なだらかな赤信号 水仙とキンカンジャム
二人が赤信号で立ち止まったのは、あの日の続きのようだった。
今日はリュックの中に、約束の自家製キンカンジャムを塗ったサンドイッチが。
「今日はね、詩を作ってきたの」
彼女が小さな声で呟く。
二人の視線の先、神社の石段の脇に、あの時よりも少し背を伸ばした黄色い水仙が揺れていた。
なだらかな 赤に守られ 立ちどまる

「赤信号は、神様が『ちょっと休み慣れ』って言ってるのかもね」
彼女はそう言って、彼の手をそっと握り直した。
二人は青信号になっても、すぐには歩き出さなかった。
湿地の方から風が吹き、ザゼンソウの紫と水仙の黄色が、冬の終わりの空気に溶けていく。
「お参りしたら、あのベンチでサンドイッチ食べようか」
「ああ、ジャムの味、楽しみにしてる」
なだらかな時間は、キンカンジャムのように、ゆっくりと時間をかけて甘くなっていく。
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