テレビを買うの記(上)
先代のテレビの話
「テレビを買う」というと、まるで今までテレビを持っていなかったようにも聞こえるが、別にそういう暮らしをしていたわけではない。正しくは「テレビを買い替えるの記」だが語呂が悪いのでこうなった。
発端は、ある日突然テレビが壊れたことである。
これも正しくないな。壊れかかっていたテレビが完全に使用不能になった、が正解だ。
それまで日立製のWOOO42型P42-HR01プラズマテレビというのを愛用してきた。「日立製」「プラズマテレビ」というロストテクノロジー級の代物で、4Kどころか画素数が1024×1080といういわば1Kテレビである。確か18年前に購入したものだ。
そのときもやっぱりそれまで愛用してきたSONY製のブラウン管テレビの表示灯が点滅するようになり、ほんの一部で色がおかしくなる現象はあったものの実使用には大きな支障はなかったのだが、サービスに問い合わせると心臓部の不具合だから修理すると買い替えるぐらいかかるし放っておくとそのうちダメになると言われた。さすがはSONY、安定の壊れやすさよと思いながら、ちょうど地デジ(あ、これも死語だね。それまで地上波はアナログ方式で4:3の画面サイズだったのに対し、今のようなデジタル方式に切り替えるにあたって地上波デジタル放送をこう略したのだ)に切り替える過渡期だったのでいいタイミングかと買い替えたのだった。
当時はまだ液晶テレビの技術が不十分で、色の再現性、特に暗部の表現に難点があった。プラズマテレビは画素が自ら発光するために黒が出せること、反応速度の速さなどの利点があったが、消費電力が液晶より大きいこと、熱を発すること、文字などが焼き付きやすいことなどの欠点もあってPanasonicと日立しか採用せず、そのPanaすらが液晶に軸足を移しつつあるというビデオにおけるベータ方式的立ち位置であった。
しかし、某有名家電量販店に行って見比べてみたが、画質の面では液晶方式より明らかに上で、画素数の少なさも全く感じさせない。さらにWOOOには当時としては珍しかったHDD内蔵でTVだけで録画ができるという機能もあった。すでにDVDレコーダーがあったのでそこまで必要ではないかとも思ったが、当時は複数番組同時録画の時代ではなかったので結構重宝してあとから追加のHDDを買ったりもした(当時は日立も2.5インチHDDの主力メーカーの一つであったせいもあったのだろう)。
というわけで、4K放送が一部で始まるような時代になっても我が家の1Kテレビは特に画質面で問題となることもなく(小道具の手紙の文面とか画面内の文字を読もうと一時停止したときに低解像度が露呈したりしたが)、文字が焼き付くようなこともなく齢を重ねていたのだが(テレビを長時間見ると電気代と室温が明らかに上がったが)、引っ越しが良くなかったのだろうか、数年前から「アンテナに不具合があるからこのチャンネルは利用できないよ」というメッセージが出て地上波放送が映らないという症状が出た。
「アンテナが」と言うものの、電機店の人に見てもらったらアンテナに問題はなくチューナーの不良だろうという(後日調べると、P42-HR01ではチューナーが故障する事例が多かったようだ)。すでに購入から10年以上経っており日立もテレビから撤退済み、電源を入れておくとだんだん点滅するようになって5~10分するとだいたい視聴可能になったので、録画用チューナーやBSチューナーは問題なかったこともあって、だましだましそのまま使っていたのだ(暖気中の電気代は無駄になったが)。
それが先日、朝起きてテレビをつけたら画面が真っ暗なのはいつものことだったが、メッセージがいつもと違って「もう、さようなら、サンタマリア」的な言葉に変わっていた。リモコンもほとんど反応せず、一部表示できたメニューも選択したり実行したりすることはできずに、ついに完全なる終焉を迎えたのだった。
テレビ無しで生活できるほど人間ができていないので、親が生前使っていた3D対応テレビ(おお、これもロストテクノロジーだ。一時これからは3D放送だとあおっていたのだよ、全く年寄りを騙しやがって)と取り換えて急場をしのいだが、これとて10年以上前の製品だしどうせだったら最新式のテレビがほしい、もう少し待てばブラックフライデーとかいうやつもやってくるし、これを機に買い替えを前向きに検討しようではないかということになったのだ。
まずは画質を重視すべし
18年物のプラズマテレビ、しかも明らかに不調を抱えていたのでもっと早くから後継候補を考えておけばよかったのかもしれない。しかし、せっかく機械が想定耐用年数を超えて頑張っているというのに先回りして後釜の検討を始めるのはどういうわけか気が咎めるというか、そういう気配を察したら「あ、おいらはもうダメなのね…」と機械が悟ってしまう気がするというか、ともかくそれができない性分なのだ。5~6年くらい前までは時々「家電批評」を買って今の家電の売れ筋などをチェックしたりもしていたが、最近はそれもしていないのでほぼ白紙に近い状態から検討を開始する。
後継候補を選ぶにあたっての条件の第一は、画質が十分なものであること。
