この秋の処方箋、『あんなにあんなに』を読み返す
二人目の出産予定日までまだ4ヶ月あるが、もう既に娘の赤ちゃん返りに悩まされている。
とにかく私にべったりで、何から何まで私にしてもらいたい、一緒にやりたい状態なのだ。
・食事の時は私の膝の上で食べたい、食べさせてもらいたがる。
・仕上げの歯磨きも私。
・お風呂も、お風呂あがりのドライヤーも私。
・料理をしていたら踏み台を持ってきて、ずっと私の隣に立つ。
・寝る時はぎゅっとくっついて寝る。
夫が毎朝娘を起こしていたが、ある時から「おかあさんがいい」と泣き出して、私が起こすことになった。起こしただけなのに泣かれた夫…。
とにかく何でも「おかあさんがいい」のだ。どんな時も一緒にいなければならない。夫が代わりにやろうものなら、大泣きしてもっと大変なことになる。
先日、少し用事があり、夫と娘に車内で待っていてもらった。が、離れる瞬間から用事が終わる5分ほどずっと大泣き。しかも次の目的地までの30分以上、「お母さんと離れたくない。お母さんが好きなのに、どうして連れて行ってくれなかったの?寂しかった」と泣き叫んでいた。私は車で座っていただけだったが、目的地に着いた時にはぐったりしてしまった。
9月は仕事が忙しく、土日も働いていたので、娘との時間をあまりとることができなかった。きっと一緒にいたかったからだと思うが、月曜日は登園しぶりや体調を崩すことが多く、これにも非常に困った。
娘は二人目の誕生をすごく楽しみにしている。それでも環境が変わることや、今までのように娘だけに愛情を注ぐことができなくなるのをわかっているのかもしれない。
気持ちはわかるので、なるべく応えたり寄り添ったりしているが、もう限界…と思うことが多々ある。
そんな時は、ヨシタケシンスケさんの『あんなにあんなに』に手を伸ばす。
『あんなにあんなに』は、日常にあふれるたくさんの「あんなに」が書かれていて、今この瞬間の幸せに気づくことができる大人向けの絵本だ。
「あんなに」と思った日々を、いつかきっと愛おしくてたまらない、あの時に戻りたいと思う時が来る。だから少しでも後悔しないように、今がどれだけ大変でもしっかり向き合おう、この時間を大切にしようと思え、読むたびに娘に優しくなれる、私の処方箋でもあるのだ。
娘が好きで集めていたヨシタケ作品だが、今では私の方がファンになってしまった。特に『あんなにあんなに』は、一番好きなヨシタケ作品だ。数えられないくらい読み返している。
娘は私の怒りのボルテージが上がった時、「おかあさん、『あんなにあんなに』好きやんなぁ。一緒に読もう」と言ってくる。娘なりに何かを察し、その対処法まで理解しているのかもしれない。そこまでわかっているなら、怒らせないでほしいとも思うが。
9月の疲れを引きずったまま10月に入ってしまったが、『あんなにあんなに』を読み返して、また優しいおかあさんになろう。
この記事は、京都在住エッセイスト・ライターの江角悠子さんが主催しているオンラインサロン「京都くらしの編集室」で、2024年7月から始まった「noteチャレンジ」の10月のお題「秋の夜長に読み返したくなる一冊」というテーマで書きました。
