「あなたの脳は壊れていない」のエビデンス──ケトジェニックダイエットRCT
さて、今回は、探偵浮島真一の著書「あなたの脳は壊れていない」の強力なエビデンスを紹介します。
内容はこちらを参照してください。
本書で述べられるBFN理論の核心的命題は、精神神経疾患は、これまで脳の機能の異常だとされてきましたが、実は違う。
問題は脳の血管のフィルターの破綻によって、ノイズが流入し、神経細胞が誤作動を起こしたり、エネルギー不足に陥ることが、精神疾患の原因だというものです。
この理解に基づけば、根本治療はこの血管のフィルターの修復という、実に物理的な話になるわけです。
BFN理論とは?
本書で展開されるBFN理論では、脳のフィルターの異常は炎症やタンパク質の不足、高糖質食による負荷によって発生します。フィルター異常が発生すると、血管から脳実質に入れたくないものがたくさん入ってきます。具体的にはグルタミン酸や、長鎖脂肪酸、炎症性サイトカインなどです。
詳しくは書籍をご参照いただくとして、とにかくこれが誤作動とエネルギー欠乏の原因となるのです。
これが慢性的になることが精神疾患の原因となります。
だから本書の核心的命題は「あなたの脳は壊れていない、壊れているのはフィルターだ」ということなのです。
主流の精神医学が主張するドーパミンの異常、セロトニンの異常などなど脳の機能の異常ではなくはフィルター破損による下流の現象にすぎません。
これは今までの精神医学のパラダイムを根底からひっくり返すものです。
そして、本書の中で再三登場する中心的治療法が、ケトジェニックダイエットです。
ケトジェニックダイエットとはなにか?
ケトジェニックダイエットとは、糖質の摂取量を極限まで減らし、脂質を主なエネルギー源として体内の脂肪を燃やす食事法です。
ちなみにてんかんの治療食である、古典的なケトン食は、タンパク質の摂取量も大幅に減らすものですが、ケトジェニックダイエットではタンパク質をしっかり摂取(体重1kgあたり1.5〜2g以上)します。
そしてついに最新の研究で実際にケトジェニックダイエットが精神疾患に効果があるという結果が得られましたのでご紹介します。
ケトジェニックダイエットによる代謝改善は精神病の症状改善と相関する:無作為化比較試験
背景と仮説
精神疾患治療薬は、精神病性障害における代謝機能障害の高い発生率の一因となっている。ケトジェニックダイエットはメタボリックシンドロームを軽減し、てんかんに対する抗けいれん作用があり、統合失調症や双極性障害の症状を改善する可能性がある。本稿では、統合失調症スペクトラム障害および双極性障害I型患者におけるケトジェニックダイエットの代謝、精神症状、および認知機能への影響を評価する初の無作為化比較試験の結果を報告する。
研究方法
参加者は、1か月間ケトジェニックダイエット(KETO;n = 28)または通常食(DAU;n = 30)に無作為に割り付けられた。試験の途中で、両グループにKETOの延長が提案され、その結果、4か月間食事療法を完了したサブグループ(n = 25)ができた。1か月後(KETO対DAU)および4か月後(KETO対ベースライン)の代謝健康、臨床症状、および認知機能の変化を評価した。
研究結果
KETO参加者の毎日のケトン体レベルは、標準的なケトーシス閾値を超えました。DAUと比較して、KETO参加者は体重(P adj < .001)、ヘモグロビンA1c(P adj = .05)、およびインスリン抵抗性(P adj = .05)の減少を示しました。臨床症状(陽性症状、陰性症状、抑うつ)および認知機能は、KETOを4か月間続けた後に改善しました(すべてのP値 < .001)。KETO参加者の血中ケトン体レベルの上昇は、糖尿病前症マーカーおよび抑うつ症状の改善と相関していました(すべてのP値 < .001)。KETO後の体重減少は、代謝および症状の改善とは関連していませんでした。
結論
本研究では、統合失調症および双極性障害I型の外来患者にケトジェニックダイエット(KETO)を投与することの実現可能性を実証した。参加者は、代謝状態、認知機能、および臨床症状の改善を示した。うつ症状の改善は、体重減少ではなくケトーシスと関連しており、ケトーシスが治療メカニズムであることを示唆している。
まとめると、この研究は、統合失調症スペクトラム障害や双極性I型障害を持つ患者さんを対象に、ケトジェニックダイエットの効果を調べた初めてのランダム化比較試験です。精神科の薬が原因で体重増加や糖尿病などの代謝異常が起きやすい中、ケトジェニックダイエットが代謝を改善し、てんかんだけでなく精神症状にも良い可能性があることに着目しました。参加者をケトジェニックダイエット群(28人)と通常食群(30人)に分け、まず1ヶ月間比較した後、希望者に4ヶ月間ケトジェニックダイエットを続けてもらい、代謝指標、精神症状、認知機能を調べました。結果、ケトジェニックダイエット食群は血中ケトン体がしっかり上昇し、1ヶ月で体重、HbA1c(長期血糖値)、インスリン抵抗性が有意に改善しました。4ヶ月続けると、陽性症状(幻覚・妄想など)、陰性症状、うつ症状がすべて改善し、記憶や注意力などの認知機能も向上しました。特に、血中ケトン体の増加度が代謝の改善やうつ症状の軽減と強く関連していましたが、体重減少自体は症状改善とは無関係でした。
ケトジェニックダイエットはダイエット効果もありますが、体重減少と症状改善と無関係ということは肥満の解消が症状改善の理由ではないことを意味します。
では何が原因か?ケトン体を使う状態そのものが治療効果の鍵だということです。
「あなたの脳は壊れていない」という強力なエビデンス
もし、主流の医学が主張するように精神疾患が不可逆な脳の「機能の異常」だとしたら、どうして、ケトジェニックダイエットで症状が改善するのでしょうか?そんなはずがないのです。
そう、現在の精神医学ではケトジェニックダイエットに効果がある理由は全く説明できません。
ケトジェニックダイエットがなぜ精神疾患に効果があるのか?
しかし、BFN理論においてはケトジェニックダイエットに効果がある理由が簡単に説明できるのです。
糖質を減らすことで、毎食ごとのフィルターの損傷を抑える。
タンパク質を十分に摂取することで、フィルターの修復を早める。
エネルギー欠乏の原因は、流入したノイズによってアストロサイトが神経細胞へ受け渡すエネルギー源の乳酸が欠乏することだが、ケトジェニックダイエットはアストロサイトに依存しないエネルギー源であるケトン体を供給する。
ケトジェニックダイエットによって生まれるケトン体はそれ自体に大きな抗炎症作用があり、フィルターの炎症を収める。
どうでしょうか?すべてがフィルターとエネルギーというキーワードでBFN理論と接続することがご理解いただけると思います。
ケトジェニックダイエットが効果があることはBFN理論から演繹的に導き出される結論です。
そして、この研究は精神疾患の根本原因は脳の機能異常ではなくフィルターの異常であり、それは修復可能なものだということ実証した強力なエビデンスなのです。
「あなたの脳は壊れていない」発売中!
いいなと思ったら応援しよう!
記事は全て無料です。内容がいいと思ったら応援していただけると励みになります!