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映画『ちいかわ』一日41回・高回転上映の謎

7月24日公開の『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』(26年、日)が、とんでもない上映回数になっています。

TOHOシネマズ池袋では、なんと一日41回。

2020年の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が、TOHOシネマズ新宿で公開初日に記録した42回と、ほぼ同じ規模です。ただしあれはコロナ禍という特殊事情があった。

『ちいかわ』の場合は公開初日の朝の時点で、池袋では41回中18回が満席になったと報じられているから尋常じゃありません。

映画館というより、もはや山手線の時刻表です。

この夏は『キングダム 魂の決戦』など話題作が多々あるのに、なぜ『ちいかわ』にこれほど大量の上映枠が与えられたのでしょうか。今回はその謎を解き明かしてまいりましょう。


◆1 配給が「東宝」である重要性

一日41回上映を可能にした条件は、大きく4つあります。一つ目は配給会社が東宝だったことです。

『名探偵コナン』『キングダム』など、集客力のある東宝作品はただでさえ映画館にとって大事な取引相手です。その社運を賭けた一本となれば、当然上映回数も増える。

そのうえ東宝グループには、国内最大級のシネコンチェーンであるTOHOシネマズがある。

実際、今回もっとも極端なのがTOHOシネマズ池袋の41回。このほかTOHOシネマズ新宿も29回。高回転上映の戦略を、TOHOシネマズが率先して支える形になっています。

製作・配給から興行まで垂直統合されていることが、東宝が上映戦略を組み立てるうえで、大きな強みになっているのです。

◆2 99分という短尺

二つ目はもっと単純。この映画の上映時間が、99分しかないということです。

つまり、物理的に高回転させやすい。2時間40分の映画を回転させるのは大変ですが、99分ならば「一日あたりもう1~2回、余計に回せるぞ」というわけです。

◆3 「ちいかわ」という巨大IP

もっとも、短ければ何でも41回上映できるわけではありません。誰も知らないおフランスのゲージュツ映画を41回上映したら、客より上映回数のほうが多くなります(笑)

やはり重要なのは、ちいかわというIPの集客力です。

たとえばアニメ『ちいかわ』公式YouTubeの総再生数は4億回超え。初日の41回上映の半分近くが満席になるのも納得の知名度の高さです。

とはいえ、こうした結果を事前に予測できた人はそう多くないというのが私の印象です。大量上映は、IP人気に賭けた映画館側の投資でもあるわけですね。

◆4 8種類のランダム特典

最後に今回、地味に効いていると思われるのが入場者特典です。

第1弾は「チャームミニフィギュア」。全8種類からランダムで1個が配られるとのこと。

最大のポイントは、同じ上映回の座席を買い占めても、1人が受け取れる特典は1個だけってことです。つまりコンプリートしたければ、別の上映回でもう一度入場しなければならない。

かつてAKB48の握手券目当てでCDを何十枚も買うファンが話題になりましたが、カネにあかせてコンプリートを目指す手法は通じないよ、というわけです。特典を8回受け取りたければ、原則8回入場しなきゃいけない。

ここで、41回上映が効いてくるのです。

これだけやっていれば、朝に見て、昼にも見て、夕方にも見られる。

結果として、ランダム特典によるリピーター需要と、この高回転上映は非常に相性がいいわけです。

◆まとめ

こうしてみると、『ちいかわ』の高回転上映は単なる思いつきではなく、緻密に計算されたビジネス、商品設計であることがわかるでしょう。

その裏付けとなるのは、『鬼滅の刃』以降、東宝が積み重ねてきた高回転上映の豊富な経験です。

はたして本作の上映戦略がどんな結果となるか。今後のIP映画ビジネスの試金石ということで、業界人は注目しています。

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もっとディープなこの続きは、本日19時から田町会場で
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さて、映画ってのは、こうした興行や業界の事情を知ると、また違った面白さが見えてくるものです。

ただ困ったことに、この手の話には、文字にして残すには少々生々しい話もあるわけです。

ネットには書きにくい話も、生ならまあいいかと(笑)

ってことで本日7月25日[土]は、年に一度の「オモシロ映画道場」巨大スクリーン版。

最新映画の話はもちろん、映画ビジネスの裏側、業界人から聞いた「それ書いて大丈夫か?」ってな話まで。

巨大スクリーンをオモチャにして、落語家・桂竹紋さんとたっぷりやります。

ここから先は、会場限定です。

◆開催要項----------------------------

7月25日[土]19:00~21:00(18:30開場)

【東京田町】
港区立産業振興センター11F小ホール(田町駅 徒歩4分)

料金:2500円(当日会場にてお支払いください)

お申込みフォーム
https://movie.maeda-y.com/form.htm

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