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【#映画感想文】 #ディズニー アニメーション一気に批評その18『#ロビン・フッド』――とっ散らかりつつもしっかり面白い奇妙な逸品 【#Podcast エピソード紹介】

Reel Friends in Tokyo」は、パーソナリティの“まこ”と“オーマ”がお送りする映画紹介Podcastです。このnoteでは、ポッドキャスト本編で取り上げた話題作や名作、はたまた迷作たちを、番組で語りきれなかった裏話や個人的な深掘り、そしてリスナーの皆さまへの補助情報として、二人ならではの視点で掘り下げていきます。

毎回、Podcastで交わしたトークやディスカッションの要点、まこ・オーマ両名による独自の考察、時に脱線しがちな本音トークから個人的に見た映画Reviewまで、記事としてまとめております。リスナーの方も、そうでない方も、ぜひ肩の力を抜いてお楽しみください。

なお番組の最新エピソードご聴取はこちらよりどうぞ↓



第1章 ロビン・フッド初視聴

――「キツネ=ロビン・フッド」という謎の刷り込み

私が『ロビン・フッド』を初めて観たのは、間違いなくレンタルビデオ屋だった。
しかも一人ではない。姉と一緒だ。
この「姉と一緒に観た」という条件がつく作品は、だいたい記憶が強い。

なぜなら、爆笑しているからである。

冷静に考えると、物語の整合性がどうとか、演出がどうとか、
そういうことを考える年齢ではなかった。
ただただ、意味不明なテンポと、意味不明なキャラクターの動きに笑い転げていた。

特に忘れられないのが、
雌鶏が次から次へと相手を地面に叩きつけ、そのまま爆走していくシーンだ。
説明不能。
理屈もない。
だが、異様に面白い。

この「説明できない面白さ」を真正面から出してくるあたり、
ディズニーはやはり動物アニメーションに関しては異様に強い

1.1 なぜロビン・フッドがキツネなのか問題

本作最大の刷り込み被害は、
「ロビン・フッド=キツネ」というイメージが脳内に永久保存されてしまう点だ。

史実?
文学?
そんなものはどうでもいい。

この映画を幼少期に浴びた人間にとって、
ロビン・フッドは、
弓を持った、軽口を叩く、ちょっと調子のいいキツネである。

これはもう取り返しがつかない。
文化的上書きである。

だが、この大胆すぎる擬人化こそが、
本作の最大の勝因でもある。

ディズニーは気づいてしまったのだ。
「人間ドラマ、動物にやらせたほうが面白くない?」と。

この発想、
もはやアイディアと呼ぶのもおこがましいほど単純だ。
だが、単純な発想ほど、
正しくハマったときの破壊力は凄まじい

1.2 人間ドラマを“動物で描く”という最適解

人間がやると説教臭くなる。
正義と悪。
権力と民衆。
搾取と抵抗。

だが、これを動物にやらせると、
一気にポップになる。
肩の力が抜ける。

哲学者ジャン=ジャック・ルソーはこう言った。

“Man is born free, and everywhere he is in chains.”
「人は自由な存在として生まれるが、至るところで鎖につながれている」

