Photo by
09chiharu
こざかしい落下 #毎週ショートショートnote
ぼくに光を灯してくれたキミたちのために、ぼくはこざかしく抗ってみるよ――
*
おさない二人の恋なんて濁流にのまれる木の葉と同じ
ままならぬ環境の変化で簡単に引き裂かれる
「……東京か。遠いね」
「うん」
泣きそうな顔で女の子がうなづく
「また会える?」
「……わかんない」
夏の夜に沈黙が落ちる
二人のもつ線香花火がパチパチと切なく光っている
いつもの公園、ここでおしゃべりをするのが二人の大切な時間だった
友達のこと、観た映画、ときには親との確執……
ずっとこのときが続くと思っていたのに
線香花火が同時に落ちる
「花火、あと一本だね」
「……賭けをしようか」
「?」
「この花火が一分もったらまた会える」
もたずに落ちたら、とは言わずに最後の線香花火に火をつけた
ぼくに光を灯してくれたキミたちのために、ぼくはこざかしく抗ってみるよ――
「すごくもつね、この花火」
二人は顔を見合わせて、涙で顔をぐしゃぐしゃにして、笑った
了
(406文字)
◆◇田原にかさんの毎週ショートショートnoteに参加しました◇◆
