フォーク神様 (410字) ~毎週ショートショートnote 参加作品~
イヴの夜だってのに、俺はアパートでひとり苺ショートを貪っている。少しでもクリスマス気分を味わおうと買ってみたが、口の中とは裏腹の甘くない現実に襲われただけだった。
「クリスマスってキリストの誕生日だよな。神が生まれた日……日本では八百万の神って言葉があるけど、そういう神にも誕生日あるのかな?」
「ある」
「へぇ……って誰!」
ケーキの脇のフォークが突然跳ねたかと思うと、しわがれた声で喋り始めた。
「わしはフォークの神様。お前が寂しそうだから出てきてやったんじゃ。あのな、寂しいってのは悪いことじゃない。寂しさを知る人間こそ、他人に優しくできるんじゃ」
「……その言葉、刺さるー!」
「ふふ、刺さる言葉はいくらでも言える……フォークだけに。じゃあな」
「ま、待ってよ!それだけ?神様だったらさ、お前の願いを叶えてしんぜよう的な……」
「わしはフォークの神様じゃぞ……すくうことはできん」
次にケーキを食べる時は、スプーンにしようと思った。
