スペースXが「地上ネットワーク」を自前で作る!?スターリンクモバイルの驚くべき計画|最新テックニュース深掘り
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このnoteでも何度も記事で取り上げているスペースX。
いつもビックリするような話題を提供してくれますが、今回もなかなかすごい情報を提供してくれました。
スペースXといえば今までに1万機を超える衛星を打ち上げて、地球上のどこでもインターネットにつながる「スターリンク」を展開してきた会社。
そして最近では、日本で昨年(2025年)開始された「au スターリンクダイレクト」でも話題となった「スターリンクモバイル」として、
スマホが直接衛星につながる携帯電話通信サービスも提供しています。
そのスペースXが、今度はなんと地上にも携帯電話通信ネットワーク、つまりスマホが直接つながる基地局ネットワークを作ろうとしてるというんです。
「いやいや、スペースXって宇宙の会社じゃなかったの?宇宙関係なくなっちゃったよ」
って思いますよね。
実はスペースXが目指しているのは、衛星通信で圏外エリアを埋めるだけではなかった。
衛星と地上ネットワークを組み合わせ、自ら携帯電話通信サービスを提供する「米国で第4の通信キャリア」になろうとしているんです。
🔷3大キャリアから顧客を強奪!?
2026年8月、上場後初となるスペースXの決算説明で、社長兼COOのグウィン・ショットウェル氏は、かなり強気な発言をしました。
米国の携帯電話通信の市場ではAT&T、Verizon、T-Mobileの3社が三大キャリアと呼ばれています。日本で言うところのドコモ、au、ソフトバンクってことですね。
この3社から「かなりの数の顧客を獲得できる」と明言したんです。理由はいたってシンプル。
「自分たちのほうが優れたサービスを提供できるから。」
現在のスターリンクモバイルは、「既存キャリアが持つ地上ネットワークではカバーできない圏外エリアで利用できる」というところを売りにしたサービスです。
つまり補完関係となっているため、既存キャリアがいないと成り立ちません。
ところが次世代の「スターリンクモバイルV2」では、エコースター社から取得する予定の周波数バンド65MHzと新型衛星を使って、既存キャリア以上のサービスを提供できると言うんです。
でもどうやって??
そう、ここには大きな問題があります。
衛星通信による宇宙からの電波だけで、既存の携帯電話網と同じ通信品質を実現するのは難しいのです。
🔷なぜ衛星だけではダメなの?
衛星通信の最大の強みは、地上の基地局がない山間部や海上、砂漠まで広くカバーできることです。
でも、広いエリアをカバーできることと、大勢が高速通信できることはまったく別の話。
衛星通信では1機の衛星がカバーする範囲が広いため、都市部で何万人、何十万人もの利用者が一斉に通信すれば、あっという間に容量が足りなくなります。
さらに衛星は基本的に上空、つまり頭上の方向にいるわけなので、建物の中でもスマホが利用できるためには、屋根を通り抜けて電波が届かないといけません。
つまり、圏外対策なら衛星はかなり有効。
でも日常的な利用シーンを考えると、やはり地上の基地局が必要になるってことなんですね。
ショットウェル氏もその点は重々承知。
エコースター社から取得する周波数には地上利用の権利も含まれているため、地上ネットワークを構築すると言ってるんです。
🔷自前で地上ネットワークの整備するのはたいへん
では、スペースXも既存キャリアと同じように、そこら中に鉄塔を建てて基地局をたくさん設置するってことでしょうか?