何といってもテレビは動画を見るための装置である。画質がいまいちではQOLが低下するというものだ。とはいえ電化製品ゆえに10年前後でダメになる可能性も考慮し、贅を尽くした最高級品を買うのもためらわれる。
とりあえず、昔、液晶とプラズマの2種類があったように、今は液晶と有機ELの2種類があって、一般的には有機ELの方が画質が上と言われている、という予備知識はあった。まずはこのどっちにするかを考えねば。画質を考えると有機ELは捨てがたいがプラズマと同様消費電力は高めでこれではWOOOの二の舞か…と検討を進めていると、「有機ELは明るい環境に弱い」という情報が出てきた。
我が家のTVの設置場所のすぐ横にはけっこう大きな窓があって、これが南を向いている。さらにTVの正面方向の壁にも、4間ぐらい離れているとはいえやはり窓があり、視聴環境としては恵まれているとは言い難く、画素自ら光るプラズマテレビとはいえ、晴れた日には日差しと反射でけっこう厳しいものがあった(映り込み防止機能とかがないせいもある)。有機ELは光が差し込む場所では遮光性のカーテンが必要という話もあって、一方で最近では改善されているともあったが、ここで冒険はしたくないということで、有機ELは候補から外すことにした。おかげで一気に候補が減ってその後の作業がスムーズになった。
ということで液晶の製品から選ぶわけだが、今の中級以上の機ではバックライトにmini LEDというのを使用して、明るさを細かくコントロールしているということがわかった。画質にある程度こだわるのならこのmini LED使用というものから選択すべきだろう。さらに候補が絞り込まれる。
最新式はRGB mini LEDという、より色の再現性を高めているパネルがあるらしいが、そこまでいくと最上級品クラスになるのでコスパ的にはmini LEDの中で高性能なもの、あたりが妥当なのではないかと判断した。今回は一切現物を見ずにネット情報のみで絞り込んでいったのでこういう結論になったが、実機の画面を見ていたらまた違った結論になった可能性はある。
なんとなく、REGZA、VIERA、BRAVIAの3択かな、と考えていたところで、さて世の趨勢はと価格.comを開いてみると、人気売れ筋ランキングはほぼREGZAの一人勝ちである。東芝のブランドだったREGZAはもはや中国に買われてしまったが、それがかえって良かったのか。
もともと43型を置いていた場所に設置するので、ベゼルが細くなっていることを考えると50型がほぼ同じぐらいの大きさになる。REGZAの50型で探してみると10万円台でけっこう見つかるがどれもmini LEDではない。mini LEDを使用しているものは50Z870Rのみなので、これが有力候補となった。
配信対応の問題
では、他のメーカーではどうだろうかと比較しようとしてはたと気が付いた。最近はTV放送よりも各種配信の方を見ることが多い。調べてみると、REGZAは独自仕様、VIERAはFire TV、BRAVIAはGoogle TVを利用している。
もともとFire TV Stickを利用しているのでFire TVが使いやすいだろうか、だったらVIERAの方がいいのか…と考えかけたが、ネットで検索してみると、TVのセットアップでamazonのアカウントの入力を求められ難儀した、という話が出てきた。
amazon Prime会員なので困らないのだろうし、amazon専用というわけでもないTVでamazonのアカウントが必須のような設計をするだろうか、とも思ったが、Prime会員だっていつまでも続けるとは限らないし、TVを見るのにamazonに依存するのも業腹だ(Fire TV Stickはすでに利用しているけれど、これは止めても本体には影響ない)。同様のことはGoogle TVにも言える。
Z870RかZ875Rか
ということでほぼREGZAで決まり、という感じになったが、よく見ると当初有力候補となった50V型はZ870R、55V型以上はZ875Rと型番が違う。公式サイトでは同じ枠に表示されているけれど、どうやらこの2つは実は別物らしい。
875Rにあって870Rにないもの
・映像エンジン ZRα(870RはZR)
・広色域量子ドット技術(より純度の高い色を再現するのだそうな)
・広視野角ワイドアングルシート(液晶の弱点である斜め方向から見た時の色の変化を抑える)
・AI高画質PRO(コンテンツに合わせて最適化)
・フロントスピーカーシステム
なかでも重要なのが「広視野角ワイドアングルシート」だろう。椅子の配置の関係で自分の定位置は画面から見て45度ぐらいの位置になる。急場を凌いでくれている古い液晶テレビでもさほど不具合はなかったので心配はないのかもしれないが、こういうことを謳ってある方が安心だ。
テレビの映像エンジンなんて気にしたことはなかったが、デジカメではこれがけっこう重要なのでどうせだったら高性能なものの方がよろしかろう。
量子ドットやAI高画質PROもWebカタログに書かれている通りならなかなかすばらしい技術だが、実際の見た目にどう影響するのかはよくわからない。
