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食事の記憶 19 筍づくし

    親戚が大阪府高槻市の摂津峡(せっつきょう)近くにいたから、春には毎年、朝掘りの筍を頂いた。

    村内には、山登りが好きな方々が居て、そちらからも筍に破竹をやはり毎年頂く。

    そして父の仕事関係で取り引きのある方が、京都は山城(やましろ)の筍を下さった。

    これらの筍は、どれも非常に美味(びみ)である。

    自宅で精米するから、アク抜きの米糠には困らない我が家だ。

    1度に3本ぐらい頂くので、寸胴にたっぷりのお湯、米糠、筍を入れる。

    先の緑の部分を、斜めに切り落とした筍は、皮ごと丸々2時間は茹でる。

    そして1晩そのままおき、常温になった翌日に、筍の皮を剥いて様々なメニューに化けさせるのだ。

    先ずは、筍のお刺身。

    これはわさび醤油でシンプルイズベストに頂くのが良い。

    次に、若竹煮。

    佐渡ヶ島の乾燥わかめを毎年頂いていたから、無論、この美味(びみ)なるわかめを使わぬ手はない。

    筍と同じく、春が旬であるわかめは、関西だと鳴門わかめなどが有名であり、スーパーにはそれが出回る。

    従って、生わかめや塩蔵わかめで若竹煮を作る家庭がほとんどだろうと思う。

    しかし我が家では、今は本当に稀少になっている、佐渡ヶ島産の「天日干しわかめ」を、10袋は頂いたから、最も美味しい2月から5月に収穫して干した柔らかいわかめを、贅沢にもたくさん使い、トロトロわかめの若竹煮が、食卓に上がったのである。

    まして、京都府山城産の朝掘り筍と組み合わせれば最強だ。

    なので私は、若竹煮の味には、かなりうるさい。

    次に、老若男女皆大好き、筍ご飯である。

    薄揚げ(油揚げ)と筍をたっぷり入れた筍ご飯は、たくさん炊いてわざと余らせる。

    そうして余った筍ご飯は、おにぎりにする。

    冷蔵庫で冷やした筍ご飯のおにぎりは、翌日、最高に美味い。

    それに、筍ご飯には筍のお吸い物も必須である。

    因みに母だけは筍の木の芽和えが好きだが、父、弟、私は木の芽和えは苦手で、母はしょんぼり自分の分(ぶん)だけをちんまりと、作っていた。

    あとは、筍の天ぷらもよく食べた記憶がある。

    こうした筍づくしは、春の風物詩であり、毎年の楽しみだった。

    筍は買うと高い!!

    しかし有難いことに、我が家はこうして、無料で朝掘りの筍に例年ありつけたのである。

     これまた昭和の食卓の1つだったと、今では感じている。