海沿いの感情二部作①~楽曲『渚橋』に想う……👓~
今回は、
海沿いを走るような二作品を……。
~楽曲『渚橋』に想う……👓~
〈渚橋 脚本風〉
◎登場人物
H:ホンダ(俺)
M:マヤ
【Scene 1 国道2号・舞子付近/路肩】
潮の匂い。
焼けたアスファルトの熱。
頭上をかすめる高架の影。
アイドリングするバイクの低い振動。
視線の先、明石海峡大橋。
H、バイクにもたれる。
少し遅れてM登場。
M「待った?」
H「いや。今来たとこ」
H、無言でヘルメットを渡す。
(少し間)
H「……Only you、ってさ」
M「えらいまた急やね」
H「恋だけが全部って言えたら、楽なんかなと思って」
M、海の方を見る。
M「難しいこと言うなあ」
【Scene 2 国道2号・走行中(舞子→朝霧)】
二人乗り。
風を切る音。
トラックが横を抜ける。
エンジン音が会話をさらう。
左手に海。
ガードレール越しのきらめき。
M、後ろから軽くつかまる。
M「ねえ!」
H「んー?」
M「10分だけ、海に降りていい?」
H、軽くうなずく。
H(モノローグ)
🎵恋をしたいよ
恋をしたいよ🎵
【Scene 3 朝霧・歩道脇→砂浜へ降りる階段】
バイクを停める。
エンジンが止まり、急に静かになる。
波の音だけが残る。
向こうに淡路島。
少し霞んだ海の景色。
M、先に降りる。
H「マヤってさ」
M「うん?」
H「しんどい恋してる顔やのに」
M、振り向く。
H「よう笑うよな」
M「笑っとかんと、崩れるやん?」
(少し間)
H「……寒ない?」
M「全然」
(少し間)
指が触れる
H(モノローグ)
波が、昼間の熱をさらう前に。
【Scene 4 砂浜(朝霧海岸)】
高架の上を走る車の連なり。
絶え間のない車の走行音。
M「誰か来たらどうする?」
H「恋人って言えばええ」
M、笑いかけるが、 すぐ海の方を見る。
(トラックの走行音が強く響く)
H(小さく)「……I love you」
M「え?」
H「いや、なんでもない」
H(モノローグ)
🎵エンジンの音がうるさくて
つぶやいても聞こえない I love you🎵
【Scene 5 国道2号・路肩(夕暮れに差し掛かる)】
西日。
車のテールランプが少しずつ増え始める。
M、ヘルメットをかぶる。
M「メガネ、貸して」
H「危ないで」
M「いいの」
レンズ越しにHを見るM。
M「……ぼやける」
H「そらな」
M、少し笑う。
M「でも今は、これくらいがいい」
(少し間)
H「……友達のままでええよ」
M「うん」
H「キスとか、いらんし」
M「うん」
H「笑ってくれたら、それでええ」
M、静かにうなずく。
【Scene 6 国道2号・舞子側へ戻る手前】
エンジン始動。
低い振動が体に戻る。
H「なあ」
M「うん?」
H「……やめろ、とも言えんけど」
(間)
H「もっと苦しくなるかもしれんけど」
M「……うん」
H「それでも、幸せやと思えるなら」
M「思いたい」
【Scene 7 ラスト(舞子に向けて海沿いを戻る)】
バイク、走り出す。
右に海、左に山。
夕焼けが照らす。
M、後ろに乗る。
H、前を向いたまま。
H(モノローグ)
🎵only you
一生最初で最後の I love you🎵
(小さく)
「……聞こえるわけないか」
排気音が伸びる。
やがて遠ざかる。
波の音だけが残る。
H(モノローグ)
ずっと、
このまま終わらなければいいのに。
……たぶん、 そういう時間ほど、短い。
(少し間)
暗転。
Written by りんたろう……✒