次に検討したのは音の部分である。
18年物のWOOOはスピーカーこそ前面についているものの音質は決して良いとはお世辞にも言えず、特に低域の再生に関してはまるきりダメで一定の周波数より下の音は再生できていなかった。TVで全部再生するのではなく、必要ならばサブウーファーなどをつけてね、という設計である。
その代わりというよりその頃のAV機器はみなそうだったともいえるのだが、アナログ出力がついていたのでオーディオアンプにつないで、コンサート映像とか一部の映画とか、低音をしっかり鳴らしたいときにはそちらから出力することで補っていたのだ。AV機器にアナログ入出力がつかなくなる時代が来るなんて当時は思ってもみなかったので、アンプには光入力はなく、HDMIなどもちろん対応していない。
さて、REGZAに限らず今普通に売られているTVにはアナログ入出力などついていないので、これまでのように我が家のアンプを通すためにはヘッドフォン端子から取り出すことになるが、これをLINE INに入れるのはあまりやりたくない。MIDIから音声信号を取り出す機器もあるようだが遅延が発生しそうで嫌だ。アナログがなくなったのは必要とする人が少ないのに加えて著作権管理の都合も大きいのだろうが、こういう合法な利用もできなくなっていくのは困ったものだ。
そしてTVを新調してはじめて気づいたのだが、我が家にはやはりロストテクノロジーであるVHSビデオデッキがあるのだけれど(数年前には再生可能であったが、その後使ってみていないので現在も稼働するかは不明)、仮に動作可能な状態でもTVにアナログ入力がなければ実質使用不能である。ビデオテープの寿命の問題が話題になっていたけれど、こっちも地味に問題だ。
音の話からずれてしまったので話を戻す。
オーディオアンプを通してよりよい音を再生するということが難しくなった以上、TV単体である程度の音質が得られるのが望ましい。すると、870R、875Rともに「マルチアンプを採用し、2Wayバスレフ型メインスピーカー、ウーファー、トップスピーカーなど合計7個のスピーカー、パワフルで臨場感あふれるサウンドを再現」とあるが、最大出力の値と、メインスピーカーの向きが875Rは正面だが870Rはサイズの関係か、下向きで床に反射させる方式らしい。画質の面で875Rにほぼ傾きつつあるが、音質面でも875Rにするべき理由があるようだ。
いよいよ875Rで決まりそうだが、問題はサイズである。
もともとWOOOはそのサイズに合わせたワイヤーシェルフの上に置いてあった。50V型であれば問題なく置き換え可能だが、875Rは55V以上しかない。メジャーで計ってみると55Vでちょうどワイヤーシェルフの横幅とほぼ同じ(若干はみ出る)。リビングは約12畳なので今の基準だともっと大きいサイズ推奨みたいで、置こうと思えばもっと大きいのも置けなくはないのだが、ラックの高さが今風じゃないのでもし設置すると相当圧迫感が出るし、第一その分値段が高い(消費電力も)。これは55Vで十分ではなかろうか。
某有名家電量販店のサイトに行ってみると、ちょうどメーカーでキャッシュバックキャンペーンをやっているらしい。しかも量販店独自、期間限定で、リサイクルを手配するとポイント追加サービスもあるといい、ポイントも現金と同等としてざっくり計算すると実質20万円強ぐらいになりそうだ。価格.comの最安値クラスのお店には到底太刀打ちできないが、まあまあのお手頃価格である。
ただ、REGZA推しの情報を多く見てしまった上に、ちょうどそのころ体調があまりよろしくなく頭を必要以上に使いたくなかったので、これでは公平な判断ができそうにないと思いとりあえず日を跨ぐことにした。これがその後大きく運命を左右するのであるが、その頃の自分は知る由もない。
購入の前の一仕事…HDD選び、そして
さて、翌日、翌々日もあまり体調は変わらないながら、いくつかのサイトを見たり、最初に参考にしたサイトをもう一度見たりして、やはりREGZA Z875Rで揺ぎ無しと心が決まったところで細君の了解も得、よしそれでは次に録画用のHDDも買わねばなと再び某有名家電量販店のサイトに行き物色を開始する。
Z8シリーズはREGZAの誇るタイムシフトマシン搭載というやつで地上波6番組同時録画可能だが、当初は別にその機能は必要ないかなと考えていた。しかし、ごくたまにではあるが、途中から見始めた番組が面白くて最初から見たいと思ったり、1、2日前の番組の情報が流れてきて、知っていたら見るなり録画するなりしたのに、ということもあったことを思い出し、試しに使ってみてもよいのではと考え直した。
で、調べてみると、通常の録画用とタイムシフト用とHDDは別々に用意しなければならないらしい。では、当初8GBのHDDを考えていたが4GB×2に変更し、4GBで出てきたブツを比較検討する。普段はPC周辺機器はバッファロー一択に決めているのだが(キリがないので)、見るとI・Oデータの方が若干安いものがある。念のためREGZAに対応しているか見てみると、タイムシフトの方が対象外の表示である。対象外?
