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記者の仕事より面白い!?「人対人の関係性」で切り開く「新聞社の広告営業道」

新聞には企業の広告が掲載されています。新聞社のニュースサイトにも広告が入っています。この広告を取ってくるのは、「広告営業」の仕事。では、広告営業の担当者は、どんなことを考え、どんな毎日を送っているのでしょうか。「広告を取る」ために、どのような努力をしているのでしょうか……。

今回ご紹介するのは、2022年4月に地方の新聞社から毎日新聞社に転職してきた営業総本部の吉田茉由さんです。「とにかく人に会うのが大好き」で、まさに「営業は天職」といった感じの吉田さんに、広告営業の仕事の面白さについて聞きました。


「記者志望」から地方紙の営業に

―― 吉田さんは、新卒で地方の新聞社に入社していますよね。

吉田 もともと、新聞記者になりたかったんです。全国紙にはご縁がなく、地方紙やブロック紙を受けて、前の会社に入社しました。その会社は総合職一括採用で、採用されてから記者職、営業職、デジタル職…と振り分けられます。私は広告営業に配属されました。

―― でも、記者になりたかったんですよね?

吉田 最初の1カ月弱、新入社員研修の間は結構ふてくされてました(笑)。でも実際に着任してすぐ、広告営業に配属されてよかったなと思いました。

―― 広告営業の仕事のどんなところがよかったのでしょう?

吉田 もともと記者になりたかったのは、いろんなところへ行って、いろんな人に会いたいという思いからでした。広告営業の仕事もそこは共通していました。加えて、私がもともと記者志望だったので、「吉田さんのモチベーションをどう保つか」と職場のみなさん、とても気を遣ってくださっていたようで…(笑)。

―― あたたかい職場ですね!

吉田 当時、広告局でフリーペーパーを発行していたんです。その編集を担当させてもらいました。とても楽しくできました。ただ一方で、気づきもあって。

―― どんなことに気づいたのですか?

吉田 編集や記者の仕事は、実はあまり向いてないのかもしれないなと。人と会って話を聞くのはすごく楽しい、でもアウトプットにはそこまでの思いがなかったというか…。学生時代は作文なんかは得意なほうだと思っていましたが、人に「伝える」となると、それを生業(なりわい)とするほどの力はなかったんだということに気づかされました。

―― きっと、営業が天職なのですね。

吉田 実は新卒の最終面接の時に、面接官に「営業もできそう」と言われたんです。そのときは、「なんだか雲行きが怪しくなってきたな」と不安になりましたが、今思えば、適性を見抜かれていたのかもしれないですね。

―― 毎日新聞社への転職を考えたのはなぜですか?

吉田 「ローカル」というのは、それはそれでとても面白かったです。ただ、競合というと地元テレビ局やフリーペーパーで、事実上、競合他社がいない状況でした。記者を目指して就活をしていた頃から、「全国規模の仕事をしたい」という思いが強かったので、ステップアップを考えるようになりました。

皇居のお堀に掛かる平川門の前で。
毎日新聞社の入居する「パレスサイドビル」は、緑豊かな恵まれた環境の中にあります

転職して1年で遭遇した「大仕事」

―― 2022年4月、新卒の定期採用枠で毎日新聞社に入社しました。移ってよかったことはありますか?

吉田 たくさんあります。いわゆる日本のリーディングカンパニーと呼ばれる、日本を代表する大企業の方々と仕事をすることで、すごく刺激を受けます。そういう仕事に従事できるというのはモチベーションにもなります。

広告の規模、事業の規模も地方紙と比べると大きく、当然、扱う金額も大きくて、やりがいを感じています。もちろん、だからこその責任、プレッシャーもありますが、とても貴重な体験ができています。

―― 担当の業界は決まっているのですか?

吉田 いまは、機械、エネルギーや情報通信、自動車といった業界のほか、中央省庁以外の官公庁団体や東日本の自治体も担当しています。

―― 転職後の最も印象深い仕事は?

吉田 入社した最初の年度末に、大手重機メーカーから30段の見開きカラーの広告をもらったことです。これはむちゃくちゃ嬉しかったですね。

―― いわゆる「全面広告」の見開き、ということですよね。すごいですね。どのような広告ですか?

吉田 カンボジアの地雷除去に関する広告で、「生きる場所をつくる」というその会社のテーマにつながるような内容でした。広告会社から話があり、さまざまな縁がつながって実現した広告でした。

大切なのは「個人対個人」

―― 広告掲載にいたるまでに、どのような手順を踏むのですか?

吉田 たとえばこの広告の場合ですと、広告会社とともにクライアントの希望をヒアリングし、いくつかメニューを考えました。広告の大きさや掲載エリアを考え、デジタルの展開も模索しました。クライアントのニーズに合わせてメニューを組み、提案するという流れです。

―― 広告掲載の話がまとまるか、まとまらないか、というのはどういうところで決まるのでしょうか。媒体のブランド力や信頼性?

吉田 媒体力が大半を占めると思いますが、個人の関係性などがプラスに働くこともある気がします。

―― 関係性をつくるために、どのような努力を?

吉田 回数を重ねて会う。こまめに訪問して時間をいただく、ということです。

―― 一緒にお酒を飲むこともありますか?

吉田 ビジネスを目的に飲む、という機会はあまりないですね。関係を築いたその先にビジネスが生まれることもある、というイメージでしょうか。

―― 周囲のサポートもあるのでしょうか?

