「体験格差」の具体例
最近は子育てにおける「体験格差」がトレンドだ。
親に十分な経験をさせてもらえなかったことが後々の人生に尾を引くということである。
ただ、SNSで語られる「体験」と実際に問題になるケースには乖離があるように思う。
今回は、いかなる「体験格差」が問題となりうるか、述べていきたい。
1.浪人
一昔前の女子に多いとされていたが、今でもあると思うし、男子でも見過ごせない数存在するはずだ。
浪人が恥と思っている人は一定数いる。むしろ、浪人に寛容な人は進学校で東大や医学部を目指していたトップ層の一部に限られるのではないか。
学歴の観点からは、浪人の効用は計り知れないのだが、そこが親に理解されず、「現役で絶対に大学に行け」とプレッシャーをかけられ、志望校を下げざるを得なかったり、滑り止めに進学せざるを得なかったりするのだ。
このケースは学歴コンプレックスに陥りやすく、かなり危険だ。身近にこのパターンになった例を複数知っているし、そういった人は何十年経っても学歴の呪縛から逃れられない。
2.上京(下宿が必要な地域に進学)
これも女子にありがちなケースに思う。高市早苗も早慶に受かっていたが、上京が許されず、神戸大に進学することになったらしい。
都内の生活コストは年々上がっているので、この項目の実現が最もハードルが高いかもしれない。
3.テレビ,漫画
「無キャ」界隈で頻繁に話題にあがるテレビ漫画禁止令である。
私は漫画は制限されなかったが、テレビは暗黙の了解で制限があり、特にバラエティ番組の視聴は毛嫌いされていた。
そのせいか、誰でも知っている芸能人、特に芸人の名前がわからないことが珍しくなく、今でもコミュニケーションに支障をきたすことがある。
ただ、今バラエティやお笑いを観ても全くおもしろいと思わないし、観たいとも思わないので、ここらへんは親とは関係ないそもそもの自分の好みもあったのかもしれない。
皆がバラエティに盛り上がる中、私が夢中だったのは「その時歴史が動いた」や「映像の世紀」とかだったので、全く話が合わなかった。
とりあえず大切なことは、子供が何かしらに興味を持っている場合や、周りに合わせようと努力している場合はむやみにそれを禁止しないことである。
4.ゲーム
テレビや漫画と並列して語られることの多い項目だ。
ゲームは親に買い与えられなければプレイすらできないので、格差がかなりつきやすい。
据え置き機であれば友達の家に行ってやることもできるのでまだマシであるが、携帯ゲーム機は持っていないと輪に入ることすらできないので、深刻な問題となりうる。
ゲームを持っていないだけでコミュニティで劣位に立たされるのだ。
携帯ゲーム機と共に育ってきた世代が親になろうとしている今の時代、この問題に無理解なケースは減っていくかもしれない。
5.携帯,スマホ
極稀だが、なくはないケースだ。SNSとかスマホゲーのデメリットを恐れて、親が持たせないのだろう。しかし、日常的に友人と連絡がとれず、コミュニティから自然に除外されてしまう負の影響は計り知れない。
また、スマホに皆が変えている中、ガラケー継続を強制されLINEができない、といったパターンもあった。
6.テーブルマナー
いわゆる「育ち」の試金石として頻繁に引き合いに出される項目だ。
箸を正しく持つ、フォークとナイフの使い方、肘をついて食べない、音を立てない、などなど。
高学歴でもこのあたりに無頓着な人はかなりいる。習い事で忙しく家族と食事をする時間がほとんどなかったから、と理由付けをしていた知り合いがいた。本末転倒である。
かくいう私も箸を間違ったやり方で30年以上持ち続けてきたことが発覚したため、現在矯正中だ。
7.歯並び
歯並びは実家の経済水準を表すとも言われるが、実家が高学歴のエリートであり一定程度の経済水準があるはずでも歯並びに問題があり放置されているケースは少なくない。
高学歴エリートは内面的な能力を重視する余り、美意識に欠けていたり、あまつさえそういったことに拘ることが悪と思っているのかもしれない。
もちろん、歯並びが悪くてよいことは何も無いので、親がしっかりと資金を投入して矯正するべきである。
将来の異性交際、結婚などを考えると、放置することのデメリットは大きい。
8.二輪
バイクはかなり危ないので、禁止もやむなしかなとは思う。
ただ、私の場合は自転車も禁止されていたのでかなり辛かった。
特に小学校時代、友人と自転車で少しの遠出をする、といったイベントに一切参加できなかったことはかなり負の影響をもたらした。
中学校からは私立で電車移動がメインだったので助かったが、仮に公立で自転車のコミュニティが続いた場合は詰んでいたと思う。
9.車
地方医学部で問題になるケースだ。学年の5%くらいは車を持たせてもらえないためにまともに行動できずに6年間を過ごすハメになっていた。
この5%は学業や結婚、その後の就職で何かしら問題を抱えており、予後がかなり悪かった。
10.スキー,水泳
この2つは必須スポーツ、というより基礎技能がないとレクリエーションの際に困ってしまう。
私は両親含めた家族にスキーの習慣がまったくなく、連れて行ってもらうこともなかった。もともとの運動神経の悪さも相まって、大学のグループでスキー旅行、といった場面では参加に及び腰になり、問題が生じていた。
まあ、ただ滑っているだけで何が楽しいか全くわからないので別にいいのだが…
水泳は私の場合は最低限習っていたのでなんとか泳げたが、習わせてもらえずカナヅチという級友は少しかわいそうだった。
まとめ
上記の項目で金銭面で達成難易度が高いのは歯列矯正や上京だろうか。
それ以外はとりたてて大きな壁ではないだろう。
私が挙げた項目すべて問題なく、親にさせてもらえた、という人はどれくらいいるだろうか。
