【BL二次小説(R18)】 恋する王子様⑥
「こりャまた壮大なテーマだな。ホントに知りてェの?」
「知りたい。靖友なら何でも知ってそう。教えてくれよ」
新開は期待に満ちた瞳で荒北を見る。
「……」
溜め息をつく荒北。
「どういう答を求めてるかによるナ。宗教的?哲学的?生物学的?科学的?」
「ヒュウ!やっぱり知ってるんだ!じゃあね……科学的で」
「科学的ネ……」
荒北は草の上にゴロンと仰向けになった。
「いろんな説があるが……オレが一番納得出来たのは、『蟻塚説』だ」
「蟻塚?」
「蟻塚ってのァ、白蟻の巣のことだ」
荒北は語り出した。
「オレは実際見たことはねェんだが……。蟻塚ってのァ、建造物としてすげェ良く出来てるんだそうだ。人間から見て惚れ惚れするぐれェの機能美なんだと」
「へぇ……」
「だが、白蟻自身は自分達がそんな優れた物を造っている意識はねェ。ただ遺伝子に組み込まれたプログラムに則って黙々と造り続けているだけなんだ」
「ふむふむ」
「つまり、蟻よりも高次元な知性を持った人間にしか、その構造体の美しさを理解出来ねェ」
「なるほど」
「『蟻塚説』ってのァ、人間もこの蟻と同じなんじゃねェか?って説なんだ」
「……ええ?どういうこと?」
新開は荒北の顔を真上から覗き込んで尋ねた。
「人間はなんの目的で生きているのか。誰も答を知らない。ただ遺伝子に組み込まれたプログラムに則って単調な毎日を繰り返し、やがて死ぬ。結局人間も白蟻と同じだ」
「そんな……」
「人間が何世代にも渡り何を何のために築き上げているのか……。それは、人間よりも高次元な知性を持った存在にしか認識出来ない。だから、オレ達人間がいくら考えたってわからない。……これが答だ」
「な……!」
愕然とする新開。
「人間よりも高次元の存在って……神様のことかい?」
「いや、違うな」
荒北は半身を起こして言った。
「神なんてしょせん、人間が考え出した地球規模の存在でしかねェ。もっともっと上位の、宇宙ですら小さなモン扱い出来る存在だろう」
「そんな!……そんな……」
新開は衝撃を受けている。
「だからそんなこと考えたって無意味、ってこった」
「……」
新開の目から涙がボロボロとこぼれ落ちた。
「オイオイ!」
荒北は驚いてあたふたする。
「……」
大粒の涙がボタボタ地面に落ちる。
荒北は思わず新開を引き寄せ、ぎゅっと抱き締めた。
「なんでそんな泣くんだ」
「……自分でもわからない。けど……なんかすごく悲しくて。……虚しくて。……辛い……」
新開は荒北の胸でわぁわぁと号泣した。
「……なんて……」
荒北の心の中で、何かがざわめく。
「……なんてピュアなんだオメーは……」
新開の純粋さに圧倒される荒北。
「ホント……泣き虫な王子様だぜ……」
荒北は新開が泣き止むまでずっと、抱き締めて優しく髪を撫でていた。
城門に着くと、新開は笑顔で言った。
「靖友。今度の休み、悠人と3人で走りに行かないか?」
「エ?悠人王子と?」
「悠人におめさんを紹介したいんだ。な、一緒に行こう」
「……まァ、オレは構わねェけど」
「楽しみにしてるよ!じゃ、今日も楽しい授業だった。ありがとう!」
新開は嬉しそうに手を振って城内に帰って行った。
「……」
荒北はそんな新開の後ろ姿をずっと見つめていた ──。
