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【子育て】あと何回、肝を冷やすことになるのだろう

息子がおでこの少し上を縫った。

保育園ではしゃぎすぎて、遊具の角に頭をぶつけたらしい。

「男の子にケガはつきもの」とはよく聞いていたけれど、縫うほどのケガは初めてだった。

娘はこれまで、ここまで大きなケガをしたことがなかった。

もちろん性別でひとくくりにできるものではないけれど、これがいわゆる“男の子あるある”というものなのだろうか。

ついに我が家にも、そんな時期が来たのかもしれない。

そう思うと、心臓がきゅっと縮むような気持ちになったのだ。


仕事中、保育園から着信があった。

朝は元気だったけれど、熱でも出たのだろうか。
内心、仕事のことも気にしながら電話に出る。

すると、どうやら熱ではなく、ケガをしたという。

かくれんぼをしていた息子は、見つからないように遊具の隅に隠れていたようで、そこから出ようとした矢先、遊具の角に頭をぶつけてしまったらしい。

「傷は小さいんですけど、結構深そうなので病院に行きたいのですが、かかりつけの形成外科はありますか?」

形成外科。

これまでかかったこともなければ、調べたこともなかった。
突然出てきたその言葉に、頭の中が一瞬止まる。

とりあえず病院は保育園の方で探してもらうことにして、私は仕事先に事情を伝え、夫にも連絡を入れた。

しばらくして、隣駅の病院へ行くことになったと連絡があった。

処置が必要になるかもしれないので、付き添いをお願いします、ということで急いで保育園へ向かい、息子と対面。

私の顔を見たら泣くかなと思っていたけれど、そんなことはなく、ケガのショックからか、放心状態でぽかんとしていた。

いつものおしゃべりな息子とは違う、その静けさがかえって胸に刺さった。

先生と看護師の先生から話を聞き、タクシーで病院へ向かい、診察してもらうと、傷自体は小さいとのことだった。

ただ、頭部は血が出やすく、今は止まっていても、あとから出血することもあるらしい。

さらに、連休も控えている。

「念のため、縫っておいたほうが安心ですね」

そう言われた瞬間、ああ、本当に縫うんだ、と思った。
不安でしくしく泣く息子の様子に、心が痛む。
でも、不安な顔は見せられない。

「早く治るように、今だけがんばろう」

そう声をかけることしかできなかった。

処置室に入ると、息子は暴れないようにタオルで巻かれ、ベッドに寝かされた。

「お母さん、見れる人ですか?」

おそらく、処置の様子を見られるかどうか聞かれたのだと思う。

「それはちょっと……」

思わずそう答えたものの、息子ががんばっているのに、こちらが目をそらしてばかりいるのも違う気がして、息子の手を握りながらちらちらとその様子を見ていた。

息子は大きな声を上げることも、暴れることもなく、静かに泣いていた。

先生の処置はとても素早く、10分ほどで終了。
先生や看護師さんたちは、息子があまりにも静かに処置を受けていたことに驚いていた。

「すごいね」
「本当にがんばったね」

そう声をかけられるたびに、息子よりも私のほうが泣きそうになった。

処置後もしばらく放心状態だった息子は、時間が経つにつれて、付き添ってくれた先生ともおしゃべりできるようになり、帰るころには、表情もだいぶやわらいでいた。

そして帰り道。

「先生とタクシー乗って、お出かけみたいだったね!」

そんなことを言い出した。

さっきまでおでこを縫っていた人とは思えない発言に、思わず笑ってしまった。
このメンタルの強さは、いったい誰に似たのだろう。

とはいえ、きっと今回のケガは序章でしかないのだと思う。

これから先も、転んだり、ぶつけたり......
体育会系の部活になんて入った日はヒヤッとすることも増えるだろう。
そのたびに私は、心臓をぎゅっと掴まれるような思いをするのかもしれない。

子どもが大きくなるというのは、できることが増えていくことでもあり、親の目が届かない場所が増えていくことでもある。

うれしい。
でも、怖い。

元気でいてほしい。
でも、元気すぎるのも心配になる。

親というのは、なんとも勝手で忙しい。

それでも、帰り道に「お出かけみたいだったね」と笑える息子を見て、少しだけ救われた気がした。

どうか、これからのけがはできるだけ小さく済みますように。

そして私の心臓も、どうかもう少しだけ強くなりますように。

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