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ネットから消えつつある「綿の国星チビ猫の里親探しプロジェクト」の記憶

ネットから消えた「綿の国星チビ猫の里親探しプロジェクト」奇跡の復刻劇・完全版2006年にタカラ(現・タカラトミー)が発売した、大島弓子先生の名作マンガ『綿の国星』の主人公「チビ猫」のビスクドール。当時存在していた詳細な特設サイトや、プラットフォーム「たのみこむ」が閉鎖され、ネットの海に埋もれてしまっているため、当時の熱い開発経緯と奇跡のドラマをここに書き残します。

## 1. 始まりは元祖クラウドファンディング「たのみこむ」

1984年に旧タカラから発売されたオリジナルの「チビ猫ビスクドール」は、生産数が非常に少なく、ファンの間では幻のプレミアアイテムと化していました。

2000年代に入り、元祖・投票型復刻サイト『たのみこむ』にて「どうしても復刻してほしい!」というファンからの熱烈なリクエストと投票が殺到。これに応える形で、タカラが「一定以上の予約が集まれば生産する」という条件付きの公式企画『綿の国星 チビ猫の里親探しプロジェクト』を始動させました。このプロジェクトには「目標予約数に達しなければ即中止」という厳しい条件が課せられていましたが、掲示板ではファン同士が「あと◯人で成立です!」「みんなで里親になろう」と励まし合う光景が見られました。

## 2. テレビ番組やコレクターを巻き込んだ「原型大捜索」

いざ復刻へと動き出したものの、当時のタカラ社内には20年以上前の金型も、お手本となる現物のドールすら1体も残っていないという絶望的な状況が発覚します。そこで、テレビ番組(『開運!なんでも鑑定団』による呼びかけや、熱心なコレクターコミュニティへの捜索依頼を展開。その結果、「個人コレクターが奇跡的に新品同様の美しさで保管していた1984年製のオリジナル現物」を発見し、開発チームへ借り出すことに成功しました。

##3. 生産のカギは海外に
2006年当時の「日本では作れない」という壁と、中国の職人技復刻にあたり、開発チームは最大の技術的壁にぶつかります。当時、日本国内ではビスクドール(磁器人形)を500体〜1,000体規模で商業生産できる工場やルートが完全に失われていました。

当時の日本ではビスクドールは個人の人形作家による限定的な創作文化へと移行していたためです。さらに、チビ猫の最大の魅力である「美しい瞳の光、繊細な眉・まつ毛、リップやマニキュア」は、すべて職人の手作業による「完全手描き(ハンドペイント)」が必要でした。当時は日本の人件費はとても高く国内でこれを実現しようとすると、価格が数倍に跳ね上がってしまうという現実もありました。そこで白羽の矢が立ったのが、当時ブライス(Blythe)など世界中の高級コレクターズドールを手掛けていた「中国のトップクラスのドール専門工場」でした。単なるコスト削減ではなく、「現代にチビ猫を完璧なクオリティで蘇らせるための唯一の選択肢」として中国生産が選ばれたのです。最新の3Dスキャン技術でオリジナルから精密なデータを取得し、磁器特有の焼き縮みを計算。中国の熟練職人たちが1体1体に手作業で命を吹き込みました。

##4. プロジェクトの成功と、語り継ぎたい歴史

さらに、原作者である大島弓子先生ご本人も監修に参加。衣装の生地の質感や瞳の色味など、先生のこだわりが細部まで反映され、単なる復刻を超えた「理想のチビ猫」が追求されました。

こうして2006年、500体限定・受注生産という形で第1弾「ホワイトドリーム 夢みるチビ猫」(約50cm)が発売。高額商品にもかかわらず数日で予約完売する大ヒットを記録しました。その後、生後2ヶ月の実際の子猫サイズ(約12cm)を再現した第2弾「プチドリーム あまえんぼチビ猫」へと繋がっていきます。ファンの執念、メーカーのこだわり、そして国境を越えたドール職人の絆が生んだ、おもちゃの歴史に残る伝説のプロジェクトでした。この物語が風化しないよう、散らばった記録の断片を繋ぎ合わせ、ここに一つの記録として残します。 復刻から20年近くが経過し、当時の熱狂を伝えていた「たのみこむ」のサイトも、開発の裏側を綴っていたブログも、時代の波に消えてしまいました。ユーザーとメーカーが一体となって夢を追いかけた、あの熱いやり取りを直接目にすることはもう叶いません。 しかし、猫耳キャラクターの先駆けとも言われる『綿の国星』と、そのファンが起こしたこの奇跡の物語は、ドール史の一ページとして語り継がれるべきものです。 もし興味が湧いたら、当時の名残を検索してみてください。今でも大切に扱われているその姿を見つけることができるはずです。 いつか、より詳細な資料を持つ方や、プロの書き手によって、このプロジェクトの全容がさらに完璧な形でアーカイブされることを願いつつ、筆を置かせていただきます。

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