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社会不適合者だから先の予定があると息が詰まる話

カレンダーアプリに自分以外の人間との予定が書き込まれた瞬間から、俺はかなり憂鬱になる。

「◯月◯日、◯時にどこどこに行く」

その一列のテキストを見ただけで、胃のあたりが少し重くなる。あの日、あの時間に指定の場所へ行って自分を縛り付けなければいけないという事実が、どうにも息苦しい。

最近の俺は、起きている時間のほとんどを勉強と仕事に費やしている。それ自体に不満はない。むしろ、自分の意思でコントロールできるタスクに没頭している時間は、精神的にとても安定している。

問題は、そうやって自分の殻にこもればこもるほど、他人と会うことに対するハードルが、天を突くほど高くなっていくことだ。

とにかく、人と会うのがものすごく億劫なんだ。


冷酷に計算してしまう自分がいる。 人と会うためには、まず調整という名の不毛なメッセージのやり取りが必要で、当日は移動のために往復の時間が消費され、会っている間は相手のテンションに合わせて脳のメモリを割かなければならない。帰ってきた頃には、使い切ったバッテリーのように泥のように眠るだけ。

その「消費する時間とエネルギー」を考えただけで、俺は人と会うのが本当に嫌になる。

「そんなの、普通は友達に会う楽しみで相殺されるものでしょ」と言われるかもしれない。それがあまりできないから、俺は自分で自分のことを「社会不適合者」だと思っている。先々の予定を確定させて、その日に向けて自分のコンディションを合わせていくという、世間の誰もがやっている普通のルーティンが、俺にとっては恐ろしくコストの高い苦行に思えてしまう。

誰かが嫌いなわけじゃない。ただ、一人で黙々と画面に向かって知識を詰め込んだり、仕事をこなしたりしている方が、圧倒的に「ローコストでハイリターン」なのだ。少なくとも、自分のペースを乱されることはないから。

自分はASDなのかな?
発達障害の検査自体はしていないからまだ分からないし、自己判断は危険だから決断はしないけど。


そんな生活を送っていると、ある一つのバグが発生する。 お金が、驚くほど余る。

俺は自他共に認めるミニマム思考で、物欲がほとんどない。ブランド物の服も要らないし、最新のガジェットを買い漁る趣味もない。そして何より、人と会わないから交際費が綺麗にほぼ「ゼロ」だ。飲み会代も、お洒落なカフェ代も、見栄のための服代も、俺の家計簿には存在しない。

じゃあ、そのお金はどこへ行くのか。 行き先は完全に二極化している。

一つは、将来のための貯金と株。数字が増えていくだけの画面を眺めるのは、人間関係よりもずっと精神衛生にいい。

そしてもう一つは、俺にとって世界で一番価値のある存在――愛犬のご飯とおやつだ。 自分の食事は「肉と卵を焼いて食っておけばいい」みたいな適当さなのに、犬のドッグフードやおやつは、成分表をじっくり眺めて最高級のやつを買う。無添加で、身体に良くて、ワンちゃんが狂ったように喜ぶお高いやつ。

自分のための飯は、いつもより30円高いだけで購入するのを躊躇するのに、犬のために使う1万円は実質タダみたいなものだ。尻尾を振って喜ぶ姿を見られるなら、投資対効果としては10,000%を超えている。

しかし、それでも、人間一人分の交際費や物欲が丸ごと消えた穴を埋めるには至らない。 ミニマムに生きれば生きるほど、口座の数字だけがじわじわと浮いていき、心の穴はずっと空いたまま。


俺はもっと人と交流した方が良いのだろうか?


そこで最近、いっそのこと、心の虚無を埋めるために、この余ったエネルギーとお金を「自分という個体のカスタム」に全振りしてみようか、と考え始めている。

具体的に言うと、髭脱毛とか、あるいはちょっとした整形とか、いわゆる「自分磨き」ってやつだ。

自慢ではないが、ボディメイク自体はもう間に合っていて、普段から肉食をし、ほぼ毎日愛犬と15kmほど歩いて筋トレもしているから、俺の体はスリ筋の細マッチョ体型だ。
体はこれから気合を入れて磨く必要はない。

別に、外見を磨いてモテたいとか、誰かにチヤホヤされたいなんていう殊勝な動機はない。人と会うのが億劫な人間が、今さらマッチングアプリを開くわけもない。

ただ、これは純粋な「自己満足の投資」だ。 毎朝の髭剃りの時間をゼロにするための課金としての髭脱毛。あるいは、鏡を見た時に少しでも気分を良くするための容姿のアップデート。

それは、株を買ったり、犬に良いフードを食べさせたりするのと同じ文脈の、極めて内向的で、極めて合理的なお金の使い道のような気がしている。

誰のためでもなく、自分がこの社会で少しでも快適に、ローストレスで生き延びるための''投資''。

社会不適合者なら不適合者なりに、外見くらいは自分好みにバキバキにカスタムして、誰も寄せ付けない無敵のソロプレイヤーとして生きていくのも、それはそれで面白いんじゃないか。

相変わらずカレンダーの白い余白という自由を愛しながら、俺は今日も愛犬にお高いおやつを与え、自分のための次の投資先を考えている。

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