩いたことあるんです」と伝えると、その人の実家のすぐ近くだったりする。 相手もすごく驚いて、その川の思い出について語ってくれることがあります。
みんなが観光地として行く場所じゃない。 けど、日常の中でこの場所とこの場所が繋がってるんだな、と実感できる。それがすごく好きなところです。
ただ、川歩きの実際の感覚としては「気晴らしの散歩」というより、「運動」とか「修行」に近いかもしれません。
自分が決めたゴールまでひたすら歩く。場所によっては「電車の駅がないから、歩き切らないと帰れない」という状況だったりします。 体力の限界が近づき、お腹もすごく空いて、日が暮れてきたり……。
それでも最後まで歩けるかどうか、「自分を試す」ような側面もあります。
危険とハプニング、そして「生きている実感」
「川歩きって、危険じゃないの?」ということもよく聞かれます。 実際、川歩きではいろんなことが起きます。
たとえば最近よく話題になる熊。熊自体には遭遇したことはありませんが、山の中の水源地帯で「熊出没注意」の看板はよく見かけます。

それ以外にも、
・道に迷う
・大量の蚊に刺される
・途中で猛烈にお腹が痛くなる
・落とし物をする
・ルート確認に必須のスマホの電池が切れそうになる
など、ハプニングは尽きません。
普段、オフィスや家にいれば、日本での現代生活はある程度安全が保障されていて、次に起きることも予測できます。 でも、川歩きはそうはいかない。
ハプニングもありますが、地元の人に不意に話しかけられたり、想像もしなかった美しい風景に出会ったり。 予期せぬ「奇跡的な出会い」もたくさんあります。
そこに、わたしは「生きている実感」を感じるのです。
そして、この川歩きの時間は、誰のためでもない、「自分のために人生の時間を使っているな」という感覚があります。
この本を、どんな人に届けたいか
このエッセイ本『生きている実感がほしくて、川を歩いている』は、こんなふうに感じている人に届くといいなと思っています。
・「自分が好きなことに時間を注いでいいのだろうか」と迷っている人
・「自分の好きなことって、無意味なんじゃないか」と思ってしまう人
もしそう感じている人がいたら、「ぜひ好きなことをやってほしい!」と伝えたいです。
わたしの川歩きも、それ自体が直接誰かの役に立つわけではありません。 でも、川歩きの話を面白く聞いてくれる人がいて、似た偏愛を持つ人と知り合うことができて、こうして本を作ることで新しい読者の人に出会える。
一見、何でやるのかわからないようなことを突き詰めることで、初めて見える世界がある。そのことを、川の素晴らしさ、面白さと一緒に、この本で伝えられたら嬉しいです。

少しでも川歩きや自分の好きなことに熱中したいと思ってくださった方。11/23(日)文学フリマの【て-10 地図子】ブースで、新刊『生きている実感がほしくて、川を歩いている』とともにお待ちしています。

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