言うのは簡単ですが、これは途方もない事業です。
基地局を設置する土地の確保に、鉄塔建設、光ファイバー回線網の整備。
電力、保守、コアネットワークなども必要になります。
いくらなんでも、スペースXが自分たちで新しく整備するのは現実的ではありません。
それに、スペースXがこれらの「枯れた技術」を後発として推し進めるとも思えないですよね。。
🔷スターリンクのアンテナを“小さな基地局”にする
そこで決算説明で示されたのは、なんともスペースXらしい方法でした。
すでに世界中で1千万人以上が利用しているという「ディッシュ」と呼ばれる四角いスターリンクアンテナ。これに、フェムトセルを組み合わせて、そこら中に展開するという構想です。

さて、ここでいきなり登場したのが「フェムトセル」。
フェムトセルとは小型・低出力の携帯電話基地局のことです。
基地局の電波が届かないような家屋や小規模な店舗などでも、インターネットの固定回線さえつながっていれば、スマホが使えるようになるというもの。
イメージとしては、Wi-Fiルーターの携帯電話版ですね。
スペースXの構想では、この固定回線の役割をスターリンクが担うということになります。

鉄塔を建てて光ファイバーを引いてくる代わりに、ディッシュをたくさん置く。
そうすることで、気の遠くなるような費用と時間がかかるのが常識だった携帯電話網が簡単に構築できてしまう。
今まで数多くの破壊的イノベーションを起こしてきたイーロン・マスクが、携帯電話網の作り方まで根本から変えようとしているわけです。
🔷まだ構想段階?いろいろ課題がありそう
ただし、現時点ではっきりしているのは、スペースXが「地上ネットワークを構築する」という方針を明確に示したというところまで。
フェムトセルと組み合わせたディッシュを大量に展開する方法は、まだ構想段階と見たほうがいいかもしれません。
実は、このスターリンクとフェムトセルを組み合わせるっていうアイデア自体は、すでに実用化されています。
日本では災害時でもスマホで通話ができるサービスとして、KDDIが全国のローソンへの導入を開始しています。
しかし、これも災害時を想定した限定的な利用だからできること。
日常的に利用する携帯電話網を置き換えるということを考えると、まだまだ分からないことがたくさんあります。
◾スターリンクアンテナを誰が、どこに置くのか?
まず最初の疑問はこれです。
「地上ネットワーク用のアンテナを、どうやって全米に設置するの?」
既存のスターリンクユーザー宅のディッシュにフェムトセルを追加することも考えられますが、スターリンクの利用者が多いのは地上回線網が整っていない郊外や地方が中心です。
一方で、小型基地局が必要となるのは利用者が集中する都市部。そう考えると、新たにディッシュを大量に設置する必要がありそうです。
スペースXが自らディッシュを設置するとなると、場所の確保やメンテナンスなど、運用上の問題も出てきます。
◾フェムトセルですべてをカバーできる??
一般的なフェムトセルのカバー範囲は、せいぜい半径数十メートルの範囲です。単純に1平方キロメートルの範囲を埋めるだけでも100台以上のフェムトセルが必要になります。
屋外は衛星との直接通信でカバーできるとしても、建物の各フロアーや地下、トンネル内など、フェムトセルでカバーしなければならない範囲はかなりのもの。3大キャリア並みの通信品質を確保するのが容易ではないことは、想像できますね。
◾他にも課題は山積?
他にも、これはどうするの?あれは大丈夫なの?という疑問点は数多く残ります。例えば
スペースXが地上で利用できる周波数バンド(65MHz)は、3大キャリアの5分の1程度(ミリ波帯は除く)。かなり心許ないけど大丈夫?
スターリンク衛星1台で受け持つディッシュ(とフェムトセル)はかなりの数になると想定されるけど、衛星側の通信容量は大丈夫?
などなど、細かいところを挙げていくとキリがありません。
これらの課題に対して、スペースXではすでに対応できる見込みが立っているのでしょうか?
🔷本当に携帯電話網の常識を変えられるのか?
現時点でスペースXが示しているのは、完成したプランではありません。
本当にスペースX単独で地上ネットワークを構築するつもりなのか。費用は誰が負担するのか。ディッシュ+フェムトセルで既存キャリア以上のサービスは提供できるのか。まだ分からないことだらけです。
専門家からも、実現性を疑問視する声は上がっており、実は三大キャリアのいずれかを買収するんじゃないか?といった憶測も出ているようです。
それでも面白いのは、スペースXが今までになかった方法で実現することを考えているということ。
この仕組みが本当に成立して、さらに既存キャリアのサービスを凌駕するようなことになれば、スターリンクはいよいよ私たちの日常に欠かせない社会インフラへと変貌を遂げることになる。
はたしてイーロン・マスク率いるスペースXが、スマホ市場でも今までの業界地図をひっくり返すことになるのか。
今後の展開に注目ですね。
(参考)
https://www.pcmag.com/news/starlink-mobile-wont-just-be-satellites-but-a-ground-network-too
https://www.fierce-network.com/wireless/spacex-lays-out-plan-compete-big-3-wireless-carriers