この重たい言葉を、
キツネとクマとオオカミでやるのが『ロビン・フッド』だ。

だから笑える。
だから入り込める。
だから、子どもでも観られる。

ディズニーはこの時点で、
寓話としての最適解を掴んでいた。

1.3 とっ散らかりの予感と、それでも残る期待

もちろん、今の目で観ればわかる。
この映画は、
最初からどこか散らかっている。

キャラクターは多い。
ギャグは多い。
テンポは速いが、一本筋が通っているかと言われると怪しい。

だが、不思議なことに、
この散らかりが不安ではなく、期待として立ち上がってくる。

「何が起きるかわからない」
「とりあえず楽しそう」

この感覚こそ、
子ども向けエンタメの正しい入口だ。

『ロビン・フッド』は、
最初から名作然としていない。
だが、最初から面白そうではある

この時点で、もう勝っている。


第2章 あらすじ

――英雄譚を、ここまで軽やかに崩せるのはディズニーだけ

舞台は中世イングランド、ノッティンガム。
物語の骨格自体は、誰もが一度は耳にしたことのあるロビン・フッド伝説だ。

権力を振りかざし、重税を課す王子ジョン。
その圧政に苦しむ民衆。
そして、富める者から奪い、貧しい者へと分け与える義賊ロビン・フッド。

ここまでは、極めてクラシック。
拍子抜けするほど王道である。

だが本作は、この英雄譚を徹底的に脱力させる

ロビン・フッドはキツネ。
相棒リトル・ジョンはクマ。
王子ジョンは親指しゃぶりがやめられないライオン。
悪役のはずなのに、どこか情けない。

この時点で、
物語は「正義と悪の対立」から、
ドタバタ喜劇の舞台へとシフトする。

2.1 物語は進むが、緊張感は張りつめない

ロビンとリトル・ジョンは、
王子ジョンの徴税を妨害し、
民衆から奪われた金を取り返しては配っていく。

そこに、
間抜けだが執念深い保安官が絡み、
ロビンの正体を暴こうと画策する。

一方で、
ロビンとマリアンのロマンスも進行する。
だが、これもどこか軽い。
悲恋にもならず、切迫もしない。

全体を通して、
命のやり取りが本気で起きるような緊張感は、ほぼない。

それでも物語は前へ進む。
進んでしまう。

これは欠点でもあり、
同時にこの映画最大の特徴でもある。

2.2 「筋を追う映画」ではないという潔さ

『ロビン・フッド』は、
一つ一つの出来事を積み上げて
強烈なクライマックスへ向かうタイプの映画ではない。

むしろ、
ギャグの連打、
キャラクターの掛け合い、
動物アニメーションの運動性能。

それらを楽しむうちに、
気づいたら話が終わっている。

この構造は、
ストーリー至上主義の視点で見ると、
どうしても「散らかっている」ように見える。

だが、
「物語を味わう」というより
「場の空気を浴びる」映画だと考えると、
この設計はかなり合理的だ。

2.3 英雄譚を“昔話”に引き戻すという判断

ロビン・フッド伝説は、
本来かなり政治的で、
階級闘争の匂いも強い物語だ。

だが本作は、
それを徹底的に丸め、
昔話の位置まで引き戻す。

正義は勝つ。
悪は懲らしめられる。
恋は成就する。

そこに深読みは不要だと、
映画そのものが言っている。

この潔さが、
本作を「語り継がれる寓話」にしている。

名作かどうかはさておき、
誰にでも開かれた物語であることは間違いない。


第3章 低予算映画でなぜか当てるディズニーの凄み

――削っても、当たる。むしろ当たる。

3.1 前作の半分の予算で、なぜ成立するのか

ロビン・フッドは、
制作当時のディズニー作品の中でも、
**かなり露骨に「低予算映画」**である。

前作から制作費は大きく削られ、
豪華な新技術も、実験的な表現もない。
時代的にも、
ウォルト・ディズニー亡き後のスタジオは、
明確に「守り」に入っていた。

普通に考えれば、
地味になって終わる。
下手をすれば、忘れ去られる。

だが、なぜか当たる。
ちゃんと面白い。

この「なぜか」が、
ディズニーの底力だ。

3.2 作画流用という、正直すぎる手段

本作を注意深く観ていると、
「あ、これ見たことあるな」という動きが、何度も出てくる。

マリアンの仕草。
ロビンの身のこなし。
ダンスシーンの体重移動。

『おしゃれキャット』
『白雪姫』
さらにはもっと古い作品の動きまで、
堂々と再利用されている。

コアなファンなら一瞬でわかる。
隠す気も、あまりない。

だが、ここで重要なのは、
それがストーリーの核心ではないという点だ。

感情表現の基礎動作。
キャラクターの呼吸。
そういった部分を流用し、
物語を進める部分に集中する。

これは手抜きではない。
取捨選択だ。

3.3 予算は、創造性を殺さない

映画史を振り返ると、
低予算から生まれた名作は少なくない。

ディズニーで言えば、
『ダンボ』がその代表例だ。
シンプルな作画、短い尺、
だが感情の直撃力は異常だった。

『ロビン・フッド』も同じ系譜にある。

豪華さはない。
だが、
キャラクターの運動性能と、
ギャグの間合いは一級品だ。

哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインはこう言っている。

“What can be said at all can be said clearly.”
「語りうることは、明確に語ることができる」

本作は、
語るべきことを絞り、
余計なことを語らない。

その結果、
映像は軽く、テンポは良く、
観客は置いていかれない。

3.4 賢い節約は、作品を弱くしない

ディズニーはこの時期、
明確に方向転換している。

すべてを新しく作らない。
すべてを豪華にしない。
だが、見せ場だけは外さない

この判断ができるのは、
