子どもの「すごい」「きれい」は、立派な鑑賞の入口です
鑑賞の授業で、子どもに感想を聞くと、よく返ってくる言葉があります。
「すごかった」
「きれいだった」
「こわかった」
「速かった」
先生としては、もう少し詳しく話してほしい。
できれば、「音の強さ」や「速さ」「音色」といった音楽の言葉も使ってほしい。
そう思うことがありますよね。
けれど、子どもの「すごい」や「きれい」は、決して中身のない言葉ではありません。
むしろ、音楽を受け取った大切な反応です。
「すごい」の中身は、子どもによって違います
同じ曲を聴いて「すごい」と言っていても、感じていることは一人ひとり違います。
ある子は、急に音が大きくなったことを「すごい」と感じています。
別の子は、たくさんの楽器が重なったことを「すごい」と感じています。
また別の子は、何度も同じ旋律が出てきたことに気づいているかもしれません。
つまり「すごい」という言葉の奥には、その子なりの聴き取りがあります。
ただ、それをどのように説明すればよいか分からない。
だから、ひとまず「すごい」と表現しているのです。
最初から音楽用語を求めすぎなくて大丈夫です
鑑賞授業では、つい正しい言葉を使わせたくなります。
「強弱に注目して」
「音色の変化を書いて」
「旋律の特徴を考えて」
もちろん、こうした言葉も大切です。
でも、最初から音楽用語だけで答えさせようとすると、子どもは自分の感覚に自信をもてなくなることがあります。
「この答えで合っているかな」
「音色って何を書けばいいの?」
「分からないから、友達と同じことを書こう」
そうなると、鑑賞が正解探しになってしまいます。
まずは、「何を感じたか」を自由に出す。
そのあとで、「どの音からそう感じたのか」を一緒に探していく。
この順番が大切です。
一言を加えるだけで、感想は具体的になります
子どもが「きれい」と言ったら、こう聞いてみます。
「どんな音がきれいだった?」
「高い音かな、低い音かな?」
「一つの楽器だった?いくつかの楽器だった?」
「ずっと同じだった?途中で変わった?」
すると、
「高い音が細く続いていて、きれいだった」
「二つの楽器が重なって、やさしく聞こえた」
というように、言葉が少しずつ具体的になります。
「こわい」も同じです。
「音が低かったから」
「急に大きな音が出たから」
「同じ音が何度も続いたから」
理由をたどることで、子どもの感じたことが音楽の特徴につながっていきます。
選べる言葉があると、子どもは安心して書けます
自由に書きましょう、と言われるほど困ってしまう子もいます。
そんな子には、少しだけ言葉の選択肢を示すと効果的です。
速い・遅い。
強い・弱い。
明るい・暗い。
高い・低い。
なめらか・はずむ。
ここから自分の感じたことに近い言葉を選び、理由を書く。
これだけでも、鑑賞プリントの内容は大きく変わります。
大切なのは、答えを与えることではありません。
子どもが自分の感じたことに合う言葉を見つけられるようにすることです。
子どもの感想を育てる鑑賞授業へ
4年生は、感じたことを素直に表現できる学年です。
一方で、感じたことを音楽の特徴と結びつけて書くには、まだ支援が必要です。
だからこそ、発問やワークシートに少し工夫があると、子どもの言葉が大きく変わります。
今回、子どもの「すごい」「きれい」を大切にしながら、少しずつ音楽の言葉につなげられる鑑賞授業セットを用意しました。
発問、ワークシート、授業の流れをまとめているので、忙しい時期でも使いやすい内容です。
4年生の鑑賞授業に迷っている先生は、こちらをご覧ください。
子どもの短い感想は、学びが浅い証拠ではありません。
そこには、まだ言葉になっていない発見があります。
その発見を一緒にほどいていくことが、鑑賞授業のおもしろさなのだと思います。
