SF小説【サイボーグ・グラフィティ】2
『1号室・竜崎光琉の場合』(第1話)
八塔屋(はちとうや)市。
昼下がりのメインストリート。
幾分交通量が少なくなった6車線の大通を1台の大型バイクが、
今頃珍しいタイプのエンジン音を響かせながら、ストリートを疾走
していく。
遥か上空には、派手な企業広告入りのAFO(アド・フライング・
オブジェクト)が、金属光沢のボディを煌めかせながら浮遊して
いる。
眩い輝きは真っ青なバイクを駆るライダーの、ヘルメット越しの
顔面に狙いを定めたかのように差し込んだ……
キキキキーーーーッ、ドカーーーーン!!!
対向車線にはみ出したバイクが、小型トラックともろに衝突した。
自動車のバンパーは曲がり、バイクに乗っていた少年は盛大に弧を
描き弾け飛び、ぐしゃりと嫌な音を立てて地面に叩きつけられた。
無論、即死に違いない。
暫らくして誰かが通報したのであろう、救急車がやって来た。
道の端っこに倒れている少年を担架に載せ、救急車に収容すると、
何処の病院に向かうのか、サイレンも鳴らさずに走り去って行った。
やがて救急車が滑り込むように、大きな病院の門をくぐる。
落ち着いたレンガ造りの洒落た建物、屋上の看板には
「三ツ頭龍神会(みつがしらりゅうじんかい)医療法人・真船整形外
医院」と書かれていた。
メインとなる診療科目は整形外科、そして心臓外科、内科、さら
に神経外科に耳鼻科に眼科、呼吸器科という数多くの科目が並んで
いた。
いわゆる総合病院という奴である。
そこの第3手術室で今、一人の人物があるオペを受けている真っ最
中だった。
「先生、クランケの心拍数が低下してきています。血圧低下。このままでは、被験体の生体機能を維持出来ません!蘇生レベルが……体組織崩壊の危険性63%!」
モニターを見ている、若い電脳義体技師が叫んだ。
「あ、そう。んじゃあ、電力供給回路の電圧上げて。安定剤も1本追加ね。ついでに筋力増加剤も投与してみようかな。ボディの限界耐性値知りたいからね」
そう言ってメガネの男、どうやらこの手術の執刀医と思われる者が…何とも面倒臭そうに、側にいる看護師に指示を出した。
「薬剤投与して安定したら、いよいよ本日のメインディッシュ、核反応炉をこの子の身体に入れるからねー」
一体何の手術をしているんだー、この医者は?!
(つづく)
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