【夫よ、その姿勢で言うか】メジャーリーガーになれという「呪い」

夫はよく、7歳の息子にこう言う。
「お前、メジャーリーガーになりなよ」
そのたび、私の胸の奥がザワッとする。
理由はいくつかある。
まず、息子は野球に1ミリも興味がない。
彼の将来の夢は「ポケモン博士」。
大谷翔平よりも、
ピカチュウの研究に忙しい小学生男子に何を言っているんだ。
そして何より、夫の“姿勢”だ。
ソファに深く沈み込み、
スマホでパズルゲームをしながら、
メジャーリーグ中継を横目で見るその態度。
その状態で「メジャーになれ」って……
説得力が、ない。
背中で語るどころか、背中がソファと同化している。
「まずあなたが野球を楽しんでいる姿を見せたら?」
というツッコミは、喉元で寸止めしておく。
でも、私が本当にモヤモヤしている理由は、
夫のダラけた姿勢のもっと奥にある。

◾️「〇〇だから」の呪縛がうずく
多分、誰にでも覚えがあるはずだ。
「女の子なんだから」
「長女なんだから」
「お姉ちゃんなんだから」
「普通でいいんだよ」
悪気のない、けれど静かに刺さる言葉たち。
子どもの頃、そう言われるたびに
「ああ、私はこういう枠の人間なんだ」と思い込んで、
本当の気持ちに蓋をしてきた。
夫が何気なく放つ「メジャーリーガー」という言葉が、
その古傷をチクリと刺激するのだ。
「息子の人生は息子のものだ」
「誰かの夢を背負わせたくない」
「何になってもいい自由を渡したい」
そう願うあまり、夫の軽い一言が
息子にかけられた“呪い”のように聞こえてしまう。

◾️解決策は「家庭内三権分立」
では、このモヤモヤをどう晴らすのか。
答えは拍子抜けするほどシンプルだった。
夫は夫。私は私。息子は息子。以上!
この「家庭内三権分立」を導入した瞬間、
胸のつかえがスッと取れた。
夫の言葉をいちいち訂正しなくていい。
「へぇ~パパはそう思うんだね(棒読み)」で十分。
私は息子に“中和剤”さえ渡せばいい。
「あなたは好きなことを選んでいいんだよ」
それだけで、夫の放った“メジャーの呪い”は無効化される。
そして不思議なことに、
この言葉はブーメランのように私自身にも返ってくる。
「そうだよ、私だって自分の人生を選んでいいんだ」と。

■ 子育ては「自分育て直し」の旅
子どもと向き合うたび、
私の中の古い感情がひょっこり顔を出す。
「これはエゴ?」
「ただの刷り込み?」
そんなふうに揺れるけれど、
その揺らぎこそが“私が私を育て直している証拠”なのだと思う。
みなさんにも、昔かけられた「謎の呪文」はありませんか?
もし心に残っているなら、そっと棚卸ししてみてください。
意外と「なんでこんな言葉守ってたんだろ?」と笑えるかもしれません。

■ そして夫よ。ついでに言わせてくれ。
無言でチャンネルを野球に変えるな。
私がドラマのいいところを見ている時に、
なぜ呼吸するようにリモコンを奪うのか。
せめて、
「テレビ、変えていい?」
の一言があれば、
私の中のモヤモヤは半分……いや、8割は消える。
「メジャーに行け」と息子に語る前に、
まずはリビングで「妻への配慮」という名のヒットを
一本打ってみてはどうだろうか。
実はそういう日常の小さな態度のほうが、
「家族ってチームだな」と感じさせてくれるんだよ。
多分、きっと、伝わらないだろうけどね。
でも、それでいい。
私もあなたの真意はわからないし、お互いさまだ。

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