長年アニメーションを作り続けてきたスタジオだけだ。

結果として『ロビン・フッド』は、
派手ではないが、
安定して面白いエンタメになった。

挑戦的ではない。
革新的でもない。
だが、確実に楽しめる。

それは、
低予算映画としては、
ほとんど理想的な着地である。


第4章 ドタバタ劇

――散らかっているのに、ちゃんと面白いという不思議

正直に言ってしまうと、
ロビン・フッドを
「一本の物語」として綺麗に説明するのは、わりと難しい。

筋を追おうとすると、
どうにも寄り道が多い。
キャラクターが多く、
ギャグが先に立ち、
場面転換も軽い。

物語としての密度は、
決して高くない。

だが、それが致命傷にならない。
むしろ、それ込みで面白い

4.1 一本筋が通っていないようで、実は通っている

この映画、
細かいエピソードは散らばっているが、
大枠は驚くほど単純だ。

・ロビンは奪う
・民衆は喜ぶ
・権力側は怒る
・ドタバタが起きる

これを、
キャラクターを変え、
舞台を変え、
テンポよく繰り返しているだけだ。

つまり、
構造はループしている。

だから多少寄り道しても、
観客は迷子にならない。

この「迷わせない設計」が、
散らかりを許容可能にしている。

4.2 ドタバタは、計算されている

一見すると、
勢い任せに見えるギャグも、
実はかなり計算されている。

動物の体格差。
尻尾の使い方。
体重移動と転倒。

アニメーションとしての
物理法則が一貫しているから、
どんなに馬鹿馬鹿しくても、
画面が破綻しない。

ここが、
ただ騒がしいだけの作品と
決定的に違う点だ。

4.3 挑戦的ではない、という弱点

もちろん、
欠点はある。

この映画に、
観る者の価値観を揺さぶるような
大胆なアプローチはない。

社会批評も、
あくまで表層的だ。
安全圏から一歩も出ていない。

その意味では、
ディズニーの得意技の
延長線上にある作品であり、
挑戦作ではない。

だが同時に、
安心して笑えるという価値も、
確実に存在する。

4.4 エンタメとしての着地は、かなり優秀

結果として『ロビン・フッド』は、
観終わったあとに
疲労を残さない。

考え込ませない。
だが、退屈もしない。

ドタバタしながら、
ちゃんと最後まで連れていく。

このバランス感覚は、
簡単そうで、
実はかなり難しい。

とっ散らかっているのに、
崩れない。

それこそが、
この奇妙な逸品の正体だ。


第5章 子供達にぜひ

――「よいもの」を、ちゃんと楽しめる映画

あえてはっきり言ってしまうと、
『ロビン・フッド』は
子供の視聴にかなり向いている映画だ。

教育的か、と言われると微妙だし、
テーマが深いか、と問われると首を傾げる。
だが、それでいい。

子供に必要なのは、
最初から「意味」や「教訓」を押しつけられる体験ではない。

まずは、
面白いこと。
笑えること。
動きが気持ちいいこと。

本作は、その条件をすべて満たしている。

5.1 名作昔話への、いちばん軽い入口

ロビン・フッドという物語は、
本来かなり重たい題材だ。

権力。
搾取。
不正義。
抵抗。

だが、この映画は、
それらをすべて動物に背負わせ、
ライトでポップな昔話に変換する。

キツネが弓を射る。
クマが転ぶ。
ライオンが親指をしゃぶる。

この距離感が絶妙だ。

物語の骨格だけが、
子供の中に静かに残る。
難しい理屈は、後から勝手についてくる。

5.2 アニメーションの「質」を、ちゃんと浴びられる

現代は、
刺激が強く、
消費が早く、
次から次へと映像が流れてくる時代だ。

だからこそ、
こうしたクラシックな手描きアニメーションに触れる価値がある。

動きが読める。
間がある。
ギャグが呼吸している。

『ロビン・フッド』は、
アニメーションの基礎体力がそのまま面白さに直結している作品だ。

これは、
どれだけ時代が進んでも、
色褪せない。

5.3 テーマ性の弱さは、欠点ではない

本作は、
強いメッセージを打ち出さない。
社会を変えようともしていない。

だが、
子供向け作品において、
それは必ずしも欠点ではない。

小難しいテーマは、
時にノイズになる。

まずは、
「楽しい」という体験があってこそ、
物語は心に残る。

キッチュなものが溢れる今だからこそ、
こうした素直なエンタメは、
むしろ貴重だ。

5.4 とっ散らかっているからこそ、勧めやすい

『ロビン・フッド』は、
完成度の高さで殴ってくる映画ではない。

とっ散らかっている。
詰めが甘い。
だが、どこか愛嬌がある。

だからこそ、
「ぜひ観ろ」と気軽に言える。

名作を押しつける感じがない。
肩肘張らずに、
一緒に笑える。

それで十分だ。


総評

とっ散らかりつつもしっかり面白い奇妙な逸品

革新的ではない。
だが、確実に楽しい。

『ロビン・フッド』は、
ディズニーが
「余力で作ったのに、ちゃんと当ててしまった」
そんな映画だ。

そしてその余裕こそが、
今見返してもなお、
この作品を心地よくしている。


podcasterの まこ(@_macobana)が、メインチャンネル『ポケットに沼を』(⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠#ポケ沼⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠ )では語り足りないアレコレを一人語りするポッドキャスト番組、『#よもやまこばなし 』(#まこばな )にて展開された映画談義がついに専門チャンネルに。

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