『学校に行きたくない』涙で帰ってきた日(2)
「ああ、やっぱりか……」
その言葉を聞いた瞬間、胸がぎゅっと苦しくなりました。
「どうして置いていかれたの?」
そう聞いても、本人には思い当たる理由がないと言います。
学校では普段通り友達と話している。
でも、ぽつりと話してくれました。
「あとね……最近、友達がいない。
嫌われているかもしれない。」
その一言は、親として本当に苦しかった。
今までは、本が大好きで休み時間は図書室へ。
それが本人にとって一番落ち着ける時間でした。
でも三年生になり、少しずつ周りが見えるようになってきたのでしょう。
「みんなは一緒に遊んでいる。」
そんなことに気付き始めたのです。
友達と遊びたい気持ちはある。
だけど、休み時間は図書室で本も読みたい。
その二つの気持ちの間で、上の子は揺れていました。
クラスではケイドロが流行っていたそうです。
でも本人は色鬼やかくれんぼがしたい。
何度か「今日は違う遊びをしよう」と提案してみても、みんなの遊びは変わりません。
「それなら図書室に行こう。」
そう思う日が少しずつ増えていきました。
仲の良い友達を誘ってみたこともありました。
でも断られることが続き、
「また断られるかもしれない。」
そんな気持ちから、自分から誰かを誘えなくなってしまったようでした。
そして帰り道。
置いていかれたことが重なり、悲しさは限界になってしまったのでしょう。
涙を流す我が子を見て、私も思わずもらい泣きをしてしまいました。
「悲しかったね。」
「大丈夫だよ。」
その日は、ただ気持ちを受け止めることしかできませんでした。
それから数日。
学校へ行く前の夜になると、突然涙を流すようになりました。
元気がなく、何度話を聞いても気持ちは晴れません。
そんな時、学校から電話がありました。
授業中に頭が痛くなり、保健室で休んでいるとのことでした。
熱はなく、食欲もある。
担任の先生が理由を聞くと、
「今まで仲が良かった友達と遊べなくなった。」
そう話していたそうです。
先生は友達と話せる時間を作ってくださり、
「一緒に遊んでみたら?」と声をかけてくださいました。
でも上の子は、
「教室や図書室で友達と過ごしたい。」
そう答えたそうです。
先生も一生懸命考えてくださったのだと思います。
けれど、お互いに過ごしたい場所が違う以上、それだけでは解決にはつながりませんでした。
家では頭痛もなく過ごしていましたが、表情はどこか寂しそうでした。
「今日も一人で帰ってきたんだ。」
その言葉を聞きながら、気が付けば三年生になってから放課後に誘われることも減っていたことに気付きました。
このまま一人で帰るより、少しでも安心できる時間を作ってあげたい。
そう思った私は、迎えに行ける日は学校まで迎えに行くことにしました。
仕事があるので毎日は難しい。
だから、
「迎えに来てほしい日は言ってね。」
「ママが行けない日は、おばあちゃんに頼ってもいい。」
「頭が痛くなったら保健室へ行っていいからね。」
そう伝えました。
私が願っていたのは、ただ一つ。
学校へ行ってくれること。
笑顔じゃなくてもいい。
友達がたくさんいなくてもいい。
まずは安心して学校へ通えること。
その頃の私は、それだけを願っていました。
この頃の私は、子どもの友達関係は「誰かが悪い」「誰かが正しい」だけでは片付けられないものなのだと感じていました。
それでも、本人にとっては毎日が苦しく、学校へ行くことさえ辛くなっていたのです。
