「名前を呼ぶ」という覚悟——笈川幸司先生に見た、教師の圧倒的本気
本田健さんの「ハッピーライティングマラソン」#59のお題は、「あなたの声で、いま大切な人に届けたい言葉は何ですか?」でした。
僕の心にぽつりと浮かんできた答えは、言葉ではなく、「名前」でした。
そして、「名前を届ける」ことで、心に浮かんできた人とエピソードがありました。
それは、NHKの『逆転人生』にも出演され、外務大臣表彰や文化庁長官表彰も受けられている、笈川幸司先生のエピソードでした。
笈川幸司さん
特定非営利活動法人日本語スピーチ協会 理事長
『日本語講演マラソン』を2011年から行い、世界57カ国地域で講演、模擬授業などを実施。現在、主にリモートで日本語教師研修や学習者向けトレーニングを実施している。
「名簿をいただけますか」
以前、僕が教えているニュージーランドの大学に笈川幸司先生を招聘し、特別講義をしていただく機会がありました。
その講義の前日、笈川先生から連絡がありました。
「履修学生の名簿をいただけますか」
理由を尋ねると、「名前を覚えて講義に臨みたいから」とのことでした。
ニュージーランドの大学に集まる学生たちは、国籍もバックグラウンドもさまざまです。
その名前も多様で、読み方もわからないことがあり、初見で覚えるのは至難の業です。
僕の場合は2週間はかかります。
その名前を、たった一日で、すべて頭に入れようとする人がいる。
しかも、一回だけの授業のために。
その情熱と姿勢に、大きな衝撃を受けました。
ひとりひとりの名前を呼ぶ
講義当日。
笈川先生は本当に、学生の名前を丁寧に呼びながら授業を進められました。
初めて会ったはずの先生から、突然自分の名前を呼ばれる。
学生たちは一瞬驚き、次の瞬間には表情がふわりとやわらかくなっていくのが分かりました。
それは、教師としての圧倒的な「本気」が教室を満たした瞬間でもありました。

いのちといのちが触れ合うとき
名前を呼ぶとは、その人の「いのち」に、自分の「いのち」を重ね、触れること。
笈川先生が教室で体現されていたのは、一期一会の出会いの場で、全身全霊でいのちに触れることだったのだと思います。
本田健さんのハッピーライティングマラソンのお題から、大切な記憶へと繋がりました。
名前を呼ぶことのありがたさと愛おしさに、改めて気づかされる機会となりました。
笈川さんの人生観についてのインタビュー動画はこちら (3,200回再生の人気動画です)
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日々の小さな気づきや出来事を綴った文章が、あなたのこの瞬間をほんの少しでも照らすことができたら嬉しいです。

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