杉山先生は論文とAIの関わりに憂いている。第40回人工知能学会全国大会

杉山先生は論文とAIの関わりに憂いている。

こんにちは、makokonです。
第40回人工知能学会全国大会の杉山先生(東大/理研)の講演資料が公開されていますね。
いま、論文を書くのにもAIを利用することは当たり前になっています。
しかし、AI丸投げで、ハルシネーション入の論文をそのまま投稿する研究者がいます。
また、新規参入したAIを用いて論文をかく研究者が増え、莫大な論文数にまともな査読ができなくなっています。
そして、AIが論文を書き、AIで論文を読む「論文プロンプト化時代」に人間研究者は何をするべきかを問いかけています。

人工知能関連の国際会議とプロシーディングス運営の現状と展望 (KS-22)

https://www.ms.k.u-tokyo.ac.jp/sugi/slide/20260609_JSAI

この中で、研究成果の公開(論文)とAIの関わりについての悩みがあまりに深いので紹介しておく。今回は抜粋なので、元資料を読めばいいのですが。

論文はプロンプトになりつつある

現在、論文を書くのも読むのもAI任せになっています。そんな時代に人間の役割はなんだろうか?

  • AIを使って論文を書く:

    • アイデアの断片をきれいな自然言語に変換

  • AIを使って論文を読む:

    • 論文をプロンプトとして与え,質問に答えてもらう

  • 自然言語で論文を書く意味は?

    • プロンプト言語(?)でアイデアを記述すれば十分?

  • AIが研究し,論文を書き,AIが読む時代に?

    • 人間の研究者の役割は?

査読者が全く足りない

現在、多くの学会で査読者が不足してます。AIにより、大量に論文が投稿され、またもに査読ができず、研究者も査読システムに不信感を持っています。

  • 多くの国際会議・ジャーナルで査読者が不足:

    • 大量の新規参入者の増加

    • AIの普及による論文の大量生産

  • AI系の研究コミュニティは危機的状況:

    • 査読者:短期間の大量査読による疲弊

    • 著者:査読システムへの不信感

    • 学会運営者:いたちごっこの不正対策で疲弊

  • 査読へのAI活用を模索

まとまな査読ができなくなっている(かもしれない)

AIにより、査読の信頼性が疑われる事例が増えています。
(以前に紹介したこともある事例も多くありました)

査読システムの脆弱さ(NeurIPS2025の例):

  • シニアエリアチェア240名,エリアチェア1973名,査読者24429名

  • 専門家のほとんどがエリアチェア以上で,直接査読をしない

  • 悪いことをするエリアチェアや査読者がいる

  • LLMを使って査読をする人が(多分)多数いる

OpenReviewのバグ(2025年11月)

  • OpenReviewのプロフィール検索APIにバグ:

  • ダブルブラインドの査読者・著者・エリアチェアの実名が,外部から閲覧可能に

  • バグ自体は修正されたが:I

    • CLR2026などでは査読のやり直しや,被害を受けたエリアチェアの再割り当てなどを実施

AISTATS2026:隠しプロンプトを禁止

  • ICML2025で,LLMによる査読を有利に誘導するための「隠しプロンプト」を仕込んだ論文が複数見つかった

  • AISTATS2026ではLLMを使った査読は禁止

    • しかし,著者の「隠しプロンプト」を正当化するものではない

    • 発覚した場合,論文の即時却下と学会ボードへの報告,さらに採択後であっても遡及的に取り消される可能性がある

    • (かかれていませんが、禁止されているLLMを使った査読をする査読者が多いから問題になるのでしょうね)

ICML2026の新方針

  • 査読におけるLLM利用について2つの枠組みを用意:

    • ポリシーA:査読におけるLLMの使用を一切禁止

    • ポリシーB:査読におけるLLMの使用を以下の条件で許す

      • できること:論文や関連研究の理解を助けるため,または査読文の推敲のために,(プライバシー保護された)LLMを使う

      • できないこと:LLMに論文の長所・短所の分析をさせたり,査読文の提案をさせたり書かせたりする

  • 査読者:自分がどちらのポリシーに従いたいかを宣言する

  • 著者:自分の論文をどちらのポリシーで査読してほしいかを選択

    • ポリシーAを選んだ著者は,査読する時はポリシーAに従わないといけない

    • 実際には,ポリシーAを選んだ著者がLLMを使って査読したケースが複数見つかり,その著者の論文はdesk-rejectされた

arXivのポリシー変更(2026年5月)

  • 生成AIの不適切な使用やチェック不足に対するポリシーを強化:

    • AIによるハルシネーションや架空の引用が含まれた論文を投稿した場合,著者全員が1年間投稿禁止

    • 1年間の処分が明けた後,新規の論文をarXivに掲載するためには,信頼できる査読付き学術誌に受理されていることが条件

  • AIの使用自体を禁止するものではない:

    • 著者が内容を確認・責任を持つ

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