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『欲と生きる。』




欲は、本当に悪いものなの?

「欲張りだね。」

そんな言葉を聞くと、少しだけ胸が痛くなります。

「欲」という言葉には、どこか良くないイメージがありますよね。

お金が欲しい。
もっと認められたい。
もっと成功したい。

そんな気持ちを持つことは、悪いことなのでしょうか。

でもね。
わたしは最近、ふと考えたんです。
もし人間から「欲」がなくなったら、どうなるんだろうって。

お腹が空いても、ご飯を食べようと思わない。
眠くなっても、眠ろうとしない。
喉が渇いても、水を飲もうとしない。

それって、本当に幸せなことでしょうか。
きっと違いますよね。

「生きたい。」
その気持ちがあるから、人は食べます。

「明日も頑張りたい。」
そう思うから、眠ります。

つまり、欲は人を困らせるものでもあるけれど、同時に生きるために必要な力でもあるんです。

そこで、わたしは一人の心理学者の言葉に出会いました。

その人の名前は、アブラハム・マズロー。

彼は、人間の欲を「成長していくもの」と考えました。

でも、その考えを知ったとき、わたしの中にもう一つの疑問が生まれたんです。

本当に、欲は満たしていけば幸せになれるのでしょうか。


マズローは、欲を否定しなかった。

「欲は悪いもの。」

そう思っていたわたしは、ある日、一人の心理学者の考えに出会いました。
その人の名前は、アブラハム・マズロー。
きっと一度は聞いたことがある方も多いですよね。

マズローは、人間の欲を階段のように考えました。

まずは、生きるために必要な欲。
お腹が空いたら食べる。
眠くなったら眠る。
喉が渇いたら水を飲む。
安心して眠れる場所を求める。

これらは、生きるために欠かせない一番大切な欲求です。

そして、その欲が満たされると、人は少しずつ次の欲を求めるようになります。

誰かとつながりたい。
認めてもらいたい。
自分らしく生きたい。
夢を叶えたい。

そんなふうに、人の欲は少しずつ成長していく。

マズローは、そう考えました。

わたしはその考えを読んだとき、「なるほど」と思ったんです。

確かに、人はお腹がいっぱいになると、美味しいものを食べたくなります。
安心できる場所があると、今度は誰かと笑い合いたくなります。
そして、その先には「自分は何のために生きているんだろう」と考えるようになります。

欲は消えるものではなく、次の欲へと姿を変えていく。
そう考えると、人は一生、欲と一緒に生きているのかもしれません。

でも…。

ここで、わたしの中にもう一つの疑問が生まれました。

もし欲が次から次へと生まれるなら、人はいつ幸せになれるのでしょう。
ひとつ満たしても、また次の欲が現れる。
それを繰り返していたら、「満足」という日は来ないような気がしたんです。

