4歳娘、4mのウォータースライダーに挑戦
娘は、市民プールの小さな滑り台ですら嫌がる。
「できるよ、やってごらん」
そう声をかけても、テコでも動かない。
ところが――。
夏祭りで見かけた、4メートルはあろうかというウォータースライダーを前にして、
「やる」
と、一言。
え?
隣の建物より高いんだけど?
お兄ちゃんはこういうのが大好きで、4歳の頃からガンガン滑っていた。
でも娘は、違う。
「無理だよ」と止めるべきか。
でも、せっかく芽生えた挑戦意欲を、摘んでしまっていいのか――。
こういう時、かなり悩む。
「無理だよ」「やめよう」って先回りして言うのは、よくないっていうけれど。いくらなんでも……。
迷っていると、周りの様子が目に入る。
怖くなった子は、係のお兄さんに抱っこされて降りてきている。
――まあ、棄権できるなら。
「……わかった。やろうか」
隣では小学生の女の子が「怖かった」と話している。
やっぱり、止めるべきだったかな……。
娘は、黙々と階段をのぼっていく。真っ直ぐ上だけをみて、振り返らない。
小さい体が、さらに小さくなっていく。
――もしかして、ドキドキしてるのは、私のほうなんじゃないか。
てっぺんまで登りきって、座る。
泣くかと思った。
でも、泣かない。
むっつりした顔で、きちんと座っている。
(今だよ。無理なら無理って言っていいんだよ)
そう思った、その瞬間。
係員のお兄さんに軽く押されて――
滑った。
ものすごいスピード。
途中で体がふわっと浮いて、そのまま、ドボン!
大きな水しぶき。
「ぎゃあああああ!!」
抱き上げると、顔をぐしゃぐしゃにして泣いている。
私はそのまま抱きしめて、
「がんばったね。すごいよ。かっこよかったよ」
そんな言葉が、自然と口から出てきた。
もともと芯の強い子ではあるけれど。
“やる”と決めたことを、最後までやりきった。
その姿は、見事だった。
――泣いて、諦めても、よかったんだけど……ね。

