65歳からの挑戦。カレッジ入学までの怒涛の四か月
語学学校の先生、Sarahの一言で、
「私でもcollegeに行けるの?」と思った瞬間、
一気に未来が開けたような気がした。
カレッジ——
それは、私がずっと憧れていた大学生活だった。
私の両親はとても勤勉で、
朝から晩までよく働いていた。
けれど、私を大学へ行かせる余裕はなかった。
私は、両親に聞くまでもなく、
最初から大学を諦めていた。
もうこの世にいない両親には、
「大学へ行きたかった」と
一度も口にしたことがない。
ましてや、New Yorkで大学に通うなんて。
きっと両親も、あの世で驚いていることだろう。
Sarahに背中を押され、
カレッジの入学オフィスへ行ってみることにした。
当時の私の英語力は、正直かなり拙かった。
5年も語学学校に通っていたのに、だ。
「なんとかなる!」
根拠のない自信ほど、恐ろしいものはない。
「高校の成績証明書が必要です。」
そう言われ、日本の高校へ問い合わせた。
返ってきた答えは、
「成績証明書は卒業後5年で破棄されます。」
50年ほど前に卒業した私の成績表が
存在するはずもない。
仮にあったとしても、
2011年の津波でとうに失われていただろう。
入学オフィスでは、
「成績証明書がなければ入学できません」
の一言で、完全にシャットアウトされた。
もう無理か……。
そう思っていたとき、Stephenが声をかけてくれた。
「日本の成績証明書の代わりに、
アメリカで成績を取ればいい。」
Adult Education Centerで無料で勉強でき、
高校卒業資格を取得できるという。
その足で、センターへ向かった。
科目は4つ。
Social Studies、Science、English、Mathematics。
後から分かったことだが、
すべてをパスする必要はなく、
数学と科学をパスした時点で
カレッジへの入学資格は得られた。
次は、銀行の残高証明書。
必要額は $80,000。
そんな大金を持っているわけもなく、
ここでも「無理か……」と思った。
そのとき助けてくれたのが、
Rhode Islandに住む友人だった。
彼女とは、私のYouTubeを通じて知り合った。
一時的に私の口座へ入金してくれ、
残高証明書を取得することができた。
すべての書類を揃え、
ビザ申請のため日本へ帰国。
この時点で、
パンデミックの影響もあり、
私のビザはとっくに切れていた。
I-20(入学許可証)を
カレッジからメールで受け取り、
オンラインでビザを申請。
9月、クラス開始前日のぎりぎりで
New Yorkへ戻った。
入学準備を始めたのは5月頃。
リモートの語学学校と
Adult Education Centerの授業を同時進行しながら、
必要書類をかき集めた。
怒涛の4か月。
振り返ってみると、
「よく一人で頑張ったな」と思う。
New Yorkでは大変な事が沢山あったけれど、
この時は
「今が一番大変だ!」と本気で思っていた。
けれど、それは束の間だった。
カレッジに入学してからの生活は、
さらに過酷なものだったのだから。
——次回へ続く。