そんなとき、わたしは心理学とはまったく違う世界で、もう一つの答えに出会いました。

それは、およそ2500年前に生まれた、一つの教えでした。

仏教です。


仏教の教え

「欲を捨てなさい。」

仏教というと、そんな言葉を思い浮かべる方も多いかもしれません。
だから最初は、わたしも思っていました。

「マズローとは反対のことを言っているんだ。」

でも、少し調べてみると、どうもそうではなかったんです。

仏教が問題にしていたのは、「欲」そのものではありませんでした。

もっと欲しい。
もっと認められたい。
もっとお金が欲しい。
もっと…。

その「もっと」に心が縛られてしまうこと。
それを「執着」と呼び、苦しみの原因だと考えていたんです。

たしかに、お腹が空いたら食べればいい。
眠くなったら眠ればいい。
喉が渇いたら水を飲めばいい。
そこには何も悪いことはありません。

でも、それ以上を求め続けてしまうと、心はいつまで経っても満たされません。

だから仏教には、「少欲知足(しょうよくちそく)」という言葉があります。

「欲を少なくし、足ることを知る。」

これは、「何も欲しがってはいけない」という意味ではなく、
「今あるものにも目を向けてみませんか。」
そんな優しい教えなのかもしれません。

マズローは、人は欲によって成長すると考えました。

仏教は、欲に振り回されると苦しみが生まれると説きました。

一見すると正反対のように見えます。

でも、わたしは最近、少し違う景色が見えてきたんです。
もしかすると、この二つは反対ではなく、同じ人間を、違う場所から見つめていただけなのではないでしょうか。

そう思えたとき、「欲」という言葉が少しだけ優しく感じられました。


欲は、敵じゃない。

ここまで読んでくださった皆さんは、こんなことを思っているかもしれません。

「結局、欲はあった方がいいの?」
それとも、
「欲は捨てた方が幸せなの?」

わたしも、その答えを探していました。
でも今は、こう思っています。
欲そのものは、敵じゃない。

お腹が空く。
眠くなる。
喉が渇く。
誰かに会いたくなる。
誰かに認めてもらいたくなる。

その気持ちは、とても自然なことです。
もし、それがなかったら、人は何かを始めようとも思わないでしょう。

新しいことに挑戦する人もいなくなるかもしれません。
誰かを好きになることも。
夢を追いかけることも。
きっとなくなってしまいます。

だから、欲は人を前へ進ませる力でもあるんです。

でも…。

ひとつだけ気を付けなければいけないことがあります。

それは、欲の主人が、自分なのか。
それとも、自分が欲の奴隷になってしまうのか。
その違いです。

欲を持つことは悪くありません。

でも、欲に振り回されるようになると、苦しみが生まれます。

マズローは、人は欲によって成長すると考えました。

仏教は、欲への執着が苦しみを生むと説きました。

わたしは、その二つは矛盾していないと思っています。
成長するために欲は必要です。
でも、その欲に支配されない心も、同じくらい大切なんです。

だから大事なのは、欲をなくすことではなく、欲と仲良くなること。

それが、わたしなりの答えです。


あなたの欲は、何ですか。

ここまで一緒に「欲」について考えてくださり、ありがとうございます。

マズローは、人は欲によって成長すると考えました。

仏教は、欲への執着が苦しみを生むと説きました。

一見すると、まったく違う考え方のように見えます。
でも、わたしは、この二つは同じ人間を見つめていたのではないかと思っています。

人は、生きるために欲を持ちます。
食べたい。
眠りたい。
安心したい。
そして少しずつ、誰かと笑い合いたい、認められたい、夢を叶えたいと思うようになります。

その気持ちは、とても自然なことです。
だから、欲を持つことを責める必要はありません。

でも、その欲が「もっと、もっと」と終わりのないものになったとき、人は苦しくなってしまいます。

だから仏教は、「今ある幸せにも目を向けてみませんか」と語りかけたのかもしれません。

そしてマズローは、「その欲があるから、人は成長できる」と教えてくれました。

どちらも、人がよりよく生きるための道しるべだったのでしょう。

では、わたしたちはどう生きればいいのでしょうか。
その答えは、人それぞれ違うのだと思います。
夢を追いかける人もいるでしょう。
大切な人を守るために頑張る人もいます。
静かな毎日を幸せだと感じる人もいます。
どれも間違いではありません。

大切なのは、自分の欲を知ること。

そして、その欲に振り回されるのではなく、一緒に歩いていくことなのだと思います。

最後に、ひとつだけ。

あなたには、今、どんな欲がありますか。
その欲は、あなたを苦しめていますか。
それとも、あなたを前へ進ませてくれていますか。

もし今日、この本を閉じたあとに、その問いを少しだけ考えていただけたなら。

わたしは、それだけで十分うれしく思います。

🌿 まなみより

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本田まなみ 本田まなみという存在を、あなたがほんの少しでも受け入れてくれたのなら、その証を、わたしにください。 わたしの不安が、あなたの手でそっと消えていきますように。