咄嗟の反応って、案外いいカンジかもしれない
感情が湧いたり考えるより先に、咄嗟の反応で行動していることは割とあるというか、少なくないんだな。
ひとつひとつ思い返してみてもそれは無難な選択というか、意外と調和したものだったりするんじゃないか。。
な~んてことを感じた日のこと。
その日、用事を済ませた帰りの車内で赤信号待ちに看板が目に留まり、「あ、あれ買って帰ろ」と思いつき、ふらっとその看板の駐車場へ入った。

レジのスタッフは20代そこそこかな?ってカンジで、そしてゆうちゃみ似だった。
商品のバーコードを読み込ませる一連の動作の勢いが良すぎて手が当たり、ドリンクが倒れてレジ台から私の足元に落ちた。
私の後ろに並んでいた女性がすかさず、それを拾い上げて渡してくれた。
思わずスミマセンと言って会釈をした。
「あっ商品、変えましょかぁ?」
私と女性につられた感じで店員ゆうちゃみも言った。
「大丈夫みたい~」
また反射的に私は答えた。
私を含めた三人とも、たぶん何にも考えてないし、感じてないと思う。少なくとも私はそうだった。
そうして店を出てクルマに乗り込んでから、後ろの女性もゆうちゃみも自分も、みんなちょっとずつヘンだなと思った。
拾ってくれた女性は、落ちた拍子につい動いちゃったのよね。自分が出しゃばらなくてもよかったかもって、もしかして思ったかもな。
私ならそうだな…
私、そうそう。
また「すいません」って言っちゃった。落としたものを拾ってもらったんだから、「ありがとう」じゃないの。
ってか、落としたの私じゃない。
ゆうちゃみ、キミだよ。キミ。
「変えましょかぁ?」じゃなくて、「お取り替えします」では?
それこそキミが「スミマセン」では?
まず、それでは??
そんなことを考え始めたらモヤって来た。
あー、やめやめ。
感情や理屈で物申してたら、せっかく好きなモノ買いに行ったのに、いい気分じゃなくなったかもしれないからね。
咄嗟のやりとりでよかったのよ、みんな。
…という次第であった。
夜、買った『チョコ柿種』をつまんでいたら
「…ぉたね⁉」
と、通りかかったたね二郎が立ち止まった。
「何?」
思わず、自分が呼ばれた気がして返事してしまった。
「何が?」
たね二郎が怪訝なカオしたので、商品名を『読んだ』と気づいた。
「え?」
私もまたすぐにかぶせて聞き返したカンジになって、何が?と言ったたね二郎の方が不自然な発言をした雰囲気に仕上がった。
たね二郎はこの短いやりとりをスルーしてテーブルの上の袋に指を突っ込んだ。
「たねって音、ヘンだと思わん? たね。たーねー、…た…ね」
たねたね繰り返しながら、チョコたねをほおばる。
コイツ、たねの二郎なんだなぁと思ったらおかしさが込み上げて、咀嚼中のかけらがツルッと喉を滑り落ちた。
ぐ… たねった しまった!
しばらくむせた後、私はまだ召されるわけにはいかないのだと息を整えながら言うと、そんながんばらんでええで、と、間髪入れずたね二郎が言った。
つい、言っちゃったってカンジだった。
どういう意味かわからなかったけど、風呂行くわと立ち上がった。
そんながんばらんでええ…
今になってそれが気になる。
