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読書手術 #毎週ショートショートnote

「何を読んでるの?」
 とつぜん女の子に声をかけられた
 誰だろう。放課後クラブに知らない子なんていないはずなのに
「戦争の日、って本だよ」
 おかしいな、と思いながら僕は返事をする
「へー、つまらなさそう。私はお医者さんごっこがしたい。一緒にしよ?」
「いやだよ。歴史の本を読んでるんだもん」
「じゃあ、お医者さんごっことご本をあわせましょう」
 あわせる? 
「声にだしてご本を読んでね。よくないところを私が手術します」
 女の子は僕のとなりにちょこんと座った。
 よくわからないけど音読する
『こうして第三次大戦がおこりました。京都もはじめて』
「やだやだ、手術します」
 女の子がおもちゃのメスで書いている文章をなぞっていく
「切除です。切除です」

 ほとんど全文が切除されたとき、僕のママが迎えに来た

「今日は何の本を読んでたの?」とママ
「第三次大戦の本。今日は終戦記念日だから」
「何それ?」
 ……あれ? 何だっけ
 
 記憶が、歴史が、まるで手術されたようにきれいになくなっている

 あなたは覚えてる?

(438文字)

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