で、バッファローの方を見ると、候補に出てきた商品はみな対応しているようだ。ちょっと高いけど「SeeQVault対応」とかいうのがあって、これだと同じメーカー製のTVやレコーダーなら繋ぎ変えて録画が観られるらしい。いいじゃん、それ。WOOOにつけていた500MBのハードディスクには再生していない録画データがたくさん残っているが、TVが無くなった今ただの文鎮である。
しかしこれもまた調べてみるとZ875Rにはその機能は対応していないらしい。なんやねんそれ!危うく無駄なもの買うところやったやないか!(そもそもSeeQVaultは4K録画に対応していないそうで、そのせいもあるのかもしれぬ)
では通常のから選ぶか…同じような外観で1,000円ぐらいの価格差で3種類ぐらいある。むきー。何が違うんかわかりやすく示してくれんか。
ブラックフライデーセールの表示があるのが1つある。値段はもっと安いものもあるが、これだけファン付きだ。ファンレスよりはファン付きの方が耐久性が上なのではと思って決めかけたが、ついているレビューを見ると「音がうるさい」という声が少なくない。番組視聴中にファンの音が耳につくようではよろしくないので、ファンレスタイプで一番安かったHD-LE4U3-BBにする。
よし、いろいろ調べるのに2時間ぐらいかかって疲弊したけれどこれでHDDも決まった。今はアンテナケーブルとかも別売りらしいけど、ちょっと古いもので良ければ売るほどあるし、よし!発注だ!
_, ._
( ゚ Д゚) …?
(つд⊂)ゴシゴシ
_, ._
( ゚ Д゚) …
_, ._
(;゚ Д゚) …?
2日前と値段が変わっている、というか上がっている。
いや、家電量販店のサイトも日によって価格の変動があることぐらいは知っている。でも、4万円近くも上がるって何!?
一気に疲れが出て、しばし逃避する。
何か事情があってZ875Rの相場が急騰したのか、とも思い価格.comで調べてみるが、全体の相場は大きく変わってはいないようだ。この値段ならほかにもっと安いところもあるのでは…と見てみるが、量販店だとそんなに大きな差はなく、利用したことがないお店のネット通販のやり方などを今から確認し直す気力はもうなかった。設置サービスも考えると利用歴があって信用できるところに勝るものなし。
ということでポチりました。HDD×2も入れて約31万円也。
ネット銀行から振り込もうとアプリを起動するときに、手荒れのせいで指紋認証ではねられてもう一度設定し直すはめになったりその後も散々だったが、入金確認後1時間ぐらいですぐ電話が来て、設置サービスも頼んだので1週間ぐらいかかるかな、と思ったけれど、HDDは後日で良ければ2日後に来てくれるというのでそれでお願いした。
さあ、この31万円が高いか安いかは実際に使ってみてのレポートによって明らかにしたいと思うが、もう字数が尽きた。続きはまたの講釈にて…と言いたいところであるが、一言だけ。
我が家の近郊に、比較的あちこちに店舗があるタイプの有名家電量販店が2種類あるのだが、購入後の週末にそれぞれチラシが入ってきて、どちらにも55Z875Rが載っていた。現金価格で比べるとこちらの方が安い…そんなことはめったにないのに。最近のテレビは投資商品並みに相場が上下するのであろうか?
そして、外付けHDDはほぼ必須なんだから、どういう条件で選択したらいいかもう少しわかりやすく書いてくれんかのう。
