Vol.13 健診の問診票に、睡眠の質問は1問しかない。
毎年、健康診断を受けている方も多いと思います。問診票に記入する際、何問くらいあったか覚えていますか。
特定健診の標準的な質問票(令和6年度版)は全22項目で構成されています。そのうち食事・生活習慣に関わる質問は、「食べる速度が速い」「就寝前2時間以内に夕食をとることが週3回以上ある」「朝食を抜くことが週3回以上ある」など複数項目あります。運動については「日常生活において歩行または同等の身体活動を1日1時間以上実施している」「同年齢の同性と比べて歩く速度が速い」という質問があります。
では睡眠については?
「睡眠で休養がとれていますか」——これだけです。
この1問で、慢性的な睡眠不足も、睡眠時無呼吸症候群(SAS)も、概日リズム障害も、すり抜けていきます。何時間眠れているか、眠りの質はどうか、日中に強い眠気はあるか、いびきを指摘されたことはあるか——そういった問いは一切ありません。
健康日本21(第三次)の目標指標を見ると、睡眠・休養分野には「睡眠で休養がとれている者の増加」「睡眠時間が十分に確保できている者の増加」「週60時間以上の長時間労働者の減少」の3項目が設定されています。国も睡眠の重要性を認識し、第三次から「睡眠時間の確保」を新たな目標として加えました。しかし、実際の健診の現場でそれが問診に落とし込まれているかといえば、まだまだです。
私は健診センターの医師として、この現実に日々違和感を覚えています。最低限として、「何時間眠れていますか」「日中、強い眠気を感じることがありますか」「いびきを指摘されたことはありますか」「毎日だいたい同じ時間に寝起きできていますか」——こうした問いをルーティンに組み込むだけで、見落とされてきたリスクを拾えるはずです。
問診票の設計は、医療者側の「何を重視するか」の現れです。睡眠は介入できます。治療法も確立されています。制度の変革を待つより先に、今日あなたにできることがあります——自分の睡眠の状態を、医師に話してみてください。
参考:
厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)別紙3・4 標準的な質問票」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000194155_00004.html
厚生労働省「健康日本21(第三次)目標一覧」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kenkounippon21_00006.html
*noteの記事の内容は筆者の個人としての見解です。筆者所属の医療機関の見解とは一切関係ありません。内容の正確性には細心の注意を払っておりますが、万が一不適切な内容がございましたらご指摘いただけましたら幸いです。
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