見出し画像

史上初の「マイナスの”うるう秒”」で世界は大混乱になるかも!?|5分で読める最新テクノロジーあれこれ

最新のテクノロジーに関することを中心にお送りする本シリーズ。
宇宙開発、AI、量子技術から科学全般の話題まで、エンジニア視点で解説。
「文系だから難しいことはちょっと。。。という人でも5分でスッと理解できるように」というコンセプトでお届けします。


「うるう年」と言えば、誰でも知ってますよね?
そうです、4年に一度だけ2月29日があるっていうアレです。
でも「うるう秒」って聞いたことあるでしょうか?

地球が自転で一周する時間によって、時刻が決まってるのは、皆さんご存じですよね?
そして、その地球の自転と時刻の”ズレ”を調整するために、時々”1秒”が追加されたり削除されたりしています。これが「うるう秒」です。

ちなみに、地球が太陽の周りを一周する時間(1年)を調整するために、4年毎に”1日”を追加するのが「うるう年」ですよね。

なんだあ、1秒追加されるくらい、たいしたことないじゃん!
そう思ったあなた、30年前だったらたしかにそうだったかも。。
でも現代社会では、この”1秒”のせいで大変なことになるかもしれないんです!


🌎 地球の自転って実は気まぐれ

1日はきっちり24時間。たぶん誰もがそう信じていますよね。
でも実は、地球の自転する速度って完全には一定じゃないんです。ほ~んのわずかずつだけど、遅くなったり速くなったりしています。

放っておいたら、だんだん地球の自転と時刻のズレが大きくなってしまう!
まだお昼の時間だっていうのに、地平線に太陽が沈んでる。。なんてことになったら大変!!
というわけで、そのズレを元に戻すために「うるう秒」があります。

ただし、地球が自転する速度の変化はけっこう気まぐれ。全然予測ができないんです。
なので、4年に一度と決まっている「うるう年」と違って「うるう秒」は不定期。
しかも、
半年後に「うるう秒」追加するよ~!
っていきなり決定したりするんです。

1972年に「うるう秒」の制度が始まって以来、これまでに27回「うるう秒」が追加されてきました。
具体的にどうするかっていうと、”23時59分59秒”と”0時00分00秒”の間に”23時59分60秒”が挿入されます。

🚅 最近、地球の自転が“速く”なってる!?

あれ?遅くなったり早くなったりするんだったら、「うるう秒」を挿入するばっかりじゃダメなんじゃない??

ってとこに気づいた人、むちゃくちゃするどいです!!
そう、実はこれまでって、ずっと地球の自転はわずかずつ遅くなっていく方向でした。
なので「うるう秒」は挿入される。つまり時刻を遅らせる方向の調整しか、されてこなかったんです。

ところが。。。ここ最近になって、地球の自転がちょっと速くなってきてるという観測データが出てきました。
回ってるものはだんだん減速していきそうな気がしますが、そんな単純なものじゃないんですね。

昨年の2024年7月5日は、観測史上で最短の一日となって「-1.66ミリ秒」を記録。
今月になっても7月10日に今年最短の一日「-1.36ミリ秒」が観測されました。

このまま進むと、人類史上初めて1秒時間を早める調整、つまり「マイナスのうるう秒」が必要になる!!
ということなんです。

「1秒追加」するのはわかりやすいけど、「1秒削る」ってどうやるの?って思うかもしれないですが、これは簡単。
”23時59分58秒”の次を”0時00分00秒”にジャンプさせるという方法。つまり「59秒」をスキップさせるんですね。

⌛ マイナスのうるう秒ってそんなに大ごとなの?

はい、大ごとなんです。

私たちが普段生活している中では、時計が2、3分くるったところでやっと気づいて調整する、ってのが当たり前。
1秒ズレたなんて誤差の範囲で、いちいち気にする人なんていないし、そもそも気づかないでしょう。
でも、ネットワーク上ですべてが繋がっている世界では、この1秒のズレが命取り。

皆さんは気づいてないかもしれませんが、今までの「プラスのうるう秒」でも、いろんなトラブルが発生していました。
証券取引所のシステムが正常に機能しなくなったり、航空会社のチェックインシステムが使えなくなって飛行機が遅れたり。。。

実は私も・・・

かくいう私も、「うるう秒」でトラブルに見舞われた一人です。
当時所属していた会社で過去に開発した「GPSモジュール」にバグがあったことが判明。
数週間後に挿入されることが決まっていた「うるう秒」の後、GPSモジュールを搭載した製品で、位置が数キロメートルもズレる可能性があることがわかったのです。

タイムリミットが迫る中、慌てて対応に追われました。幸いにも事なきを得たのですが、気づくのが遅れていたら・・・と考えると身が縮む思いでした。

マイナスのうるう秒は前例がない・・・

過去に27回も行われている「プラスのうるう秒」でも、それだけのトラブルが起きているわけです。
「マイナスのうるう秒」は過去に前例がないので、いろいろなシステムでどんな想定外の事態が発生するか、実際になってみないとわかりません。

前回の「うるう秒」から約9年も経ってる

しかも実は、最後に「プラスのうるう秒」が実施されたのは2016年の年末。9年も前のことです。
当時と比べても、ネットワークがより深く社会に根付いている現在。当時よりも、トラブルによる被害はより大きなものになるかもしれません。

🚫 実は「うるう秒」既に廃止が決まってる

こんなトラブルしか生まないような「うるう秒」って本当に必要なの?
実はそんな議論がずっと続いていました。
そして2022年、
「うるう秒」もうやめよ~
ということで、2035年までに「うるう秒」を廃止することが、国際的に合意されました。

つまり、
「こんなに大変なことになるんだったら、ちょっとくらい時刻がズレてもいいんじゃない?」
「あんまりズレが大きくなったら、その時にまた考えようよ~」
という方向になったということです。

ところが、廃止される前に「うるう秒」が必要になっちゃうかも、というのが今のところの見通し。
2029年ごろには史上初の「マイナスうるう秒」が実施される可能性があるんです!

どうせ廃止するんだったら、すぐにやめればいいのに。。。
と思いますがどうなるんでしょうね?
世界中のIT業界の関係者が、きっとソワソワしてることでしょう。

📝 まとめ

たった1秒の話で、ここまで大騒ぎになるなんて!
と思った方も多いかもしれません。
すべてがネットワークでつながり同期している現代社会では、1秒のズレでも侮れないんですね。

人類史上初の「マイナスのうるう秒」がどうなるのか?
今後の動向に要注目ですね。

いいなと思ったら応援しよう!