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単複馬券ドヤ顔回顧録① 【安田記念2016 ロゴタイプ】

馬券を通年で購入するようになって20年以上になる。普段はワイドや3連複派の私だが、時々閃いたように勝負に出ることがある。

それが、単複馬券。

人気はさほどないが馬券圏内、いや、頭まであるぞという穴馬を見つけられた時、それは発動する。もちろん毎回当たるわけではない。しかし、20年以上もやっていれば多少はそれで儲かったこともある。

これは、競馬ジャンキーである私がG1レースでの単複勝負をドヤ顔しながら綴る回顧録である――。

* * *

第66回安田記念。2016年におこなわれたこのレースは、ある一頭の馬にスポットライトが当たっていた。

モーリスである。

もともとクラシック戦線にも乗りかけていた素質馬だったが、休養明けの4歳初戦、1000万条件のマイル戦から破竹の7連勝。特に近4走は前年の安田記念、マイルCS、香港マイル、チャンピオンズマイルと海外含むG1レース4連勝と向かうところ敵無しの状態であった。

単勝オッズは1.7倍。グリグリの一番人気である……と言いたいところだが、戦績的には1倍台前半でもおかしくないところではあった。それがこのオッズにとどまったのは、香港から帰国して約1ヶ月で出走という厳しいレース間隔、鞍上が久々にコンビを組むベリー騎手、中間の控えめな調教、そういった部分で絶対王者を不安視する見方も少なからずあったものと思われる。

元来穴党の私は当然不安視派であった。馬券圏外になる確率は低いだろうが、取りこぼしはあり得る、そう考えていた。

土曜の夕方、新聞の出馬表を眺めながらぼんやりと展開を妄想する。モーリスは先行押し切りが勝ちパターン。他の有力馬達は後ろからのタイプが多く、おそらくモーリスマークで牽制し合いながら乗ってくるだろう。そうなると穴馬は後ろより前。絶妙な逃げを打って、もし万が一モーリスが前を捕まえきれなければその後ろの有力馬達も届かないはず。このレース、明確な逃げ馬はいないが、行くとすれば……

ロゴタイプだ。

2歳時に朝日杯、3歳時に皐月賞を勝利したこの馬ももう6歳。それ以来勝利には恵まれていないが、重賞戦線でも常に小差で走ってはいた。府中マイルも富士Sで3着に入っており相性は悪くない。雨の影響が残り高速過ぎない馬場もこの馬にとってはいいはず。鞍上は田辺。(当時の)田辺はビッグレースでなにか一発しでかしてくれそうな雰囲気があった。

そして、私の勝負気配を強烈に後押ししたもの、それは――

レース当日は6月5日、そう、ロ、ゴ。

加えてロゴタイプの馬番は5枠6番……第「66」回安田記念……2016……'16……「1着は6」ってこと……?

ロゴ合わせ、もとい、語呂合わせがことごとくハマっている気がした。普段サイン馬券なるものを買うことはほとんどない私だが、この時だけはなぜかピンときてしまった。

よし、久々にいくか、単複で――。

当日、テレビの前でレースを見守る。

好スタートからハナに立ったロゴタイプは淀みないペースで他馬を引っ張っていく。ただ、番手にはモーリスがしっかり追走。いつでも抜け出せそうな位置で4コーナーを迎えた。

意図的だったのかは不明だが、ここでモーリスが馬場の外側に若干膨れ、釣られて他馬も外に振られる形となった。対してロゴタイプは内ラチぴったりでコーナーを回り、内のロゴタイプとモーリスを先頭とする他馬で馬群が分かれた。

「田辺粘れ!」
思わず声が出る。

横綱相撲に見えた外のモーリスの伸びが鈍い。迫る他馬もモーリスを交わせない。いや違う……ロゴタイプがもう一度伸び返している! 一旦並ばれたところから逆に突き放す。

「頑張れ! ロゴタイプ!」
鳥肌が立つ。脳が焼かれる。

そのまま先頭でゴール。ロゴタイプとしては、なんと3年2カ月ぶりの勝利が3回目のG1タイトルとなった。

8番人気、単勝36.9倍、複勝5.2倍。大変おいしゅうございました――。

その翌年、7歳になったロゴタイプはディフェンディングチャンピオンとして安田記念に帰ってきた。年齢と外枠が嫌われたかまたしても8番人気。しかし、前年より速いペースで逃げると、直線半ばでは一旦他馬を突き放すという圧巻のパフォーマンスを見せ、2着に粘り込んだ。この時も鳥肌が立った。

……買い目から外してたけど(おい!)

【おしまい】


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