吉田 デスクから「こうしたら、面白い展開になるんじゃないか」と、いろんなアイデアやアドバイスをもらいました。広告会社も「打てば響く」と感じてくださって、ニーズに合ったプランを考えることにつながると感じます。

しっかり働いて、長期休暇は海外へ。念願のピラミッドにも!

364日、苦しんで苦しんで…

―― 仕事をしていて、大変だなと感じることは?

吉田 新聞が置かれている環境が、思っていた以上に厳しいというのはあります。同じ全国紙でも、毎日新聞より発行部数の多い他紙には広告が出て、毎日新聞には出してもらえないということもあります。ただ、そういう状況がある中で、前述の重機メーカーさんのようなクライアントからの出稿が実現するのはうれしいですよね。

―― 新聞広告は1回出したらそれきりなので、新規開拓が大変そうですよね。どのように開拓するのですか?

吉田 他紙に広告を出しているところに提案に行ったり、「最近テレビCMをよく見かけるな」というところに話をしに行ったり、あとは、毎日新聞とその企業のイメージの相性が良さそうなところに行ったり。名の通った新聞社なので、最初のアポイントメントは比較的取りやすいと思います。

―― 提案は何度もやり直すのですか?

吉田 「この切り口はどうですか?」「じゃあこの切り口はどうですか?」って、それはもう何度も。アポイントや会食の中で、現状の課題感や、企業の中のホットな情報をうかがうことができることもあります。例えば、「いまは、CSRの動きを広報していくメリットは感じてないんですね…」というようなやりとりをしながら作っていきます。

―― 企業の課題感というのは例えばどのようなものですか?

吉田 いま圧倒的に多いのはリクルーティングです。

―― でも「採用できない」というのは、どの会社も同じですよね。「採用できない」という課題の解像度を上げていくのですか?

吉田 採用そのものについて深掘りするというより、その会社にとって「いま打ち出したいこと」を聞いていく場合が多いですね。「うちはこういう会社で、こういう事業をやっているから、人材募集をしています」という広告を出しても人は来ない。例えば「海外で独自のCSRをやっています」と宣伝することで人が来るので。

――  仕事をしていてもっとも楽しさを感じる瞬間は?

吉田 なんと言ってもやっぱり、広告が取れたときです(笑)。広告は、むしろ取れないのが当たり前。364日、苦しんで苦しんで、最後の1日に喜びがある、っていう感じです。

都市対抗野球事業の醍醐味

―― 毎日新聞社だからこそできる仕事というのはありますか?

吉田 事業がらみの仕事ですね。たとえば都市対抗野球では、スポーツ事業部と一緒になって、クライアントに事業協賛と広告掲載を一緒に提案するというやり方をしています。広告の種類も、紙面広告やニュースサイトのバナー広告、ライブ配信の動画広告など多様です。

都市対抗野球は「BtoB」の大会なので、私の担当の中では「BtoB」ビジネスの企業に営業をかけることが多いです。 もちろん、観客の中には根っからの野球ファンという方もいると思いますが、多くは出場している企業と関係企業の社員です。

2023年に毎日新聞社が主催した美術展「永遠の都ローマ展」の会場前で

―― 事業協賛と広告掲載をセットで提案することで、何かメリットはありますか?

吉田 普段、新聞広告を出すことがない企業と「事業協賛」という切り口でつながって、新聞広告を出すきっかけにしていただくということがあります。

毎日新聞社は「人があたたかい会社」

―― これから先、「こんなビジネスパーソンになりたい」という目標はありますか?

吉田 先ほどお伝えした、年に1回の「嬉しい」の回数を増やしていきたいです。それから、いまは「なぜ毎日なのか」というところを突き詰めたいです。

―― なぜ毎日なのか、ですか…。どういうことですか?

吉田 「なぜ毎日さんに広告を出す必要があるのですか?」って聞かれたときに、どう答えるか、ということです。他社がやっていない事業などを打ち出してはいますが。

―― 事業のほかに、どのような打ち出し方がありそうですか?

吉田 社会問題を提起するようなメッセージ性のある広告を作りたい、という思いはあります。それを出すことで、クライアントにも役に立つ、というような。毎日新聞社への転職を目指した時に考えていたことなので。

社内にコンテンツスタジオというのが発足して、記者出身者に広告原稿を書いてもらえるようになったのは大きな強みだと思っています。

冬はスキーでリフレッシュ!

―― これから先の自身のキャリアのイメージは?

吉田 とにかく現場が好きなので、管理職に就きたいという思いは今のところあまりません。ただ、30歳を前に今後のことを考えると、責任あるポジションにもチャレンジしていくべきなのかなと思ったりもします。

―― 最後に、毎日新聞社の良いところは?

吉田 毎日新聞社にエントリーシートを提出しようと決めた時、当時の丸山昌宏社長が150周年に向けて「分断が進んでいるとされる時代にお互いを分かり合い、 支え合っていくための羅針盤でありたい」というメッセージを発信しているのを目にしました。それがすごく素敵で、「これだ」って思ったんです。

もう一つは、本当に、人があたたかい会社だということです。こういう人たちと働けているっていうことが、もうQOL(生活の質)だと思うんですよ。尊敬できる上司がいて、一緒に働くことが楽しいな、嬉しいな、と思える同僚がいる。それが最高だな、って思います。

聞き手 毎日新聞社 採用担当・市川明代


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