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写真詐欺で泣きっ面に蜂事件

マッチングアプリで仲良くなった綺麗な女性と
飲みに行きましょうって事になったんです。

当日も翌日も 僕は仕事
当日も翌日も 彼女はお休みだった様で
僕の家の最寄り駅で集合してくださる事に。

待ち合わせ場所は駅の改札前。
定時で仕事を終わらせ向かう道すがら
メッセージで服装を確認します。
「今日はどんな服着てますか?」
「白いニットに黒いスカート履いてますよ!」

成程 人混みの中でも見つけやすそうですね。

駅に到着した僕は往来する人混みの中で
遠くに白ニット黒スカートの女性を発見。

足早に彼女のそばへ向かう僕。
今彼女と僕との距離は約50m。
しかしそこで僕の足がピタッと止まります。

あれ…?アプリの写真と顔が違う…?

令和の加工技術がすごい事は知っています。
僕も写真を撮る時お世話になります。
でもライザップのビフォーアフターとか
うんうん面影あるよねとか
そういうんじゃ説明できないレベルで
もはや人が違うんです。

例えるなら
カフェでケーキセット頼んだ筈なのに
土のついたじゃがいもが出てきたくらい違う。

ただ違うならまだしも
フットの岩尾がセミロングになった様な
味のある…そう味のある顔立ちをされている。

人違いだと思い周りを見渡しても
白ニット黒スカートは彼女しかいません。
アプリの写真と実物の彼女を何度見比べても
やはりケーキとじゃがいも。

そして体型も違う…

や 失礼しました 違う訳じゃないですね。
写真は胸から上しか写っていなかったので
僕が勝手に想像していた体型と
彼女の体型が違っただけです。
でも居酒屋の2人がけのテーブルの横幅よりも
彼女の横幅の方が確実に大きそうです。

僕も人様に自慢できる容姿ではありませんし
人は内面がとてもとても大切だと思います。

でも今そういうのは一旦棚に置かせて頂いて…

「綺麗で話も合う人と飲める!めちゃ楽しみ!」
とウキウキで会ってみたら実は岩尾でしたは
高低差ありすぎて耳キーンてなるやろと。

1週間カロリー制限頑張って頑張って
食べたラーメン屋がハズレだった時
買ったばかりの白い服を着て飲みに行ったら
お醤油がはねてシミになった時
フワァて浮いた気持ちがスンてなるやろと。

どうしよう帰りたい…
でもわざわざこっちの駅まで来てくれたし…
僕の中の天使と悪魔が葛藤します。

いや思い出して僕。
メッセージのやり取りは楽しかったじゃない。
容姿なんて関係ない。
結局最終的に大切なのは内面だよ。

かろうじて天使の勝利。

深呼吸をして気持ちを切り替え
僕は再び彼女に向かって歩き始めました。

「こ、こんにちは〜…」
「あ!こんにちは!僕さんですか?
写真と全然変わらないですね!」

(お前は全っ然違うけどな!)
という言葉は喉の奥に押し込んで
初めましての挨拶を交わしました。

二人は事前に予約していた居酒屋へ。
居酒屋の扉を開け店員さんに名前を伝えると
一番奥の二人席に案内してくれました。

…うん やっぱりテーブルより横幅が大きい。

荷物を置き椅子に腰掛けようとする二人。
その時隣のテーブルが急に静かになり
視線を感じた気がしたんです。

何気なく隣のテーブルに目を向ける僕。

チラッと見るだけのつもりが
ビクッと体は跳ね上がり
隣のお客さん達の顔を凝視してしまいます。

だって隣のテーブルには
同じ職場でめちゃめちゃ仲の良い
後輩の女性が3人飲んでいたのですから。

お互い目を見開き口元はニヤニヤ。
沈黙する事数秒間。

「お、お疲れ様です…笑」
「あ、お、お疲れ様です…笑」

えぇそりゃもう変な汗かきましたとも。
デート現場を見られた事は勿論
デート相手はセミロング岩尾ですから。

頭の中ではガリレオばりに数式が浮かびます。
数ⅡBで挫折した僕なので
大した数式も浮かばないのですが。

計算の結果導き出した解は
「気にしない事」 でした。

後輩3人に会釈した僕は悟りを開いた表情で
椅子に座り彼女と1杯目の相談を始めました。

後輩の女性3人ですが
これまたできた方々なんですよね。
気を遣ってくださったんでしょう。
僕と彼女が席に座って話し始めると
お店を変える為出て行ってくれたんです。

後輩3人には後日お礼にビールを奢ろう…
僕はそう心に決め彼女の方に向き直ります。

乾杯を済ませると彼女が話し始めます。
「男ってさ〜どうせおっ◯いしか興味ないんでしょ?」
「男ってさ〜どうせ私を持ち帰る事しか考えてないでしょ?」

目を見開き耳を疑う僕。
思考が追いつかず
「へ?」と変な返答しかできません。
だって乾杯一発目の話題ですから。

どうやら過去アプリで
「男性達から沢山モテた」
「胸が大きいと言われてきた」
「何度もお持ち帰りされた経験がある」
「私って魅力的な女みたいで困っちゃう」
という自慢話がしたかった様子。

タ、タシカニモテソウデスモンネ〜…
タ、タシカニミリョクテキデスモンネ〜…
ツッコミたい気持ちを抑え
笑顔を作りながら必死に傾聴する僕。

体感時間は2時間を超えましたが
実際は20分くらいでしょう。

写真詐欺でバズれるやろという容姿に驚き
一度は帰ろうかと葛藤し
内面の良さが大事だと思い直し
メガジョッキを2杯空け相槌を打っていた僕も
ついに限界がきた様です。

「実は今日朝から体調が悪かった」
と嘘をつき帰宅を提案。
(本当はショット10杯できるくらい元気です)

お店の会計を済ませ
2人で駅に向かう道すがら
彼女がまた話し出します。

「私好きな男性のタイプがあってね〜」
「髪型は短髪よりマッシュが好きで〜」
(※僕はマッシュヘアです)
「輪郭は丸顔より面長が好きで〜」
(※僕は面長です)
「服は大きいシャツが似合う人が好きで〜」
(※はいその日僕は大きいシャツを着ています)

好きなタイプと言うより
明らかに僕の特徴を並べています。

そしてトドメの呪文。
「私明日休みだし家行っちゃおうかな〜」

僕は全身の皮膚が鶏皮に変化するダメージ。

「ソンナコトイワズジブンノカラダダイジニシタホウガイイヨ
ボクモタイチョウワルイカラゴメンネジャキヲツケテバイバイ」
全国早口大会で優勝できる程の早口で
彼女を改札の中へ押しに押し込みました。


彼女の背中が見えなくなると
急いで駅近くに住む友達に連絡。
「ごめん今から飲めない?
聞いてほしい愚痴があるんだよ…泣」

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