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okasumi
告りびと #毎週ショートショートnote
「本当にこの恋を"おくって"くれるの?」
――ええ。私はおくりびとですから、恋ごころを空におくりますよ。目が覚めたら、つらい恋のことなどさっぱり忘れています
「ではお願いするわ。こんなおばあちゃんが初恋の悩みなんておかしいと思うでしょうね」
――そんなことないですよ
「私、恋愛のレの字もない人生を歩んでいたけれど、五月にあの人に出逢ったの。あの人ったらね、」
語る八重さんにそっと手をかざし、おやすみ、と告げる
八重さんは、ふわりとあくびをして夢に落ちていった
目が覚めたら、その初恋なぞ綺麗に忘れているでしょう
今までと同じように
恋愛のレの字もない人生?
まさか
八重さん、あなたは極度の恋愛体質ですよ
何度私があなたの"初恋"をおくってきたか
つらい、と泣いては私に縋りつき、全て忘れて帰っていく
私の想いなど見ようともせずに
おくりびとでなく、いっそ告りびとになれたら――
いや、このままでいい
あなたにはそのままで生きてほしい
でもあなたが眠っている今だけ告りびとに変わることを許してほしい
好きです、私はそっと唇をおとした
了
(466文字)
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